米国:ネバダ州 6月GGR YoY46%減。LVストリップはYoY61%減~再開後展望,悲観論強まる

2020.08.03 / カジノ
2020-08-03

【海外ニュース】

7月29日、ネバダ州ゲーミング管理当局(Nevada Gaming Control Board)は、6月のカジノ市場を発表。

6月のグロスゲーミング売上高(Gross Gaming Revenues)は、州全体は$567 million,YoY45.6%減, ラスベガスストリップは$238 milluon,YoY61.4%減であった。

ラスベガスのゲーミング施設は、6月4日に再開。
ただし、現在のところ、旅行に関する制約(顧客のほとんどは陸路, カリフォルニア州など)、運営制限(稼働率50%未満)がある。

ラスベガス市場は、アジア(米国、シンガポール)、米国内でも回復は最も遅くなるとの見方が強い。新型コロナウイルス前の2019年レベルの回復には、3-5年を要する可能性がある。

ラスベガスの特徴であり、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が大きい理由は、1)デスティネーション。エアーによる長距離移動、長期滞在、2)大規模集客イベント(エンタテインメント,MICEなど)のアトラクション、3)カジノ売上高のウエイトの低さ、など。

2018年には、訪問者の48%が空路によるアクセスであり、訪問者の平均滞在は3.4泊, 4.4日であった。
2019年度には、ネバダ州全体のカジノIR施設計(年間売上高US$ 1 million以上)の売上高に占めるゲーミングの構成比は36%、ホテル・飲食・その他アメニティで64%。

ネバダ州では、過去20年間に2回の大きな市場崩壊があった。2001年9月11日同時多発テロ後の旅行規制、2008年リーマンショック後の景気後退。回復期間は、前者は1年ほど、後者は数年。

州政府は、4月30日に回復ロードマップ「NEVADA UNITED ROADMAP TO RECOVERY」を発表し、回復を1から4のフェーズに分けた。現在、ネバダ州は、フェーズⅡのステイタスにある。

<5月26日, ネバダ州知事、フェーズⅡのポイント>
・ネバダ州は、5月29日より再開フェーズⅡに入る。フェーズⅡの期間は、2-3週間
・外出時、マスク着用、社会的距離(1.8M)を確保。集会規模は、50人以下(フェーズⅠは10人以下)
・ゲーミング産業の再開は、6月4日
・フェーズⅡで休業継続は、アダルトエンタテインメント、売春宿、ナイト(デイ)クラブ、屋外・無観客ライブスポーツ(屋内・無観客ライブスポーツは検討中)

これを受けて、5月27日、ネバダ州ゲーミング・コントロール・ボード(Nevada Gaming Control Board)は、5月1日公表した施設再開インストラクションをアップデイト。

<5月27日, ゲーミング・コントロール・ボードの発表のポイント>
・5月1日に発表した再開インストラクション”Health and Safety Policies for the Resumption of Gaming Operations:Nonrestricted Licensees, Restricted Licensees”を更新
・ゲーミングの追加事項(nonrestricted licensees)は、テーブルゲームの安全策、レスポンシブルゲーミング施策、顧客へのマスク供給と装着促進
・ホテルの追加事項(nonrestricted licensees)は、到着時の体温検査、顧客の症状自己申告、医療専門家の常駐

<5月1日, ゲーミング・コントロール・ボードが発表したインストラクションのポイント>
・事業者は、再開予定日の7日前までに、詳細プランの提出義務
・プランは、社会的距離、ハンドサニタイザー設置、クリーニング、サイネージ掲出、従業員トレーニングなどを含む
・ボードは、ゲーミングエリア運営を主たるコントロール対象とするが、事業者(LICENSEES)のプロパティ内のノンゲーミング施設の一部についても営業制限を課した
・事業者(NONRESTRICTED LICENSEES)に課される主なゲーミングエリアの制限は、
– 社会的距離を確保するテーブル、スロットの配置~ボードは、椅子のひとつおきの配置を提案
– 稼働専有率を建築消防法で規定されたリミットの50%以下を維持
– 稼働専有率の遵守、顧客数モニターに向けた体制整備、人員配置(セキュリティ要員, 既存のサベイランスシステム,スロットマネジメントシステムの利用可)

米国:ラスベガス 再開後展望,悲観論強まる。人件費削減が本格化/全米,843施設稼働 in 989

7月中旬以降、ラスベガスストリップの複数の施設において、人件費の削減策が本格化。

職場に復帰していない従業員のステイタスは、(1)給与支払い継続、(2)給与支払停止(Furlough)、(3)解雇(Layoff)、に大別される。
人件費削減は、(1)から(2)(3)、あるいは、(2)から(3)への移行で実行される。

事業者は、州法により、労働当局に解雇方針をファイリングする必要がある。ただし、各社とも人件費削減に関しては、最低限の発表にとどめている。

7月3-4週に、現地メディアで人件費削減が報じられた事業者は、以下の通り。

・Boyd Gaming:ネバダ州の従業員の25%から最大60%以上(従業員数全体は、約10,000人)を解雇すると発表
・Penn National Gaming:Tropicana(ホテル再開業は9月1日予定)は、9月1日までに約620名の従業員を解雇する方針。Penn National Gamingは、3月に施設従業員(26,000人)を、一時帰休とし、施設再開とともに適正数を回帰させる方針
・Phil Ruffin氏:Circus Circus Las Vegas(2019年末にMGM Resorts Internationalより取得)において、9月1日付で252名を解雇
・Wynn Resorts:従業員に宛てたステートメントで「我々は、施設休業期間においても、従業員の雇用・給与支払いを維持してきた。ただし、再開した現在、収益の厳しさを認識しており、需要の度合いに応じた従業員数に削減せざるを得ない」とした

米国:MA州3施設再開 稼働25%制限。採算厳しく,市に負担減要請も/全米,840施設稼働 in 989

7月13日、MGM Springfield(MGM Resorts International)が再開。マサチューセッツ州の3施設がすべて再開した。

再開日は、Plainridge Park Casino(Penn National Gaming)が7月8日、Encore Boston Harbor(Wynn Resorts)が7月12日、MGM Springfield(MGM Resorts International)が7月13日。
同州では、3月15日より3施設が休業してきた。

事業運営は、同州のフェーズ3事業再開の制限、ゲーミングコミッションのガイドラインに準拠する。
カジノフロアの運用制限は、収容人員はキャパシティの25%以下、マスク着用、社会的距離確保、高頻度のクリーニング、テーブルでは顧客とディーラーの間にプレキシガラス設置、など。

同州は、米国北東部以外からの旅行者に、14日間の自主隔離を推奨している(義務ではない、)。現状では、実質、日帰り地元客が主なターゲットとなる。

再開後の施設の採算は厳しい。経営会社の中には、地元ホスト市に税・納付金等の負担軽減を要請する動きもある。

Encore Boston Harbor, MGM SpringfieldのGGR(Gross Gaming Revenues)は、新型コロナウイルス(COVID-19)発生前でも、それぞれ月間5,000万ドル前後(50億円強)、同2,000万ドル前後(20億円強)と、開業前想定を3-4割ほど下回ってきた。

7月11日現在、全989施設(商業+インディアン部族)のうち、840施設が再開、149施設が休業継続。
ゲーミング産業は、3月25日までに商業カジノ施設の100%(オンラインを除く)、トライバル施設のほぼすべてが営業停止した。

以下は、7月9日現在における7州のカジノフロアの休業、再開の状況(2019年に日本IR参入活動の履歴がある企業の主要施設がある州)。

ネバダ州は6月4日に再開。東海岸でも、慎重に再開プロセスを進めている。

ただし、再開した場合も、運営制限は厳しい。カジノフロアの稼働率は、キャパシティの50%以下あるいは25%以下などに制限され、社会的距離の確保、感染対策などが課されている。

<ネバダ州(NV, 全223施設)>
・3月18日から休業中。6月4日から再開
・同州の主要事業者は、
LasVegas Sands
MGM Resorts International
Wynn Resorts

<マサチューセッツ州(MA, 全3施設)>
・3月15日から休業中。7月8日より順次再開
・同州の施設は、
Encore Boston Harbor – Wynn Resorts
MGM Springfield – MGM Resorts International
Plainridge Park Casino – Penn National Gaming

<コネチカット州(CT, 全2施設)>
・3月17日から休業。6月1日に再開
・5月20日、2部族(Mashantucket Pequot tribe, Mohegan Tribe)は、州知事の要請を押し切って再開発表
・同州の施設は、
Mohegan Sun – Mohegan Gaming & Entertainment(Mohegan Tribe)
Foxwoods Resort Casino – Mashantucket Pequot Tribal Nation

<ニューヨーク州(NY, 全28施設)>
・3月16日から休業中(一部のトライバルカジノは再開)。再開は未定
・同州に施設を持つ日本IR参入活動企業は、
Genting Malaysia(Genting Singaporeの兄弟会社)
MGM Resorts International

<ニュージャージー州(NJ), 全9施設>
・3月16日から休業。7月2日より再開可
・同州に施設を持つ日本IR参入活動企業は、
Hardrock International- Seminole Tribe
MGM Resorts International

<ペンシルベニア州(PA), 全12施設>
・3月17日から休業。6月9日よりエリア毎に再開開始
・同州に施設を持つ日本IR参入活動企業は、
Mohegan Sun Pocono- Mohegan Gaming & Entertainment(Mohegan Tribe)
Rivers Philadelphia, Rivers Pittsburgh- Rush Street Gaming

<フロリダ州(FL), 全15施設>
・セミノール部族(6施設)は、3月20日から休業。5月21日より順次再開
・同州に施設を持つ日本IR参入活動企業は、
Hardrock International- Seminole Tribe

米国:ネバダ州ラスベガスなど,飲酒スペース再閉鎖。リスク再拡大/全米,再開839施設 in 989

7月10日、ネバダ州知事(Steve Sisolak)は、ゲーミング産業に対して、緊急指令(Emergency Directive 027)を発出。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染再拡大に対応した措置。

指令により、ハイリスクと認定された郡(Elevated transmission list county)における、バー、パブ、および、レストラン内の飲酒スペース(食事を提供しない)は、再び閉鎖が義務化された。ゲーミング施設内の同様の機能も停止。
今回、ハイリスクと認定された郡は、7月24日に再評価される予定。

ラスベガス市を含むクラーク郡は、ハイリスクと認定された。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染再拡大の中、ネバダ州、ラスベガスのゲーミング業界は、再び休業するリスクに直面。

ネバダ州のカジノ施設は、3月18日より休業し、6月4日より再開が容認された。

州政府は、4月30日に回復ロードマップ「NEVADA UNITED ROADMAP TO RECOVERY」を発表し、回復を1から4のフェーズに分けた。現在、ネバダ州は、フェーズⅡのステイタスにある。

<5月26日, ネバダ州知事、フェーズⅡのポイント>
・ネバダ州は、5月29日より再開フェーズⅡに入る。フェーズⅡの期間は、2-3週間
・外出時、マスク着用、社会的距離(1.8M)を確保。集会規模は、50人以下(フェーズⅠは10人以下)
・ゲーミング産業の再開は、6月4日
・フェーズⅡで休業継続は、アダルトエンタテインメント、売春宿、ナイト(デイ)クラブ、屋外・無観客ライブスポーツ(屋内・無観客ライブスポーツは検討中)

これを受けて、5月27日、ネバダ州ゲーミング・コントロール・ボード(Nevada Gaming Control Board)は、5月1日公表した施設再開インストラクションをアップデイト。

<5月27日, ゲーミング・コントロール・ボードの発表のポイント>
・5月1日に発表した再開インストラクション”Health and Safety Policies for the Resumption of Gaming Operations:Nonrestricted Licensees, Restricted Licensees”を更新
・ゲーミングの追加事項(nonrestricted licensees)は、テーブルゲームの安全策、レスポンシブルゲーミング施策、顧客へのマスク供給と装着促進
・ホテルの追加事項(nonrestricted licensees)は、到着時の体温検査、顧客の症状自己申告、医療専門家の常駐

<5月1日, ゲーミング・コントロール・ボードが発表したインストラクションのポイント>
・事業者は、再開予定日の7日前までに、詳細プランの提出義務
・プランは、社会的距離、ハンドサニタイザー設置、クリーニング、サイネージ掲出、従業員トレーニングなどを含む
・ボードは、ゲーミングエリア運営を主たるコントロール対象とするが、事業者(LICENSEES)のプロパティ内のノンゲーミング施設の一部についても営業制限を課した
・事業者(NONRESTRICTED LICENSEES)に課される主なゲーミングエリアの制限は、
– 社会的距離を確保するテーブル、スロットの配置~ボードは、椅子のひとつおきの配置を提案
– 稼働専有率を建築消防法で規定されたリミットの50%以下を維持
– 稼働専有率の遵守、顧客数モニターに向けた体制整備、人員配置(セキュリティ要員, 既存のサベイランスシステム,スロットマネジメントシステムの利用可)

ラスベガスの回復ペースは、米国ゲーミング産業の中でも緩やかなる可能性が高い。2019年のレベルの回復には、数年を要する可能性がある。

ラスベガスの特徴は、長距離移動・長期滞在の観光客のウエイトの高さ、大規模集客イベント(エンタテインメント,MICEなど)によるアトラクション。2018年には、訪問者の48%が空路によるアクセスであり、訪問者の平均滞在は3.4泊, 4.4日であった。

ネバダ州では、過去20年間に2回の大きな市場崩壊があった。2001年9月11日同時多発テロ後の旅行規制、2008年リーマンショック後の景気後退。回復期間は、前者は1年ほど、後者は数年。

米国:Caesars 再開11施設の営業状況~リージョナル良好。ラスベガス売上半減,赤字化

6月16日、Caesars Entertainmnet Corp(CEC)が、2020年5-6月のオペレーション状況を公表。Eldorado Resortsとの合併手続き(合併は、2019年6月24日発表)に関連した開示。

CECは、全米に多数のカジノIR施設を有しており、そのオペレーション状況から全米主要マーケットの回復のカラーを得ることが可能。

なお、8月29日、CECは、日本IR活動を中止。
海外企業:Caesars Entertainment 日本IR参入営業中止~横浜市,北海道ターゲットで活動

米国では、5月から州毎に再開が進んでいる。再開後のパフォーマンスは、リージョナル(ネバダ州以外)が良好、ネバダ州の弱さが目立つ。

<CECの再開施設>
・5月18日, ルイジアナ州2施設
・5月21日, ミシシッピー州2施設
・6月1日, アイオワ州1施設,ミズーリ州1施設
・6月4日, ネバダ州4施設(2施設はラスベガス)
・6月5日, ネバダ州1施設(ラスベガス)

<再開日から6月10日までの営業データ, 前年同期比較>
・リージョナル(ネバダ州以外)施設群の売上高は、YoYフラットから2%増
・ネバダ州施設群の売上高は、YoY56%減から58%減
・リージョナル施設群の営業利益は、YoY60%増から70%増。人件費縮小が寄与
・ネバダ州施設群の営業利益は、YoY110%減から120%減(赤字転換)

市場ごとの回復強弱を左右する要素は、1)トラベル規制、2)カジノおよびその他施設の運営規制、3)エリア経済と消費意欲のダメージの深さ、など。

ラスベガスの特徴は、長距離移動・長期滞在の観光客のウエイトの高さ、大規模集客イベント(エンタテインメント,MICEなど)によるアトラクション。2018年には、訪問者の48%が空路によるアクセスであり、訪問者の平均滞在は3.4泊, 4.4日であった。

一方、リージョナル施設は、主に、車による日帰り客(移動2時間ほど圏内)をターゲットとする。

6月16日現在、米国のカジノ施設(コマーシャル+トライバル)の開業状況は、全989施設のうち、開業681施設、休業308施設。
米国では、3月25日にコマーシャルカジノ施設の100%営業を停止(オンラインを除く、)。またトライバル施設のほぼすべてが同時点で営業を停止した

米国:ラスベガス MGM Resorts, 7月1日までの施設再開予定を発表~市場回復度合い注目

6月9日までに、MGM Resorts Internationalは、ラスベガス施設群の再開予定日(11日, 11日, 7月1日分)を発表。

この結果、ラスベガスストリップの施設の再開状況は以下の通り(日本IR参入意欲を持つ会社, およびLas Vegas Sandsのみ掲載)。

MGM Resorts International:
4日再開:Bellagio, New York-New York, MGM Grand Las Vegas, The Signature(MGM Grand内)
11日再開:Excalibur
25日再開:Luxor, The Shoppes at Mandalay Bay Place
7月1日再開:ARIA, Mandalay Bay, Four Seasons Las Vegas
再開日未定:Mirage, Park MGM

Wynn Las Vegas:
4日再開:Wynn Las Vegas, Encore at Wynn Las Vegas

Las Vegas Sands:
4日再開:The Venetian Resort Las Vegas
休業継続:The Sands Expo Center

米国:ネバダ州知事, 26日,再開フェーズⅡ発表, カジノ再開6月4日~27日,GCBが安全策強化

5月26日、ネバダ州知事(Steve Sisolak)は、再開フェーズⅡプランを発表。5月27日、ネバダ州ゲーミング・コントロール・ボード(Nevada Gaming Control Board)は、施設再開インストラクションを発表。

<5月26日, ネバダ州知事の発表のポイント>
・ネバダ州は、5月29日より再開フェーズⅡに入る。フェーズⅡの期間は、2-3週間
・外出時、マスク着用、社会的距離(1.8M)を確保。集会規模は、50人以下(フェーズⅠは10人以下)
・ゲーミング産業の再開は、6月4日
・フェーズⅡで休業継続は、アダルトエンタテインメント、売春宿、ナイト(デイ)クラブ、屋外・無観客ライブスポーツ(屋内・無観客ライブスポーツは検討中)

ネバダ州のカジノ施設は、3月18日以降、休業中。

州政府は、4月30日に回復ロードマップ「NEVADA UNITED ROADMAP TO RECOVERY」を発表し、回復を1から4のフェーズに分けた。

カジノ施設の再開は、当初、回復ロードマップのフェーズ4分類の後半とみられていたが、フェーズⅡに位置付けられた。フェーズⅠの感染コントロールの良好な経過、経済状況の悪化とカジノ産業からのプレッシャーを受けた流れ。

5月9日にフェーズⅠに入り、一部の非生活必需事業場の営業再開が可能となった(社会的距離の確保、稼働率50%以下)。カジノIR施設内では、レストランが再開可能範囲に含まれる(その他施設は再開不可)。

カジノIR事業者の自宅待機の従業員への対応は、(1)給与支払い継続、(2)雇用契約を継続しつつ給与支払停止、(3)解雇レイオフ、がある。

これまでの、日本IR参入意欲を持つ3者の対応は以下の通り。
・Las Vegas Sands, Wynn Resortsは(1)を継続する方針
・MGM Resorts Internationalは、4月に米国内のほとんどの従業員に(2)を適用したうえで、今後、大型の3)解雇レイオフを実施する可能性に言及。
ネバダ州では、カジノ施設は、新型コロナウイルス(COVID-19)の対策で、3月18日から6月3日まで休業。4日からカジノ施設およびIR内の多くの施設の再開が可能となった。

ラスベガスの回復ペースは、米国ゲーミング産業の中でも緩やかなる可能性が高い。2019年のレベルの回復には、数年を要する可能性がある。

ラスベガスの特徴は、長距離移動・長期滞在の観光客のウエイトの高さ、大規模集客イベント(エンタテインメント,MICEなど)によるアトラクション。2018年には、訪問者の48%が空路によるアクセスであり、訪問者の平均滞在は3.4泊, 4.4日であった。

ネバダ州では、過去20年間に2回の大きな市場崩壊があった。2001年9月11日同時多発テロ後の旅行規制、2008年リーマンショック後の景気後退。回復期間は、前者は1年ほど、後者は数年。

ネバダ州政府は、4月30日に回復ロードマップ「NEVADA UNITED ROADMAP TO RECOVERY」を発表し、回復を1から4のフェーズに分けた。

5月27日、ネバダ州ゲーミング・コントロール・ボード(Nevada Gaming Control Board)は、5月1日公表した施設再開インストラクションをアップデイト。

<5月27日, ゲーミング・コントロール・ボードの発表のポイント>
・5月1日に発表した再開インストラクション”Health and Safety Policies for the Resumption of Gaming Operations:Nonrestricted Licensees, Restricted Licensees”を更新
・ゲーミングの追加事項(nonrestricted licensees)は、テーブルゲームの安全策、レスポンシブルゲーミング施策、顧客へのマスク供給と装着促進
・ホテルの追加事項(nonrestricted licensees)は、到着時の体温検査、顧客の症状自己申告、医療専門家の常駐

<5月1日, ゲーミング・コントロール・ボードが発表したインストラクションのポイント>
・事業者は、再開予定日の7日前までに、詳細プランの提出義務
・プランは、社会的距離、ハンドサニタイザー設置、クリーニング、サイネージ掲出、従業員トレーニングなどを含む
・ボードは、ゲーミングエリア運営を主たるコントロール対象とするが、事業者(LICENSEES)のプロパティ内のノンゲーミング施設の一部についても営業制限を課した
・事業者(NONRESTRICTED LICENSEES)に課される主なゲーミングエリアの制限は、
– 社会的距離を確保するテーブル、スロットの配置~ボードは、椅子のひとつおきの配置を提案
– 稼働専有率を建築消防法で規定されたリミットの50%以下を維持
– 稼働専有率の遵守、顧客数モニターに向けた体制整備、人員配置(セキュリティ要員, 既存のサベイランスシステム,スロットマネジメントシステムの利用可)

米国 市場展望~アフター新型コロナウイルス(COVID-19)

米国:市場展望④ Fitch Ratings プレコロナ回復は早くて2023年 / 負債依存高い企業は厳しい

6月11日、国際格付機関Fitch Ratingsは「US Gaming Will Experience A U-Shaped Recovery Post-Reopening(米国ゲーミング産業は、新型コロナウイルス(COVID-19)から再開後、U字型の回復軌道へ)」を発表。

6月12日現在、米国のカジノ施設(コマーシャル+トライバル)の開業状況は、全989施設のうち、開業621施設、休業368施設。
米国では、3月25日にコマーシャルカジノ施設の100%営業を停止(オンラインを除く、)。またトライバル施設のほぼすべてが同時点で営業を停止した

<収益展望>
・米国ゲーミング産業は、スローな回復ペースを余儀なくされる見通し。回復軌道は、U字型となろう
・プレコロナ(2019年)レベル回復には、おおむね3年を要する見通し(2019年レベル回復は、早くて2023年)
・カジノ運営制限、旅行制限、経済情勢の逆風の影響は、2021年にも続く見通し
・ラスベガスストリップの回復は米国では最も遅いだろう。マカオは、渡航制限の緩和時期次第
・各市場の売上高のYoY増減率は、
 米国リージョナル:2020年YoY30%減, 2021年YoY29%増
 米国ラスベガスストリップ:2020年YoY45%減, 2021年YoY45%増
 マカオ:2020年YoY50%減, 2021年YoY70%増

<クレジット>
・コロナの格付けへの影響は、Negative。とりわけ、コロナ前から負債依存度が高い企業への影響は大きい
・手元流動性は、大きな問題にはならないだろう。各社とも当面の負債満期は少なく、エクイティ, デットファイナンスを実行済み
・各社とも、債務に関わるコベナンツ(債務者の義務条項)を変更済み
・各社ともキャッシュアウトフローを抑制する施策を実施済み

米国:市場展望③ Fertitta氏-Golden Nugget所有「再開後もスロー。消費心理悪化」

6月6日、Bloombergは、ティルマン・フェティータ氏(Tilman Fertitta)の投資家(プライベート)向け電話会議をレポート。

フェティータ氏は、米国を代表する富豪の一人であり、エンタテインメント分野にビジネスを展開。Fertitta Entertainmentが所有するポートフォリオには、Landry’s, Inc.(テキサスを本拠地とする外食チェーン)、Houston Rockets、The Golden Nugget Hotel and Casinosなどがある。

Golden Nugget Hotels & Casinosは、5施設を運営、それぞれ米国を代表する有力市場に位置する(Atlantic City, Biloxi, Lake Charles, Las Vegas, Laughlin)。フェティータ氏は、2005年にGolden Nugget Hotels & Casinosを買収した。

6月6日現在、Golden Nuggetは、4施設は再開済み、Atlantic Cityのみ休業継続。

フェティータ氏の主な発言は以下の通り。
「米国経済は徐々に再開しているが、新型コロナへの恐れ、経済悪化を背景に、トラベル・外食を控える傾向は強く、ゲーミング・レジャー事業は厳しい」
「テキサスでは、原油価格の低下が経済に打撃を与えており、外食事業はYoY40~45%減。とりわけに、都市部はむしろ悪化傾向にあり、足元はYoY60%減」
「様々なコストカット策を実施中。全事業を通じて、40,000人規模の人員削減を実施」
「Golden Nuggetは、大半の施設が再開。しかし、ラスベガスなど、エアー移動、コンファレンスに依存するエリアの回復はスロー」
「Golden Nuggetのハイエンド顧客は、まだ回帰していない」
「ホテルは、稼働率、ADRともに新型コロナ前に遠く及ばない情勢」

Golden Nugget Hotels & Casinosの2020年度1Q(1-3月)の売上高は、$215mn,YoY14%減。

6月5日現在、米国のカジノ施設(コマーシャル+トライバル)の開業状況は、全989施設のうち、開業519施設、休業470施設。

米国では、新型コロナウイルス(COVID-19)対応で、3月25日にコマーシャルカジノ施設の100%営業を停止(オンラインを除く、)。またトライバル施設のほぼすべてが同時点で営業を停止した

米国:市場展望② Steve Wynn氏「マカオ早い。ラスベガスの需要回帰は不透明」

5月20日、スティーブ・ウィン氏(Wynn Resorts創業者, 元CEO)は、米国FOX Businessのインタビューに対応。新型コロナウイルス(COVID-19)からの経済再開、渡航制限緩和後のラスベガス、マカオの市場回復展望を述べた。

その見解は、4月22日のLas Vegas Sandsの経営トップのコメントとおおむね同じ。

同氏は、セクハラ問題により、2018年初にWynn ResortsのCEO職を放棄し、その後にすべてのWynn Resorts保有株を売却した。今回が、それ以来の初のメディア・コメントの可能性がある。

ポイントは、以下の通り。

<企業>
・ラスベガスに拠点を持つ企業のなかでは、マカオ事業を持つ3社が相対的に優位。
・3社とは、Las Vegas Sands, MGM Resorts International, Wynn Resorts International。
・Wynn Resortsは、2008-10年のリセッションを含めて、従業員解雇レイオフを実施せず。マカオ事業のキャッシュフローがその支えだった。

<ラスベガス>
・6月1日にネバダ州が回復フェーズⅡに入った時点でホテルが再開へ。6月15日までにカジノ(フェーズⅢ以降)再開見通しが見えてくるだろう。
・再開後に需要がどれぐらいあるか不明。ロジスティクス問題、および、カジノ営業規制(社会的距離確保など)のインパクトは読めない。
米国:Wynn Resorts 米国施設群の再開後の運営方針~本格,6月以降。低稼働スタート
・市場回復の最初のハードルは、マッカラン国際空港のエアラインの就航頻度。
・IR施設、カジノホテルは、当面、低稼働が続けば、赤字状態を余儀なくされるだろう。

<マカオ>
・市場回復は、ラスベガスよりも早い。渡航制限が緩和されれば、中国の蓄積された潜在需要が表面化。
・その一例は、広州市(マカオに隣接。中国内ゆえに渡航制限の影響なし)のアミューズメントパーク。再開日に2万人が来場。

米国:市場展望① Las Vegas Sands 経営トップ業況判断~アジアは夏に回復, 米は打撃深刻。アジアM&A関心

4月22日、Las Vegas Sandsが2020年度1Q業績を発表し、経営トップが投資家向け電話会議を開催した。ポイントは、以下の通り。

<会社側の主な発言者>
・Sheldon Adelson 氏 – Founder, Chairman, Treasurer & CEO
・Robert Glen Goldstein 氏 – President, COO & Director
・Patrick Dumont 氏 – Executive VP, CFO & Director

<マカオ, シンガポール, ラスベガス市場について>
・全体
「市場別の回復の順序は、まず、マカオ、次にシンガポール、最後にラスベガスとなろう」
「アジア(マカオ、シンガポール)は、夏から秋、遅くとも10月には高いレベルの利益を確保できるだろう」
「ラスベガスは、アジアと比較し、打撃はより顕著、回復はより遅いだろう」
・マカオ
「5月中旬から下旬、マカオ市場の回復、本土等からの渡航制限が緩されていく観測がある」
「マカオは、夏にかけて段階的に回復していくだろう。巨大な需要が堆積(渡航制限等の結果、)」
・シンガポール
「6月1日(現時点の施設休場期限)の営業再開以降、シンガポールは、夏にかけて営業が回復しよう」
「自国および中国顧客は、急速に回復する。ただし、近隣諸国、マレーシア、インドネシアの訪問者は回復は、夏以降になるだろう」
・ラスベガス
「ラスベガスは、アジアと比較し、打撃はより顕著、回復はより遅いだろう」
「人々は、マスク着用や社会距離の確保などに慣れていない」
「ラスベガスは、空路のアクセスウエイトが高い。エアラインの渡航の回復も懸念される」

米国 市場実績

米国:商業市場 19年 436億ドル,YoY3.7%増, 過去最高~5日, 全989施設中519稼働

6月3日、米国ゲーミング協会(American Gaming Association)は、2019年のコマーシャル・カジノ市場(GGR)を発表。

2019年データのポイントは以下の通り。

・2019年のGGR実績は、436億ドル,YoY3.7%増、過去最高。5年連続の成長軌道を維持
・コマーシャルカジノは、全米25州にあり、2019年には21州が前年比拡大、14州が過去最高
・2019年末のコマーシャルカジノ施設数(レーシーノ含む)は465ヵ所。トライバルは524ヵ所。計989施設
・スポーツベッティングは、14州が合法化、2019年のGGRは9.1億ドル(前年は4.3億ドル)
・2019年のコマーシャル市場のトップ5は、
 1:ラスベガスストリップ 65.9億ドル
 2:アトランティシティ 27.0億ドル
 3:シカゴ 19.4億ドル
 4:バルティモア-ワシントンDC 18.8億ドル
 5:ニューヨークシティ 14.9億ドル

トライバルゲーミング市場(インディアン)は、、先住民ゲーミング委員会(The National Indian Gaming Commission, NIGC。連邦政府・内務省Department of the Interiorが管轄)が、例年7月頃に年次集計結果を公表する。
2018年のトライバル・カジノ市場(GGR)は、337億ドル,YoY4%増。施設数は501であった。

6月5日の米国全体のカジノ施設(コマーシャル+トライバル)の開業状況は、全989施設のうち、開業519施設、休業470施設。

米国では、新型コロナウイルス(COVID-19)対応で、3月25日にコマーシャルカジノ施設の100%営業を停止(オンラインを除く、)。またトライバル施設のほぼすべてが同時点で営業を停止した。

米国:カジノ市場(商業+部族) 2018年754億ドル,YoY4%増, 施設数966~9年連続拡大

9月12日、先住民ゲーミング委員会(The National Indian Gaming Commission, NIGC。連邦政府・内務省Department of the Interiorが管轄)は、2018年のトライバル・カジノ市場(GGR)を発表。
この結果、2018年の米国のカジノ市場(商業、トライバル)が明らかとなった。

2018年の米国カジノ市場(GGR)は、754億ドル,YoY4%増。施設数は966。2010年以降の拡大基調が継続。

2018年のトライバル・カジノ市場(GGR)は、337億ドル,YoY4%増。施設数は501であった。NIGCは、例年7月頃に年次集計を公表する。

6月11日、米国ゲーミング協会(American Gaming Association)は、2018年のコマーシャル・カジノ市場(GGR)を発表。
2018年は417億ドル,YoY3%増と、2010年来の拡大基調をキープした。施設数(レーシーノ含む)は465ヵ所。

米国のカジノ市場は、成熟しているが、経済成長、カジノ導入州および施設数の増加を背景に、市場規模は拡大基調をキープ。ただし、競争激化の結果、個別施設の損益は悪化するケースも多い。

米国 テクノロジー

米国:ゲーミング協会AGA, 非接触ペイメントシステム導入原則~顧客の過半に利用意向

6月16日、米国ゲーミング協会(American Gaming Association, AGA)は、カジノフロアにおける新たなペイメント・システム導入政策に関する原則を発表。

原則は、州ゲーミング規制当局、インディアンゲーミング規制当局(The National Indian Gaming Commission)に対する提言の位置づけ。

AGAは、過去18ヵ月、デジタル非接触型ペイメントシステムに関する調査検討作業を行ってきた。新型コロナウイルス(COVID-19)は、その作業の重要性を高めた結果となった。
AGAは、作業において、各規制当局、カード団体、レスポンシブルゲーミング関連団体、金融機関、その他ペイメントシステムの関係者と協業。

デジタル非接触型ペイメントシステムは、感染安全対策のみならず、レスポンシブルゲーミング、マネーロンダリング体策にも有効となる。

原則は以下の通り。
1. 顧客のレスポンシブルゲーミングの遂行性を高めるべき
2. 顧客にペイメントの選択肢と利便性を高めるべき
3. 関連法は、当局にフレキシブルな規制アプローチ、デジタル技術の進化への対応を可能とすべき
4. 顧客、パブリックな健康安全性に配慮すべき
5. 顧客に、安全性、信頼性を与えるシステムであるべき
6. 関連制度は、規制当局、オペレーター、サプライヤーに統一であるべき
7. 規制執行者は、デジタル技術を活用し、不正行為者を特定する力を高めるべき

AGAによる過去1年間のカジノ施設訪問者への調査結果は以下の通り。
・57%がデジタル非接触型のペイメントシステムの選択肢の導入は重要と認識
・59%が日常生活におけるキャッシュの利用を減らす方向
・54%がカジノフロアにおいてキャッシュでなく、デジタル非接触ペイメントシステムを利用する意向

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