特措法改正するなら十分な補償を

2020.05.11 / コラム

特措法が揺れている。休業要請しても応じなかったパチンコ店に対して大阪は店名を公表した。にもかかわらず連日営業を続ける大阪・堺市の大型店が大々的に取り上げられた。

1300台あまりの大型店なので人も集まりやすい。在阪テレビ局はヘリコプターを飛ばし空撮する熱の入れよう。朝の大行列もバッチリ撮影できてカメラマンは「よっしゃ!」と心の中で叫んだに違いない。東京のキー局でも休業要請に応じない都内のパチンコ店が槍玉に上がる。

休業要請後は連日に亘ってテレビ局がパチンコ店のことばかり取り上げるものだから、西村経済再生担当大臣が、「『指示』にも従わない施設が多数発生する場合は、罰則や強制力を伴う仕組みの導入に向けた法整備を検討せざるを得なくなる」と法改正をちらつかせ、休業要請に応じないパチンコ店をけん制した。

休業要請に応じないのがパチンコ店だけのような偏向報道がメディアには多い。パチンコ店は規模が大きくて目立つ。だからターゲットになりやすい側面がある。加えて、パチンコをしない人が大半なのでパチンコを叩いて潰れようがどうでもいい、とでも考えているのだろうか?

緊急事態宣言下で居酒屋などは酒の提供は夜7時までで8時には閉店しなければならない。そこで登場してきたのが闇飲み屋だ。看板を下ろし、電気を薄暗くして仕込みをしている体で常連客を入れて3密状態で営業を続けている。「家賃分ぐらいは稼ぎたい」というのが店主の言い分。

パチンコバッシングが日増しに高まる中、全国に先駆けて組合員に休業要請した大遊協の平川理事長がテレビのインタビューに答えた。大遊協加盟ではない一部のパチンコ店が営業を続けていることについてこう述べた。



「業界の人間として非常に残念に思っています。組合の店舗も(経営が)苦しいところはたくさんあります。その中でも踏ん張って感染拡大防止のために休業しているので、条件はみんな同じだと思います。従業員の生活を守るためというが、一番大事なのは命ですから」

では、休業要請に応じなかったことによって特措法を改正してでも強制力を持たせるのか?

これについては弁護士の橋下徹氏が至極真っ当な正論を述べている。

「店名公表は明らかに罰金刑より重い罰だが、特措法は『営業の自由は守られているのだから補償はしない』はおかしいだろ! 休業要請ではなく営業停止の強制を認めて、しっかり補償する法律を作れ!」

ホール企業はカテゴリー的には中小企業でも、売り上げは大企業並みなところが、補償の帳尻合わせが難しい。

連日、営業中のパチンコ店が槍玉に上がる中、ではユーザーはどうして行くのか?

「友達同士のLINEグループで、営業中のパチンコ店に怖いもの見たさ感覚で行って写真をアップする『俺は行ってきたぜ』がブームにもなっているようです」(在京キー局関係者)

火災場現場に野次馬が集まるようなものか。

いずれにしても、営業を続ける一部のパチンコ店によって特措法の改正話に話が広がってしまうのは残念では済まない。










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