大阪中央区のホールは69店舗から16店舗へ激減
2020.08.15 / コラム大阪市中央区にはかつて、69店舗のホールが営業していた。中央区はビジネス街の本町からショッピング街の心斎橋、観光地の道頓堀~千日前と続く。で、現在、中央区で営業を続けているホール軒数は16店舗まで激減している。中央区でも一番の中心街である心斎橋、道頓堀からはホールが消え久しい。大阪でミナミといえば、千日前がパチンコの集積地となっている。
大阪でも一等地と言える中央区から次々とホールが姿を消した理由は何か?
永らく千日前で小型店を経営していた元ホール経営者が当時を振り返る。
閉店を決断したのは時代が21世紀に入ったころだ。千日前のビッグカメラの地下2フロアーにキョーイチが進出する噂が持ち上がった。当時、すでにマルハンの本館がオープンしていたが、いよいよ千日前も大型店化が始まろうとしていた。
「キョーイチの戦略を聞いた時にウチのような小型店では太刀打ちができないことが分かりました。最初から出して月に1億の赤字でも打つというのですからね。これはとてもじゃないけど敵わない。競合店は負けじと対抗するでしょうが、資本力のないところは競争に巻き込まれたらひとたまりもない。それだけでコケる。決心がつきました」と振り返る。
ただ、秘策がなかったわけでもない。対抗策はキョーイチが出店する前に場所を抑えることだった。そのためには、気の合う仲間内3社が共同出資で新会社を興す。元オーナーはそれを発案したが、他の2社は独立採算性、つまり地下2フロアーに3店舗が出店する考えだった。
「共同経営じゃないと3店が競争相手になるので共倒れすると思った。出資に応じて株を持ち、それに応じた配当をすればいいと考えたんですがね」
決断が早かった理由は、ナンバの一等地なので、次の借り手はいくらでもあったからだ。小型店だったため、最初は同業者が借りてスロ専で永らく営業していた。10年契約が満期になる前に撤退したが、すぐに飲食店が入る。
「不動産は一等地に持つこと。それならつぶしが効く。ウチは小型店なのでそんなに家賃収入も入らないが、400~500台ぐらいの規模なら家賃収入だけで月に2000~3000万円になる。パチンコで粗利2000~3000万円を稼ぎだそうとしたら何十億売り上げないといけないか。パチンコ経営から退いても何の後悔もない」
中央区からホールが消えていった理由は遊技人口が減ったこともあるが、不動産を持っていれば、ホール経営よりテナント貸しにした方がより効率がいいためであった。