Genting Hong Kong 負債履行一時停止, デフォルトリスク~G Singapore日本方針に変化なし

2020.08.22 / カジノ
2020-08-22

【海外ニュース】

8月19日、Genting Hong Kongは、すべて金融機関への負債義務の履行を一時停止すると発表。19日までに、金融機関がデフォルトと判断する条件が構成されている可能性があるとした。

同発表を受け、香港証券取引所は、一時、株式の取引停止をとった。再開後、21日の終値は、HK$0.335, 18日終値比34%低下。

7月末における金融機関に対する負債額は、33.7億ドル(約3,580億円)。

同社は、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響による、世界的にグルーズ事業は停止、著しい業績・財務悪化に直面しており、手元流動性の確保に取り組んでいる。

手元流動性の確保は、コスト削減、資金調達、負債の再構築など多岐にわたる。8月19日時点では、資金調達の行方は不透明な情勢。

8月7日、同社は、2020年1H(1-6月)の業績に関する警告(PROFIT WARNING)を発表。営業赤字は3億米ドル以上、当期損失は6億米ドル以上(それぞれ、約300億円以上の赤字, 600億円以上の赤字)になることを明らかにした。
なお、前年同期(2019年1H)は、営業赤字は3,830万べいドル、当期損失は5,650万ドルであった。

Genting Hong Kong、Genting Berhadは、リム・ファミリー(Lim Family)をオーナーとする兄弟会社の関係にある。

Genting Hong Kongは、クルーズを主業としつつ、フィリピンの国際IR事業者Travellers International Hotel Group(Resorts World Manilaなど)の株式を49%所有し、持分法対象関連会社とする。
Genting Hong Kongの筆頭株主は、Golden Hopeであり、株式所有は70.8%(Genting Groupのオーナー一族Limファミリーの資産管理会社)。

Genting Berhad(IR事業運営を主業とするGenting Malaysia, Genting Singaporeを連結子会社とする)の筆頭株主は、Kien Huatであり、株式所有は約43%(Genting Groupのオーナー一族Limファミリーの資産管理会社)。

Genting Groupでは、日本IRへの営業を、Genting Singaporeに担当させる方針。現時点では、Genting Singaporeの日本への方針に変更なし。

8月6日、Genting Singapore(シンガポール証券取引所)が2020年度1H(1-6月)業績を発表。
その際、日本投資機会については、横浜市のRFPが2020年後半に開始すると期待、動向を注視していく方針とした。

Genting Singaporeは、2020年2月4日、Genting Singaporeは、株主総会を開催。日本IR開発方針の提案が可決された。方針とは、
・一つ、または複数エリアに提案する可能性。ただし、最初の7年間は一つのIRプロジェクトの開発運営のみ
・大都市のみをターゲット。大阪府、横浜市、東京都(これまでに大阪府、横浜市のRFCに参加)
・投資額は、最大100億米ドル(約1.1兆円)

Genting Group マカオ営業権再入札参加の可能性~20年来,悲願。Wynn買収検討も~現地報道

7月28日、マカオ現地メディア(Macau Daily Times)は、Genting Groupが、マカオのゲーミング・コンセッション(カジノ営業権)の再入札に参加する可能性があると報じた。

マカオのゲーミング・コンセッション(カジノ営業権)は、現在、6事業者が保有するが、2022年6月26日に満期を迎える。マカオ政府は、満期前に再入札を実施する方針。

Genting Groupは、2002年に実施されたマカオ・ゲーミングコンセッションの入札に参加し、選定されなかった経緯がある。

また、Genting Groupは、2018年3月にWynn Resortsの買収を通じて、マカオ参入を検討した。なお、その後、Galaxy Entertainment Groupが、Wynn Resortsの株式の5%を取得した。

現在、Genting Hong Kongは、現地子会社Treasure Island Entertainment Companyを通じ、マカオ半島の南湾湖(ナムヴァン湖, Nam Van Lake)に接する土地に、カジノを伴わないホテル、暫定名称“Resorts World @ Macau” を建設中。
同ホテルは、2022年に開業予定。

Genting Hong Kong、Genting Berhadは、リム・ファミリー(Lim Family)をオーナーとする兄弟会社の関係にある。

Genting Hong Kongは、クルーズを主業としつつ、フィリピンの国際IR事業者Travellers International Hotel Group(Resorts World Manilaなど)の株式を49%所有し、持分法対象関連会社とする。
Genting Hong Kongの筆頭株主は、Golden Hopeであり、株式所有は70.8%(Genting Groupのオーナー一族Limファミリーの資産管理会社)。

Genting Berhad(IR事業運営を主業とするGenting Malaysia, Genting Singaporeを連結子会社とする)の筆頭株主は、Kien Huatであり、株式所有は約43%(Genting Groupのオーナー一族Limファミリーの資産管理会社)。

図表:マカオ カジノ運営6事業者のコンセッション 満期日

コンセッション満期日 事業者 証券取引所 カジノ施設数 獲得順
2022年6月26日 SJM Holdings 香港証券取引所 22
2022年6月26日 Wynn Macau 香港証券取引所
2022年6月26日 Galaxy Entertainment 香港証券取引所
2022年6月26日 Sands China 香港証券取引所 4(サブ)
2022年6月26日 MGM China 香港証券取引所 5(サブ)
2022年6月26日 Melco Resorts & Entertainment NASDAQ 6(サブ)

注1:カジノ施設数は2020年3月末時点
注2:2019年3月15日、マカオ政府はSJM Holdingsのコンセッション(MGM China Holdingsのサブ・コンセッション)の満期日を、2020年3月31日から2022年6月26日に延長を承認
注3:(サブ)はサブコンセッション。Sands ChinaはGalaxy Entertainmentより、MGM ChinaはSJM Holdingsより、Melco Resorts & EntertainmentはWynn Macauより取得
 

Genting Berhad 企業集団構成およびIR事業業績

Genting Berhad:3つのエンティティがIR事業推進。日本はGenting Singaporeが担当

Genting Groupでは、3つのエンティティがそれぞれIR事業を推進する。

日本については、日本政府がシンガポールの制度設計を参考とすることから、その実績を有するGenting Singaporeに担当させる方針。

<Genting Berhad(マレーシア)>
・主な施設:NA
・開発計画:Resorts World Las Vegas(米国ネバダ州ラスベガス・ストリップ)

<Genting Malaysia(マレーシア)>
・主な施設:Resorts World Genting(マレーシア), Resorts World Birmingham(英国), Resorts World New York city(米国ニューヨーク州), Resorts World Bimini(バハマ)
・開発計画:Resorts World Gentingの大型アップデート

<Genting Singapore(シンガポール)>
・主な施設:Resorts World Singapore(シンガポール)
・開発計画:Resorts World Singaporeの大型アップデートおよび日本における開発機会追求

Genting Singapore 20年度2Q 当期損126億円, NetCash 2,688億円~横浜RFP開始期待

8月6日、Genting Singapore(シンガポール証券取引所)が2020年度2Q(1-6月), 1H(1-6月)業績を発表。

2Qは、売上高がほとんど立たない状況。月間営業経費は約30億円。

シンガポール政府の方針により、IR両施設は、3月26日にカジノフロアの入場可能顧客の限定策を発表、その後、4月6日にカジノ部門を閉鎖、4月7日に全面営業停止となった。
シンガポール政府は、7月1日より観光アトラクション13分野について段階的に再開させた。IR施設も、カジノを含め一部のアトラクションが開業(二つのIRは、6月19日にリテール、飲食のみ再開)。
ただし、当面、再開されるアトラクションは、営業時間内のあらゆる時点において、キャパシティに対する稼働率25%以下に維持することが求められる。

日本投資機会については、横浜市のRFPが2020年後半に開始すると期待、動向を注視していく方針。

2020年2月4日、Genting Singaporeは、株主総会を開催。日本IR開発方針の提案が可決された。方針とは、
・一つ、または複数エリアに提案する可能性。ただし、最初の7年間は一つのIRプロジェクトの開発運営のみ
・大都市のみをターゲット。大阪府、横浜市、東京都(これまでに大阪府、横浜市のRFCに参加)
・投資額は、最大100億米ドル(約1.1兆円)

2020年度6月末 財務 S$=シンガポールドル:
・ネットキャッシュ S$3,491mn(2,688億円)
・手元流動性 S$3,760mn
・借入金 S$269mn

2020年度2Q(4-6月)業績 S$=シンガポールドル:
・売上高S$41mn,YoY94%減, 調整後EBITDA S$85mnの赤字(前年同期S$294mnの黒字), 当期損益S$163mnの赤字(同S$168mnの黒字)
・円換算は, 売上高32億円, 調整後EBITDA 65億円の赤字, 当期損益126億円の赤字

2020年度1H(1-6月)業績 S$=シンガポールドル:
・売上高S$448mn,YoY65%減, 調整後EBITDA S$67mn,YoY89%減, 株主帰属当期損益S$117mnの赤字(前年同期S$374mnの黒字)
・円換算は, 売上高345億円, 調整後EBITDA 52億円, 株主帰属当期損益90億円の赤字

(参考)2019年度通期業績(1-12月) S$=シンガポールドル:
・売上高S$2,480mn,YoY2%減, 調整後EBITDA S$1,190mn,YoY3%減, 営業利益S$863mn,YoY11%減, 当期利益S$689mn,YoY9%減
・円換算は, 売上高1,959億円, 調整後EBITDA 940億円, 営業利益682億円, 当期利益544億円

Genting Malaysia 20年度1Q 最終赤字104億円~RWG,米英とも閉鎖中。20年中,逆境予想

5月21日、Genting Malaysiaは、2020年1Q業績を発表。

2020年度1Qの調整後EBITDAは89億円,YoY48%減, 株主帰属当期損益は104億円の赤字。

同社の主力は、マレーシアResorts World Genting。欧米に施設展開する。

Gentingグループの日本IR参入については、Genting Singaporeに担当させる方針。同社は、グループ構成員として、Genting Singaporeをサポートする立ち位置。

なお、2019年より、マレーシア政府は、Resorts World Genting(国内唯一のカジノ施設を含む)のGGR課税率を25%から35%に引き上げた。

新型コロナウイルス(COVID-19)による影響および見通しのポイントは、以下の通り。
同社は、2020年は、施設が再開されたとしても、経済情勢、消費マインドの悪化により、逆境と予想。

<マレーシア>
・Movement Control Order(MCO)は、3月18日に開始。政府は、徐々に経済を再開、MCO緩和中
・Resorts World Genting(および、国内リゾート)は、3月18日より現在まで閉鎖中
・屋外テーマパークの開発スケジュールは、MCOの影響を反映し、再設定中

<米国>
・Resorts World Casino New York City、Resorts World Catskillは、3月17日より現在まで閉鎖中
・Resorts World Casino New York Cityの拡張工事は停止中

<英国エジプト>
・英国のResorts World Birminghamおよびランドカジノ全施設は、3月26日より現在まで閉鎖中。エジプトも現在まで閉鎖中
・オンラインGentingBetは、営業中

2020年度業績(1-3月)RM=マレーシアリンギット:
・売上高RM1,956mn,YoY29%減, 調整後EBITDA RM355mn,YoY48%減, 株主帰属当期損益RM418mnの赤字(前年同期RM268mnの黒字)
・円換算は、売上高489億円、調整後EBITDA 89億円、株主帰属当期損益104億円の赤字
<セグメント別>
・Leisure & Hospitality
– Malaysia = 売上高RM1,225mn,YoY36%減, 調整後EBITDA RM331mn,YoY40%減
– UK & Egypt = 売上高RM371mn,YoY11%減, 調整後EBITDA RM23mn,YoY44%減
– US & Bahamas = 売上高RM321mn,YoY13%減, 調整後EBITDA RM15mn,YoY78%減

財務状況:ネット有利子負債(2020年3月末):
・ネット有利子負債=RM4,420mn(約1,105億円)
– 現預金計=RM6,513mn, 短期保有有価証券=RM783mn
– 有利子負債=RM11,715mn(借入金RM10,872mn, リース債務RM843mn)

2019年度業績(1-12月)RM=マレーシアリンギット:
・売上高RM10,407mn,YoY5%増, 調整後EBITDA RM2,641mn,YoY8%減, 株主帰属当期利益RM1,395mn(前期RM20mnの赤字)
・円換算は、売上高2,602億円、調整後EBITDAは660億円、株主帰属当期利益349億円
<セグメント別>
・Leisure & Hospitality
– Malaysia = 売上高RM7,067mn,YoY7%増, 調整後EBITDA RM2,048mn,YoY11%減
– UK & Egypt = 売上高RM1,676mn,YoY6%減, 調整後EBITDA RM232mn,YoY27%増
– US & Bahamas = 売上高RM1,469mn,YoY6%増, 調整後EBITDA RM289n,YoY5%減
 

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