マカオ:SJM Holdings 20年度1H 最終損192億円~Palace完成後,コロナ下で財務健全性は高い

2020.07.29 / カジノ
2020-07-29

【海外ニュース】

7月28日、SJM Holdingsが2019年度上半期(1H)業績を発表。

SJM Holdingsは、2020年6月末時点、保有コンセッションのもと、20のカジノ施設を運営。
うち、5つが自社施設、15施設はサテライトカジノ(サービスアグリーメントを通じ、第三者が所有・運営)。
自社施設の旗艦は、Casino Grand Lisboa。

6月末時点のネット有利子負債(リース負債を含む)は、HK$9,007mn(約1,221億円)。純資産HK$26,246mn(約3,559億円)と比較して低位。Grand Lisboa Palaceの工事完了後、そして、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響下において財務安全性は強い。

1H(1-6月)業績は、売上高YoY74%減。株主帰属当期損益HK$1,412mnの赤字(約192億円)。コロナ、市場環境を反映。

コタイ地区初進出となるGrand Lisboa Palace(総開発費390億香港ドル=約5500億円)は、2019年に建設工事は完了。政府の検査および各種申請プロセス中。2020年末までに開業予定。

財務状況 ネット有利子負債(2020年6月末):
・ネット有利子負債=HK$9,007mn(約1,221億円)
– 現預金=HK$7,511mn
– 有利子負債=HK$16,519mn(借入金HK$15,244mn, リース負債HK$1,275mn)

2020年度上半期業績(1-6月):
・売上高HK$4,374mn,YoY74%減, 調整後EBITDA HK$984mnの赤字(前年同期HK$2,078mnの黒字), 株主帰属当期損益HK$1,412mnの赤字(同HK$1,679mnの黒字)
・円換算は、売上高593億円, 調整後EBITDA 133億円の赤字, 株主帰属当期利益192億円の赤字
<プロパティ別>
– Casino Grand Lisboa=売上高(GGR)HK$1,326mn,YoY81%減, 調整後EBITDA HK$369mnの赤字(前年同期HK$1,186mnの黒字)
– その他自社施設=売上高(GGR)HK$864mn,YoY71%減, 調整後EBITDA HK$346mnの赤字(前年同期HK$584mnの黒字)
(Casino Lisboa, Casino Oceanus, Casino Eastern, Casino Taipa)
– サテライトカジノ=売上高(GGR)HK$2,704mn,YoY74%減, 調整後EBITDA HK$76mnの赤字(前年同期HK$331mnの黒字)
(全15施設)
<ゲーミング売上高の内訳>
– 合計=HK$4,272mn,YoY74%減
 GGR計=HK$4,895mn,YoY76%減
 VIP Operation=HK$1,368mn,YoY82%減
 Mass Operation=HK$3,291mn,YoY73%減
 Slot machine Operation=HK$235mn,YoY59%減
(Less)commissions and incentives=HK$622mn,YoY83%減

Grand Lisboa Palace 施設概要:
総開発費=HK$39bn(約5,500億円)
延べ床面積=約52万㎡(加えて、駐車エリアは約7.7万㎡)
ホテル=合計1,900室(Grand Lisboa Palace, Palazzo Versace, Karl Lagerfeld)
MICE、飲食、ショッピング、カジノ
・建設作業は、2014年2月に開始、2019年後半に完了。ライセンス申請済み。2020年後半に開業予定

<参考>2019年度業績(1-12月):
・売上高HK$33,875mn,YoY2%減, 調整後EBITDAはHK$4,213mn,YoY13%増, 株主帰属当期利益HK$3,207mn,YoY13%増
・円換算は、売上高4,621億円、調整後EBITDAは575億円、株主帰属当期利益437億円
<プロパティ別>
– Casino Grand Lisboa=売上高(GGR)HK$12,910mn,YoY18%減, 調整後EBITDA HK$2,349mn,YoY13%増
– その他自社施設=売上高(GGR)HK$6,308mn,YoY1%増, 調整後EBITDA HK$1,223mn,YoY37%増
(Casino Lisboa, Casino Oceanus, Casino Taipa)
– サテライトカジノ=売上高(GGR)HK$20,782mn,YoY5%減, 調整後EBITDA HK$522mn,YoY19%減
(全16施設)
<ゲーミング売上高の内訳>
– 合計=HK$33,677mn,YoY8%増
 GGR計=HK$40,000mn,YoY9%減
 VIP Operation=HK$13,687mn,YoY30%減
 Mass Operation=HK$25,127mn,YoY9%増
 Slot machine Operation=HK$1,186mn,YoY3%増
(Less)commissions and incentives=HK$6,842mn,YoY33%減

<参考>財務状況:ネット有利子負債(2019年12月末):
・ネット有利子負債=HK$481mn(約65億円)
– 現預金計=HK$15,525mn
– 有利子負債=HK$16,006mn(リース負債を含む)

マカオ:SJM Holdings 20年度1Q 当期損失56億円~3月末,Palace完成後ながら財務健全

5月5日、SJM Holdingsは、2020年度1Q(1-3月)のキー・パフォーマンス・インディケーターを公表。

株主帰属当期利益は、HK$850mn,YoY17%増(121億円)。VIPは減少ながら、マス市場拡大の恩恵を享受。ただし、事業のほぼすべてがマカオ半島にあり、コタイ地区のIR群にシェアを奪われる構図が続く。

SJM Holdingsは、2019年3月末時点、保有コンセッションのもと、20のカジノ施設を運営。
うち、4つが自社施設、16施設はサテライトカジノ(サービスアグリーメントを通じ、第三者が所有・運営)。
自社施設の旗艦は、Casino Grand Lisboa。

3月末時点の財務状況は、現金預金HK$12,114 million(1,660億円), 借入金HK$15,238 million(2,088億円)。Grand Lisboa Palaceの工事完了後に、財務安全性は強い。

現在、コタイ地区初進出となるGrand Lisboa Palaceは、政府の検査および各種申請プロセス。2020年末までに開業予定。

2019年度1Q(1-3月)キー・パフォーマンス・インディケーター:
・売上高HK$3,479mn,YoY60%減, 調整後EBITDAはHK$200mnの赤字(前年同期HK$1,075mnの黒字), 株主帰属当期損益HK$409mnの赤字(前年同期HK$850mnの黒字)
・円換算は、売上高477億円, 調整後EBITDAは27億円の赤字, 株主帰属当期損益は56億円の赤字
<プロパティ別>
– Casino Grand Lisboa=売上高(GGR)HK$1,207mn, 調整後EBITDAはHK$16mnの赤字
– その他自社施設=売上高(GGR)HK$629mn, 調整後EBITDAはHK$99mnの赤字
(Casino Lisboa, Casino Oceanus、Casino Taipa)
– サテライトカジノ=売上高(GGR)HK$2,107mn, 調整後EBITDAはHK$5mnの赤字
(全16施設)
<ゲーミング売上高の内訳>
– 合計=HK$ 3,407mn,YoY60%減
– VIP GGR=HK$1,196mn,YoY70%減
– Mass GGR=HK$2,606mn,YoY58%減
– Slot machine GGR=HK$ 141mn,YoY52%減
(Less)commissions and incentives=HK$536mn,YoY72%減

SJM Holdings 経営

マカオ:SJM Holdings 株主総会 3議長1副議長で変化なし。COO,日本担当が繰上人事

6月9日、SJM Holdingsは、年次株主総会を開催。

取締役会の体制は、デイジー・ホー議長(スタンレー・ホー氏の第二夫人の次女)。、ティモシー・フォック共同議長(スタンレー・ホー氏の創業パートナーの子息)、アンジェラ・リョン共同議長(スタンレー・ホー氏の第四夫人)、アンブローズ・ソー副議長CEOとなった。

この体制は、2018年の株主総会で形成された。スタンレー・ホー氏の逝去後も体制に変化はなかった。

6月10日、マカオ現地メディアは、SJM Holdingsの社内メモをソースに、運営体制の人事をレポート。

レポートによれば、フランク・マクファデン氏(Frank McFadden)がCOOに就任。ルイス・ン氏(Louis Ng, 2002年から現在まで)の後任となる。

また、アーノルド・ホー氏が、フランク・マクファデン氏の後任として、国際事業開発部門の責任者に就任する。SJM Holdingsの国際事業開発部門の主たるターゲットは、日本である。

マカオ:スタンレー・ホー氏が逝去~業界, 家族の勢力図変化, 営業権再入札の行方注目

5月26日、中国中央テレビ(CCTV, China Central Television)は、スタンレー・ホー氏(98歳)が26日に逝去したと報じた。

スタンレー・ホー氏は、1962年にマカオにおけるカジノ独占権を獲得。2002年の市場開放後、SJM Holdingsの経営トップとなった。2009年に自宅における転倒事故を機に、SJM Holdinsgの日々のマネジメント業務から引退。2018年6月12日、SJM Holdingsの株主総会で、経営トップ(会長、エグゼクティブダイレクター)を辞任し、新設された名誉会長のポストに就いた。

スタンレー・ホー氏は、4人の夫人との間に、17人の子息をもうけた(15人が存命)。

夫人、子息のうち、マカオのカジノ産業で大きな存在感を持つのは、
・アンジェラ・リョン氏(第四夫人):SJM Holdingsの共同会長
・パンジー・ホー氏(第二夫人の長女):MGM Chinaの第二位株主。Shun Tak Holdingsの会長
・デイジー・ホー氏(第二夫人の次女):SJM Holdingsの共同会長
・ローレンス・ホー氏(第二夫人の長男):Melco Resorts & EntertainmentのCEO

今後のマカオ、ホーファミリーの勢力図の変化の可能性が注目される。

ポイントの一つは、SJM Holdingsの支配の行方。2009年以降、スタンレー・ホー氏の後継、SJM Holdingsの支配をめぐって、家族間の争いがあったとされる。

直近では、2019年1月23日、パンジー・ホー氏(スタンレー・ホー氏と第二夫人の長女)、ヘンリー・フォック基金(スタンレー・ホー氏の創業パートナー一族)は、SJM Holdingsの支配について協調することで合意したと発表。

もう一つは、ゲーミングコンセッションの再入札の行方。現在、ホー・ファミリーは、コンセッション保有3社に大きく関係している。その3社が、再入札後にコンセッションを維持できるか注目される。

マカオ:SJM Holdings 親会社STDMの支配で合意。パンジーホー氏とフォック基金

1月23日、パンジー・ホー氏(スタンレー・ホー氏と第二夫人の長女)、ヘンリー・フォック基金(スタンレー・ホー氏の創業パートナー一族)は、SJM Holdingsの支配について協調することで合意したと発表。
パンジー・ホー氏が支配するShun Tak Holdings(香港上場。海運、資産管理業)が香港証券取引所にファイリングした。

両者は、合計で、SJM Holdingsの支配株主であるマカオ旅遊娯楽(STDM)の株式の53%を所有する。
内訳は、ヘンリー・フォック基金が26.6%、Shun Tak Holdingsが15.8%、パンジー・ホー氏が残り10.6%。

マカオ旅遊娯楽(STDM)は、SJM Holdingsの株式の54%を所有する。

この結果、アンジェラ・リョン氏(スタンレー・ホー氏の第四夫人)の影響力が相対的に希薄化した。アンジェラ・リョン氏は、SJM Holdingsの共同会長であり、SJM Holdingsの株式の8.6%を所有する。

2018年6月12日の株主総会で、スタンレー・ホー氏(当時96歳)が、経営トップ(会長、エグゼクティブダイレクター)を辞任、新設された名誉会長のポストに就いた。
スタンレー・ホー氏は、パートナーとともに、1960年代初めにマカオのカジノ経営権を獲得。その後、2002年の市場開放まで市場を独占した。

SJM Holdingsの経営トップについては、デイジー・ホー氏(53歳)が会長兼エグゼクティブダイレクター職を継承。
ティモシー・フォック氏、アンジェラ・リョン氏が共同会長兼エグゼクティブダイレクターに、アンブロース・ソー氏が副会長兼エグゼクティブダイレクター兼CEOに就任。

デイジー・ホー氏(53歳)、ティモシー・フォック氏、アンジェラ・リョン氏の3会長体制となった。
デイジー・ホー氏は、スタンレー・ホー氏の第二夫人の次女。
ティモシーフォック氏は、スタンレー・ホー氏の創業パートナーの子息。
アンジェラ・リョン氏は、スタンレー・ホー氏の第四夫人。

現在のマカオのカジノ・コンセッション6社のうち、SJM Holdings、Melco Resorts & Entertainmentは、スタンレーホー氏のファミリーの支配下にある。Melco Resorts & Entertainmentの最大株主は第二夫人の令息であるローレンス・ホー氏。

また、MGM Chinaの創業パートナーであり、第二株主は、パンジー・ホー氏。
MGM Chinaは、当初は、パンジー・ホー氏とMGM Resorts Internationalがイーコールパートナーシップであった。その後、MGM Resorts Internationalが株式を買い増し、株式の56%を所有。現在のパンジー・ホー氏の株式所有は22.49%。

マカオ・ゲーミングコンセッション再入札

マカオ:行政長官 カジノ営業権再入札プロセスに言及~21-22年前半。改めて”更新”否定

4月20日、賀一誠・マカオ特別区行政長官は、2020年後半にゲーミング法改正に関するパブリックコンサルテーションを実施することを明らかにした。
同時に、改めて、次回のゲーミング・コンセッション(カジノ営業権)の発給プロセスは、新規再入札であり、自動更新ではないことを強調。

今後の流れは、ゲーミング産業の中期レビュー・レポートの分析、パブリックコンサルテーション、ゲーミング法改正、ゲーミング・コンセッション再入札の実施となる。
新型肺炎(COVID-19)の影響で、作業は遅れ気味であるが、2020年後半にパブリックコンサルテーションを実施予定。

ゲーミング・コンセッションの再入札における焦点は、何社分が発給されるか、現有コンセッション保有者の喪失の可能性、新規事業者の参入の可能性。

2019年4月19日、崔世安・前行政長官は、政府として、ゲーミング・コンセッション再入札が、現行営業権の満期(2022年6月26日)前に実施されること、延長オプションを行使しない方針を明らかにした。
現在のゲーミング法では、行政長官は、その権限により、ゲーミング・コンセッションの最大5年間の延長が可能。

マカオでは、コンセッション保有者(および、コンセッション保有者とサービスアグリーメントを締結した事業者)のみが、カジノ運営を許可される。コンセッションは、強大な権益であり、6社の企業価値を支える原動力である。

図表:マカオ カジノ運営6事業者のコンセッション 満期日

コンセッション満期日 事業者 証券取引所 カジノ施設数 獲得順
2022年6月26日 SJM Holdings 香港証券取引所 22
2022年6月26日 Wynn Macau 香港証券取引所
2022年6月26日 Galaxy Entertainment 香港証券取引所
2022年6月26日 Sands China 香港証券取引所 4(サブ)
2022年6月26日 MGM China 香港証券取引所 5(サブ)
2022年6月26日 Melco Resorts & Entertainment NASDAQ 6(サブ)

注1:カジノ施設数は2018年12月末時点
注2:2019年3月15日、マカオ政府はSJM Holdingsのコンセッション(MGM China Holdingsのサブ・コンセッション)の満期日を、2020年3月31日から2022年6月26日に延長を承認
注3:(サブ)はサブコンセッション。Sands ChinaはGalaxy Entertainmentより、MGM ChinaはSJM Holdingsより、Melco Resorts & EntertainmentはWynn Macauより取得
 

SJM Holdings 日本IRに関連する動き

北海道:北海道IRショーケース(2019年1月9-10日)出展7社+特別協賛1社

– シーザーズ・エンターテインメント
– ハードロック・ジャパン
– メルコリゾーツ&エンターテインメント
– モヒガン・ゲーミング・アンド・エンターテインメント
– ラッシュ・ストリート・ジャパン
– SJMホールディングス
– 〈特別協賛〉クレアベスト
北海道IRショーケース Day2 2日計6,990人来場~有力候補地の熱気。関西と双璧

SJM Holdings 日本参入にチーム編成 2020年営業権満期後を懸念

・2017年6月13日、SJM Holdingsが、同社の年次総会を開催
・CEOであるAmbrose So氏は、日本市場参入を目指し、チーム編成すると発言
・同社は、2020年のカジノ・コンセッション満期後の更新の有無について懸念を持つ
・マカオの市場の変化(VIPからマスにシフト)も同社に構造変化を促す
・同社のコタイ進出プロジェクトGand Lisboa Palaceは、2018年下期に開業予定
・同社は、最近、デイジー・ホー氏(スタンレー・ホー氏の二番目の妻の子)をエクゼクティブディレクターに任命

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