ピデアな男 中島 大(BBステーション日暮里店 店長)

2020.06.09 / 連載

「改めて地域に生かされていることを再認識した」−−−
地域密着をモットーとするBBステーション日暮里店は、都からの要請に応じ、4月10日から5月26日までの期間協力休業を実施した。

Twitterで「店長ぴぃ」という名前で活動している同店の中島大店長は休業期間中、近隣の飲食店などに声をかけ、弁当や野菜の販売所として店舗を提供し、本当の意味での地域密着に気付いたのだという。

(取材日:5月20日)

地域に生かされていることに気付かされた点では
ある意味で良い経験になったと思っています

PiDEA編集部(以下略編) いつから休業が続いているのでしょうか。

中島大店長(以下略中) 4月10日からです。営業をするか休業要請に応じるか社内で葛藤はありましたが、やはりお店に来ていただけるお客さまとスタッフの安全を考慮し、社長が「今回は休みましょう」と決断しました。この新型コロナウイルス騒動は、私の業界歴中でもベスト3に入る出来事です。

編 ちなみに業界歴はどれくらいですか。またベスト3って他に何がありましたか。

中 業界歴は18年です。順位はつけられませんが、埼玉で責任者を務めていた店舗が採算がとれずに閉店になったことです。赤字ではなかったのですが、ダメージが大きくなる前に畳もうという判断でした。これが私の中では大きい。

編 あともう1つは何ですか。

中 あとは東日本大震災ですかね。いろんな規制とか機械の変遷はありましたが、それは時代の流れなので悲観はしませんでした。でも、今回は世界がガラッと変わってしまったので、本当に大きな出来事だと思います。

編 現在(取材当時)は店舗でお弁当や野菜の販売をされていますが、これはどのような経緯で始まったのですか。

中 休業が始まってから、日々開店するまでに何が必要かを考えていました。その中で栃木の系列店である佐野店から、「近隣の飲食店さんが相当きつそうにしている。ドライブスルー方式でお弁当販売に協力してみたところ結構反応がいい」という話を聞きました。都内だと駐車場がある店がないので難しいかもしれないけど、とにかく動いてみようと。

編 店探しはどうやったんですか。

中 これはもう、近くの飲食店を一軒ずつ回りました。

編 それですぐ見つかったのでしょうか。

中 反応はそれほどありませんでした。でも、私のTwitterアカウントで宣伝したり、P-worldのメールを使ったりした中で、たまたま当店のお客さまであった方から「ぜひお願いしたい」と申し出をいただいたことで始まりました。飲食店探しの動きが始まったのが4月末くらいで、それまでは玉の循環を確認したり、悶々としていましたね。

編 やはり葛藤みたいなものがあったのでしょうか。

中 「パチンコ屋さんのお仕事がない」っていう、今まで当たり前だった日常がなくなったのですごいストレスが溜まりました。ぶっちゃけお酒の量も増えましたし。やっぱり体に染み込んだ生活習慣があるんですよ。お客さまをお出迎えして遊技していただいて帰っていただく。スタッフと接する。面白いことを考える。そういったことができないことにすごいストレスを感じました。

編 休業中はお店に来ていたようですが、出勤扱いなんですか。

中 お休みですね。でも、家にいるより、お店に来ている方が気が晴れるというか、何かを考えるにしてもアイデアが湧くのでなんだかんだ来ちゃっています。

編 では実際にお弁当販売が始まったのはいつからでしたか。

中 5月7日からですね。3店舗の飲食店さんに加え、私のフォロワーさんから生ハムの販売委託をされました。それを含めて4店舗です。

編 お野菜は農家さんから仕入れたりするんですか。

中 これはお弁当販売をされているさちこさんという方が野菜の卸の方にお願いして持ってきてもらったものです。生産者の方も飲食店がこういう状況なので、手助けをしたいという話がありまして、快くお受けしました。

編 いろんな人とのつながりで輪が広がっていく。とても良い関係が築けていますね。

中 こういうことがあったから私自身救われているんです。世の中が混乱している時とか、政治を進める時は仮想敵が必要なので、パチンコ業界ってすぐにバッシングされるじゃないですか。私なんかはどっぷりこの業界に浸かっているので気にしないことも多いですけど、この業界に入ったばかりの方とかはメンタルをやられてしまいますからね。

編 販売する期間は決まっているのでしょうか。

中 休業期間中は続けようと話はしています(※編注:5月27日からパチンコ店の営業再開に伴い、弁当販売は終了)。このタイミングでどうなるか分からないですが、さすがに6月以降も休業が続くとなると耐えられないかなと。

編 お弁当や野菜販売の収益ってどうなっているんですか。

中 あくまで当店は場所を提供しているだけですので、1%ももらっていません。

編 完全なる慈善事業ですね。

中 我々のお仕事はパチンコ屋さんですし、飲食店の方もお互い困っているので、そういう時こそ協力できたらいい。不純な考えかもしれませんが、こういうことをやっていれば、日常が戻った時に「ちょっとでも行ってみようかな」と思っていただけるかもしれないじゃないですか。だから、地域に生かされているということに気付かされたという点ではある意味で良い経験になったと思っています。こうした活動によって直接的な収益は生まれませんが、お店が地域に存在している理由を見出せたり、自分も含めスタッフのモチベーションになります。どうしても今まで目が向いていたのは自店のお客さまに対してだけであって、お店に来ない方までは目が向いていませんでした。日々の営業の中では、そこに専念することはできませんでした。

 


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