客足が戻らないのは回収モードの餌食にならないための防衛本能か
2020.06.18 / コラムコロナ騒動も一段落した6月、多摩川の河川敷で草野球の試合が行われた。コロナ自粛で久しく行われていなかった。早朝5時半に開始した今回の試合では感染防止のために5回までとした。グローブ以外、マイバットを持っていないので、バットは使いまわすことになるが、その都度消毒したりした。
試合が終わって近くにあるサントリービールの府中工場へ向かい、工場見学後の試飲タイムが彼らの楽しみの一つでもあった。
対戦相手と試飲タイムで反省会と称して親睦を図るのだが、できたてのモルツの味は格別だった。で、今回の対戦相手がホール企業であることが分かった。
パチンコ好きのメンバーもいたので、パチンコ業界に興味津津となった。
「ウチは休業要請中1カ月以上全店閉めていました。最初は交代で出勤して店の掃除や設備の点検をやっていましたが、そのうちやることがなくなり、後半は出勤しなくてもよくなりました」
「その間の給料はどうなったの?」
「10割補償です」
「すごいですね」
「会社から同好会のレクリエーション活動の補助も出るので、今回の試合も会社公認なんですが、ホールからクラスターを出さないためにも、バットの使いまわしは禁止、手袋をするように厳命されました」
ホール名は教えなかったが、「〇〇〇〇の方ですか?」と探りを入れるも笑って逃げた。
ホール名を明かさない代わりにビールで饒舌になったのか、核心めいた話にも。
「5月26日から営業再開していますが、前年同月比で売り上げは8割ダウンです。カネを使わなくなりました。客数はちょっとずつ戻っているんですが、パチンコ店へ行くのが恥ずかしくなったのか、常連様でも朝から並ばなくなったり、裏口から入る方も増えました」
休業要請に応じず営業を続けたホールに対して、連日のように報道されたパチンコバッシングの影響は、こんなところにも表れている。
「開店から正午までの稼働は前年比で9割ダウンです。出足が鈍いのは宣伝広告ができないからです。新台入れ替えしかないのですが、それが店に来ないと分からない。新台を導入しても世の中におカネが回っていないので、お客様の手元におカネがない。当分無理でしょう」と半ばあきらめ顔だ。
特に予想以上に戻って来ないのが1パチの年配客。ただ、5スロの若者は戻っていているのが唯一の救い。
「パチンコ好きなら割数という言葉は知っていますよね。とても割なんか上げられないので、今の時期は来ない方がいいですよ」
正直と言えば正直だ。しかし、客だってそんなことはある程度想像できる話で、回収モードの餌食にはならない防衛本能が働いているのかもしれない。