マカオ:SJM Holdings 株主総会 3議長1副議長で変化なし。COO,日本担当が繰上人事
2020.06.11 / カジノ【海外ニュース】
6月9日、SJM Holdingsは、年次株主総会を開催。
取締役会の体制は、デイジー・ホー議長(スタンレー・ホー氏の第二夫人の次女)。、ティモシー・フォック共同議長(スタンレー・ホー氏の創業パートナーの子息)、アンジェラ・リョン共同議長(スタンレー・ホー氏の第四夫人)、アンブローズ・ソー副議長CEOとなった。
この体制は、2018年の株主総会で形成された。スタンレー・ホー氏の逝去後も体制に変化はなかった。
6月10日、マカオ現地メディアは、SJM Holdingsの社内メモをソースに、運営体制の人事をレポート。
レポートによれば、フランク・マクファデン氏(Frank McFadden)がCOOに就任。ルイス・ン氏(Louis Ng, 2002年から現在まで)の後任となる。
また、アーノルド・ホー氏が、フランク・マクファデン氏の後任として、国際事業開発部門の責任者に就任する。SJM Holdingsの国際事業開発部門の主たるターゲットは、日本である。
マカオ:スタンレー・ホー氏が逝去~業界, 家族の勢力図変化, 営業権再入札の行方注目
5月26日、中国中央テレビ(CCTV, China Central Television)は、スタンレー・ホー氏(98歳)が26日に逝去したと報じた。
スタンレー・ホー氏は、1962年にマカオにおけるカジノ独占権を獲得。2002年の市場開放後、SJM Holdingsの経営トップとなった。2009年に自宅における転倒事故を機に、SJM Holdinsgの日々のマネジメント業務から引退。2018年6月12日、SJM Holdingsの株主総会で、経営トップ(会長、エグゼクティブダイレクター)を辞任し、新設された名誉会長のポストに就いた。
スタンレー・ホー氏は、4人の夫人との間に、17人の子息をもうけた(15人が存命)。
夫人、子息のうち、マカオのカジノ産業で大きな存在感を持つのは、
・アンジェラ・リョン氏(第四夫人):SJM Holdingsの共同会長
・パンジー・ホー氏(第二夫人の長女):MGM Chinaの第二位株主。Shun Tak Holdingsの会長
・デイジー・ホー氏(第二夫人の次女):SJM Holdingsの共同会長
・ローレンス・ホー氏(第二夫人の長男):Melco Resorts & EntertainmentのCEO
今後のマカオ、ホーファミリーの勢力図の変化の可能性が注目される。
ポイントの一つは、SJM Holdingsの支配の行方。2009年以降、スタンレー・ホー氏の後継、SJM Holdingsの支配をめぐって、家族間の争いがあったとされる。
直近では、2019年1月23日、パンジー・ホー氏(スタンレー・ホー氏と第二夫人の長女)、ヘンリー・フォック基金(スタンレー・ホー氏の創業パートナー一族)は、SJM Holdingsの支配について協調することで合意したと発表。
マカオ:SJM Holdings 親会社STDMの支配で合意。パンジーホー氏とフォック基金
もう一つは、ゲーミングコンセッションの再入札の行方。現在、ホー・ファミリーは、コンセッション保有3社に大きく関係している。その3社が、再入札後にコンセッションを維持できるか注目される。
マカオでは、6社(中国系3社、米国系3社)がゲーミング・コンセッション(サブ・コンセッションを含む)を所有しており、すべて2022年6月26日に満期を迎える。
政府は、ゲーミング・コンセッション再入札(更新ではない、)が、現行営業権の満期(2022年6月26日)前に実施する方針。
再入札において、何社分のコンセッションが発給されるか、現行6社のうち何社がコンセッションを持続できるか、新規事業者のコンセッション獲得があるか、などが注目点。
マカオでは、コンセッション保有者(および、コンセッション保有者とサービスアグリーメントを締結した事業者)のみが、カジノ運営を許可される。コンセッションは、強大な権益であり、6社の企業価値を支える原動力である。
図表:マカオ カジノ運営6事業者のコンセッション 満期日
コンセッション満期日 | 事業者 | 証券取引所 | カジノ施設数 | 獲得順 |
---|---|---|---|---|
2022年6月26日 | SJM Holdings | 香港証券取引所 | 22 | 1 |
2022年6月26日 | Wynn Macau | 香港証券取引所 | 2 | 2 |
2022年6月26日 | Galaxy Entertainment | 香港証券取引所 | 6 | 3 |
2022年6月26日 | Sands China | 香港証券取引所 | 5 | 4(サブ) |
2022年6月26日 | MGM China | 香港証券取引所 | 2 | 5(サブ) |
2022年6月26日 | Melco Resorts & Entertainment | NASDAQ | 4 | 6(サブ) |
注1:カジノ施設数は2020年3月末時点
注2:2019年3月15日、マカオ政府はSJM Holdingsのコンセッション(MGM China Holdingsのサブ・コンセッション)の満期日を、2020年3月31日から2022年6月26日に延長を承認
注3:(サブ)はサブコンセッション。Sands ChinaはGalaxy Entertainmentより、MGM ChinaはSJM Holdingsより、Melco Resorts & EntertainmentはWynn Macauより取得
マカオ:SJM Holdings 親会社STDMの支配で合意。パンジーホー氏とフォック基金
1月23日、パンジー・ホー氏(スタンレー・ホー氏と第二夫人の長女)、ヘンリー・フォック基金(スタンレー・ホー氏の創業パートナー一族)は、SJM Holdingsの支配について協調することで合意したと発表。
パンジー・ホー氏が支配するShun Tak Holdings(香港上場。海運、資産管理業)が香港証券取引所にファイリングした。
両者は、合計で、SJM Holdingsの支配株主であるマカオ旅遊娯楽(STDM)の株式の53%を所有する。
内訳は、ヘンリー・フォック基金が26.6%、Shun Tak Holdingsが15.8%、パンジー・ホー氏が残り10.6%。
マカオ旅遊娯楽(STDM)は、SJM Holdingsの株式の54%を所有する。
この結果、アンジェラ・リョン氏(スタンレー・ホー氏の第四夫人)の影響力が相対的に希薄化した。アンジェラ・リョン氏は、SJM Holdingsの共同会長であり、SJM Holdingsの株式の8.6%を所有する。
2018年6月12日の株主総会で、スタンレー・ホー氏(当時96歳)が、経営トップ(会長、エグゼクティブダイレクター)を辞任、新設された名誉会長のポストに就いた。
スタンレー・ホー氏は、パートナーとともに、1960年代初めにマカオのカジノ経営権を獲得。その後、2002年の市場開放まで市場を独占した。
SJM Holdingsの経営トップについては、デイジー・ホー氏(53歳)が会長兼エグゼクティブダイレクター職を継承。
ティモシー・フォック氏、アンジェラ・リョン氏が共同会長兼エグゼクティブダイレクターに、アンブロース・ソー氏が副会長兼エグゼクティブダイレクター兼CEOに就任。
デイジー・ホー氏(53歳)、ティモシー・フォック氏、アンジェラ・リョン氏の3会長体制となった。
デイジー・ホー氏は、スタンレー・ホー氏の第二夫人の次女。
ティモシーフォック氏は、スタンレー・ホー氏の創業パートナーの子息。
アンジェラ・リョン氏は、スタンレー・ホー氏の第四夫人。
現在のマカオのカジノ・コンセッション6社のうち、SJM Holdings、Melco Resorts & Entertainmentは、スタンレーホー氏のファミリーの支配下にある。Melco Resorts & Entertainmentの最大株主は第二夫人の令息であるローレンス・ホー氏。
また、MGM Chinaの創業パートナーであり、第二株主は、パンジー・ホー氏。
MGM Chinaは、当初は、パンジー・ホー氏とMGM Resorts Internationalがイーコールパートナーシップであった。その後、MGM Resorts Internationalが株式を買い増し、株式の56%を所有。現在のパンジー・ホー氏の株式所有は22.49%。
SJM Holdings 業績動向
マカオ:SJM Holdings 20年度1Q 当期損失56億円~3月末,Palace完成後ながら財務健全
5月5日、SJM Holdingsは、2020年度1Q(1-3月)のキー・パフォーマンス・インディケーターを公表。
株主帰属当期利益は、HK$850mn,YoY17%増(121億円)。VIPは減少ながら、マス市場拡大の恩恵を享受。ただし、事業のほぼすべてがマカオ半島にあり、コタイ地区のIR群にシェアを奪われる構図が続く。
SJM Holdingsは、2019年3月末時点、保有コンセッションのもと、20のカジノ施設を運営。
うち、4つが自社施設、16施設はサテライトカジノ(サービスアグリーメントを通じ、第三者が所有・運営)。
自社施設の旗艦は、Casino Grand Lisboa。
3月末時点の財務状況は、現金預金HK$12,114 million(1,660億円), 借入金HK$15,238 million(2,088億円)。Grand Lisboa Palaceの工事完了後に、財務安全性は強い。
現在、コタイ地区初進出となるGrand Lisboa Palaceは、政府の検査および各種申請プロセス。2020年末までに開業予定。
2019年度1Q(1-3月)キー・パフォーマンス・インディケーター:
・売上高HK$3,479mn,YoY60%減, 調整後EBITDAはHK$200mnの赤字(前年同期HK$1,075mnの黒字), 株主帰属当期損益HK$409mnの赤字(前年同期HK$850mnの黒字)
・円換算は、売上高477億円, 調整後EBITDAは27億円の赤字, 株主帰属当期損益は56億円の赤字
<プロパティ別>
– Casino Grand Lisboa=売上高(GGR)HK$1,207mn, 調整後EBITDAはHK$16mnの赤字
– その他自社施設=売上高(GGR)HK$629mn, 調整後EBITDAはHK$99mnの赤字
(Casino Lisboa, Casino Oceanus、Casino Taipa)
– サテライトカジノ=売上高(GGR)HK$2,107mn, 調整後EBITDAはHK$5mnの赤字
(全16施設)
<ゲーミング売上高の内訳>
– 合計=HK$ 3,407mn,YoY60%減
– VIP GGR=HK$1,196mn,YoY70%減
– Mass GGR=HK$2,606mn,YoY58%減
– Slot machine GGR=HK$ 141mn,YoY52%減
(Less)commissions and incentives=HK$536mn,YoY72%減
Grand Lisboa Palace 概要:
・総開発費=HK$36bn(約5,040億円)
・延べ床面積=約52万㎡(加えて、駐車エリアは約7.7万㎡)
・ホテル=合計2,000室(Grand Lisboa Palace, Palazzo Versace, Karl Lagerfeld)
・MICE、飲食、ショッピング、カジノ
マカオ:SJM Holdings 19年度 当期利益437億円,YoY13%増~コタイPalace開業前に実質無借金
3月16日、SJM Holdingsが2019年度通期業績を発表。
SJM Holdingsは、2019年12月末時点、保有コンセッションのもと、20のカジノ施設を運営。
うち、4つが自社施設、16施設はサテライトカジノ(サービスアグリーメントを通じ、第三者が所有・運営)。
自社施設の旗艦は、Casino Grand Lisboa。
株主帰属当期利益は、HK$3,207mn,YoY13%増(約4375億円)。VIPの縮小をマス拡大でカバー。
コタイ地区の新規大型施設Grand Lisboa Palaceの開業の直前で、実質ほぼ無借金の財務体質を確保。
Grand Lisboa Palace(総開発費390億香港ドル=約5500億円)は、2020年後半に開業予定。
2019年度業績(1-12月):
・売上高HK$33,875mn,YoY2%減, 調整後EBITDAはHK$4,213mn,YoY13%増, 株主帰属当期利益HK$3,207mn,YoY13%増
・円換算は、売上高4,621億円、調整後EBITDAは575億円、株主帰属当期利益437億円
<プロパティ別>
– Casino Grand Lisboa=売上高(GGR)HK$12,910mn,YoY18%減, 調整後EBITDA HK$2,349mn,YoY13%増
– その他自社施設=売上高(GGR)HK$6,308mn,YoY1%増, 調整後EBITDA HK$1,223mn,YoY37%増
(Casino Lisboa, Casino Oceanus, Casino Taipa)
– サテライトカジノ=売上高(GGR)HK$20,782mn,YoY5%減, 調整後EBITDA HK$522mn,YoY19%減
(全16施設)
<ゲーミング売上高の内訳>
– 合計=HK$33,677mn,YoY8%増
GGR計=HK$40,000mn,YoY9%減
VIP Operation=HK$13,687mn,YoY30%減
Mass Operation=HK$25,127mn,YoY9%増
Slot machine Operation=HK$1,186mn,YoY3%増
(Less)commissions and incentives=HK$6,842mn,YoY33%減
財務状況:ネット有利子負債(2019年12月末):
・ネット有利子負債=HK$481mn(約65億円)
– 現預金計=HK$15,525mn
– 有利子負債=HK$16,006mn(リース負債を含む)
Grand Lisboa Palace 施設概要:
総開発費=HK$39bn(約5,500億円)
延べ床面積=約52万㎡(加えて、駐車エリアは約7.7万㎡)
ホテル=合計1,900室(Grand Lisboa Palace, Palazzo Versace, Karl Lagerfeld)
MICE、飲食、ショッピング、カジノ
・建設作業は、2014年2月に開始、2019年後半に完了。ライセンス申請済み。2020年後半に開業予定
SJM Holdings 日本における活動
デイジー・ホー会長, 日本進出意欲「日本に調査チーム派遣」
・6月11日、SJM Holdingsの取締役会議長、会長、エクゼクティブディレクターであるデイジー・ホー氏が年次株主総会にてメディア対応
・そこで、デイジー・ホー氏は、日本進出への意欲を強調
「日本にチームを派遣し、参入機会を調査」
~ただし、ターゲットエリアについては、明らかにせず
アーノルド・ホー氏 日本IR進出へ 中国顧客サービス力と日本の伝統を融合@Japan Gaming Congress
・5月16-17日、Japan Gaming Congress(JGC)が都内にて開催された。主催は、Clarion Events Ltd.(クラリオン・イベンツ, 英国)
・運営スポンサー
– バリエール / ギャラクシーエンターテインメントジャパン / 日本MGMリゾーツ / メルコリゾーツ&エンターテインメントジャパン / モヒガン・ゲーミング・アンド・エンターテインメント / SJMホールディングス / ウィン・リゾーツ・リミテッド
・補助スポンサー
– ハードロック・ジャパン / ラッシュッストリートジャパン / アルゼゲーミング / コナミ / サイエンティフィックゲームス / 日本金銭機械 / GT法律事務所
・SJM Holdingsは、アーノルド・ホー氏(COO補佐)が登壇。主な発言は以下の通り
「中国顧客向け観光産業とのリレーション、ネットワークが強み」
「同社の中国顧客へのサービス力と日本の伝統サービスを融合させる」
「IRで”日本のブランド化”に貢献する」
「マカオ・コタイ地区で開発中のGrand Lisboa Palace(開発費46億ドル)は西洋と東洋の融合力の証明」
北海道:北海道IRショーケース(2019年1月9-10日)出展7社+特別協賛1社
– シーザーズ・エンターテインメント
– ハードロック・ジャパン
– メルコリゾーツ&エンターテインメント
– モヒガン・ゲーミング・アンド・エンターテインメント
– ラッシュ・ストリート・ジャパン
– SJMホールディングス
– 〈特別協賛〉クレアベスト
北海道IRショーケース Day2 2日計6,990人来場~有力候補地の熱気。関西と双璧
SJM Holdings 日本参入にチーム編成 2020年営業権満期後を懸念
・2017年6月13日、SJM Holdingsが、同社の年次総会を開催
・CEOであるAmbrose So氏は、日本市場参入を目指し、チーム編成すると発言
・同社は、2020年のカジノ・コンセッション満期後の更新の有無について懸念を持つ
・マカオの市場の変化(VIPからマスにシフト)も同社に構造変化を促す
・同社のコタイ進出プロジェクトGand Lisboa Palaceは、2018年下期に開業予定
・同社は、最近、デイジー・ホー氏(スタンレー・ホー氏の二番目の妻の子)をエクゼクティブディレクターに任命