特別給付金で電動自転車を買ってパチンコから卒業

2020.08.20 / コラム

特別給付金はほとんどの家庭に振り込みが完了されている。降ってわいたような1人一律10万円。子供が0歳でも1歳でも1人分として振り込まれる。4人家族なら40万円、5人家族なら50万円…と臨時ボーナスのような感覚だ。

特別給付金をあぶく銭感覚で使う人も少なくない。例えば、パチンコユーザーだ。中には10万円を全額パチンコに使ってしまった、という人もいたようだ。

70代のパチンコ大好きのAさんもそんな一人だった。

10万円振り込まれて気が大きくなった。5万円負けたところで我に返った。

緊急事態宣言解除後に営業再開したマイホールへ足を運んでいたAさんは、5万円負けたところで気づいた。

「休業中の赤字を回収するためなのか、営業再開後は全然勝てない。勝率がますます酷くなった。特別給付金をこのままパチンコに使うのがバカバカしくなった。せっかくもらったおカネをモノに変えたがいい、と考えるようになった」

で、Aさんが買ったのが前々から欲しいと思っていた電動自転車だ。電動自転車は10万円以上するのが一般的な市場価格。当然、5万円で買える電動自転車はないので、それは自分の小遣いからプラスした。

電動自転車を買ったAさんの行動範囲は一気に広がった。1回の充電で40キロは走れる。片道20キロがAさんの行動範囲となった。電動自転車は坂が多い都内で特に威力を発揮した。自分の足で漕いで上れなかった坂がラクラク上れる。

知らなかった街を電動自転車で散策するのがAさんの日課となった。知らない街では毎日新しい発見があった。美味しそうな店を探すことも楽しみの一つになった。

さらに、街の地図を買って、自分走った道を塗りつぶすのも楽しい作業となった。

それまで夫婦でパチンコに出かけていたが、奥さんも電動自転車を買って、2人でサイクリングをするようになった。

今ではホールの前を通ってもパチンコをしたい気持ちが湧かなくなった。

理由は勝てないこと以外には、コロナの感染が怖いことと、ヘビースモーカーのAさんとしては打ちながらタバコが吸えなくなった不満があった。

ホールの店長の仕事と言えば、いかにお客さんに成功体験を味わってもらうかが、店長の腕の見せ所でもあったが、それもできなくなっているのが現状かも知れない。成功体験=勝ったことを脳裏の片隅に焼き付ける。こんなことを書けば依存症を増やすのか!といわれそうだが、商売とはそういうものだ。

営業再開後にすぐに回収モードに入らなければ、Aさんは電動自転車を買うこともなかったかも知れない。





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