【特別寄稿】特措法の問題点と協力金や助成金の制度について/鈴木政博

2020.05.20 / コラム

緊急事態宣言の期間が5月6日から5月31日までに延長され、休業要請に応じる多業種から悲鳴が聞こえている。もちろんパチンコ店も例外ではなく、これまでだけでも法人の破産や店舗の廃業が数多く出ている。今回は、緊急事態宣言による休業要請について、特措法や給付金や協力金、雇用調整助成金などの制度も含めて考えてみたい。

1.休業要請への流れ
4月7日に安倍晋三首相が「緊急事態宣言」を発出。対象は7都府県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・大阪府・兵庫県・福岡県)とされたが、4月16日になって対象を全国に広げると宣言。「特定警戒都道府県」として13都道府県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・大阪府・兵庫県・福岡県・北海道・茨城県・石川県・岐阜県・愛知県・京都府)を指定した。

まず、緊急事態宣言が出た時点からドタバタが始まったのはご承知の通りだ。本誌前月号でPOKKA吉田氏も「特措法の建付けが悪い」と既に述べていた通り、この「新型インフルエンザ等対策特別措置法」はスムーズに機能しづらいことがいきなり露見した形となった。

まず、緊急事態宣言自体は「政府対策本部の本部長(安倍晋三首相)」が発出する。そして「休業要請」自体は権限を付与された各自治体の知事が出す。しかし、実は、知事は休業要請について勝手に決められない。以下の部分があるからだ。

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」より抜粋


(政府対策本部長の権限)
第二十条 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、基本的対処方針に基づき、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに前条の規定により権限を委任された当該指定行政機関の職員及び当該指定地方行政機関の職員、都道府県の知事その他の執行機関(以下「都道府県知事等」という。)並びに指定公共機関に対し、指定行政機関、都道府県及び指定公共機関が実施する新型インフルエンザ等対策に関する総合調整を行うことができる。

また、国は緊急事態宣言発出に伴い「基本的対処方針」を5月4日に改正した。以下の部分だ。

「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」より抜粋


(3)まん延防止
3)施設の使用制限等(前述した催物(イベント等)の開催制限、後述する学校等を除く)
①(中略)
特定警戒都道府県は、法第24 条第9項に基づく施設の使用制限等の要請を行い、また、法第45 条第2項から第4項までに基づく施設の使用制限等の要請、指示を行うにあたっては、国に協議の上、外出の自粛等の協力の要請の効果を見極め、専門家の意見も聴きつつ行うものとする。政府は、新型コロナウイルス感染症の特性及びまん延の状況を踏まえ、施設の使用制限等の要請、指示の対象となる施設等の所要の規定の整備を行うものとする。

理容店やホームセンターも含め、すぐにでも「休業協力要請を出したい」都と「外出自粛の効果を見極めた上で決めたい」国で綱引きがあり、結果として理髪店やホームセンターは対象外として特措法24条の「休業協力要請」が出たのは11日0時。この件で小池百合子知事は「(知事の)権限は元々、代表取締役社長かなあ、と思っておりましたら、天の声がいろいろ聞こえてきまして、中間管理職になったような感じ・・・」と漏らした。

オリジナルサイトで読む