遊技機の音がしないホールが現実になる!

2020.06.22 / コラム

日報ではホールの騒音問題については耳にタコができるぐらい取り上げてきた。直近では6月7日付エントリーの「打つ気を削ぐ音量の改善を望む」がそれ。

打ち手が次のように切実に訴える。

「音量1(最低音量)で爆音のメーカーさんがあるんですよ。音量くらいどんな人の要望でも応えられる機能を搭載して頂きたい。最低音量なんて無音でもいいくらいですよ。無音で打ちたいと思う人だっているはずです。音量1がほぼ聞こえず2から爆音というメーカーさんもあります。ホントお願いしますよ」

これはメーカーの「自社機を他社よりも目立たせたい」という深層心理が働いているため。メーカーにとっての顧客はホールなので、ユーザーの意見よりも購買するホールにインパクトを与えるものに走りがちになる。ユーザーの意見を聞き入れる気はサラサラないことが分かる。

長年の懸案であるホールの騒音問題に一石を投じるシステムが考案された。KMSの「サイレント・ボックス」がそれ。平成30年4月27日に特許取得。令和元年7月17日には実用新案登録が下りている。

開発の経緯を発明者の峰晴正行氏は次のように話す。

「クールジャパンで日本のアニメコンテンツは海外でも高い人気があります。そのコンテンツを使ったスロットやパチンコがあるにも関わらず、インバウンド客をホールに集客することができないのが現状です。リサーチした結果、興味があるのにホールに来てもらえない理由は遊技機から出るホール内の騒音です。次にタバコの煙でしたが、こちらは解消されました。それなら、ホールから出る遊技機の音響を消せば、問題が解消されるという発想です」

騒音はインバウンド客の取りこぼしだけでなく、日本人の初心者だって嫌がっていることは日報でも何度も指摘している。5分と耐えられない人も少なくない。

しかし、業界はパチンコが好きになれば、騒音もそのうち気にならないぐらいにしか受け止めていない。つまり、騒音は慣れの問題、という意識がある。

現在、風営法上、遊技機から直接イヤホン端子を付けることはできない。そこでKMSが開発したのは遊技機の音声出力を「サイレント・ボックス」に接続することで解決させる。この状態では遊技機の音響は無音状態になる。遊技客は「サイレント・ボックス」にイヤホンを接続して遊技機音を楽しむ。イヤホンはホールが用意するもよし、ユーザーの私物のヘッドホンやBluetoothイヤホンにも対応できる。その方が臨場感も増すし、音量も周りの音を拾わないので、自分の好みの調整がより効果的にできる。




「緊急災害時にはその情報を割り込ませることもできるので、ホール全体を清音化させるだけでなく、安全性の確保にも寄与できます」(峰晴氏)

インバウンド客用に遊技機説明を英語や中国で解説することも技術的には可能だ。コロナ終息後には騒音問題に本腰を入れて取り組む一石にもなりそうだ。








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