緊急提言を出した岐阜県遊協の大野理事長に聞いた

2020.04.30 / コラム

29日のコメントにこんな一節があった。

「岐阜県遊技業協同組合の提言を見ると、ここの記事もコメントもいかに視野が狭くレベルが低いか分かる」

グサッと来た。

で、調べたら県内のホール経営者及びスタッフに宛てた提言が出てきた。さっそく発出者である岐阜県遊協の大野春光理事長にコンタクトを取った。転載を了承してもらったので、全文を掲載する。時候の挨拶もカットした導入部分から惹きつけられてしまった。

以下本文

単刀直入に申し上げます。

緊急事態宣言前は、パチンコは三密ではないし、しっかりクラスター防止対策をしていますと言えました。しかしながら、緊急事態宣言が発せられた今、感染対策をどれだけ訴求しても世論の理解は得られません。

社員の雇用、地域社会への貢献を訴えても、既に県から休業要請が出された時点で営業継続すること自体が社会悪となりました。

本当に頑張っているのは、雇用関係も含め、会社全体で血を流しても休業を選択した店舗です。中には、再開できないかもと検討している企業も多くあると聞き及びます。

等しく皆様に申し上げたいことがあります。

店舗の鍵を持っている店長さん、あなたのお店の社員の健康に医学的根拠を示して安全だと宣言できますか?

あなたのお店に集うお客様に対して根拠を示して、万全な感染対策ができていますか?

医療機関ですら感染防止ができない状況で、社員を感染から守り二次感染を防止するためには、接客スタッフ全員に防護服を着用させても、完全とは言い難いでしょう。だからこその休業要請なのです。

休業要請に従うことは、ホールで働く大切なスタッフとお客様を守るという姿勢の表明です。

店長さんをはじめ現場の責任者の方は、明日店舗の鍵を開ける責任の重みを今一度考えてください。

経営者なら、鍵を開けさせられる現場責任者の辛さを考えてあげて下さい。

県遊協には連日、是正を求める電話、FAXが届いています。中には、この状況では怖くて働けない、組合から社長に休むよう指導して欲しいとの、ホールスタッフからの悲痛な電話もあります。

これを読んだ経営者に店長さんは自分の部下、そしてなにより大切なお客様を守る為に今何をすべきか、よく考えて下さい。

大阪府の例を見ても分かるように、僅か数店舗の経営判断の誤りが、業界全体の社会的評価を著しく損ないます。

非常事態宣言前は感染防止の努力にもかかわらず、客足が遠のき、ホールはコロナウイルス禍の犠牲者でした。しかしながら岐阜県が緊急事態宣言の特別地域に指定されて以降は、残念なことにホールが営業を続けることはコロナウイルス感染の加害者の立場となりました。

未だ営業を続けているホールは、自らが社会的加害者であるのみならず、痛みに耐え懸命に営業自粛している同業他社に計り知れないダメージを与えている事を改めて自省頂き、遊技業を将来に残す為にも、速やかなる休業を再度強く要請いたします。

以上

引用終わり

どんな理由、事情があろうとも今、営業を続けることはコロナ感染拡大の加害者になってしまう、という大野理事長の悲痛な叫びが伝わってくる。

特にホールの場合は越境パチンコが問題視されている。営業している店舗を探し出してそれが他府県であろうとも車で1時間ぐらいの移動は厭わない。となると政府からすれば営業しているホールが悪い、となる。緊急事態宣言の延長理由をパチンコのせいにされそうな勢いでもある。

休業に応じないホールについて大野理事長に見解を尋ねた。

「県遊協の制度によってまちまちになりますね。東京都遊協は除名処分を検討と言ってますが、検討はできても実際に除名処分にするには手間も時間もかかります。相手にそこを見切られたらアウトです。岐阜県の場合は除名したところで、単独で営業できてますから、員外を一店舗増やすだけです。休業要請は都道府県知事がしていることですから、我々には何の権限もありません。だから、答える立場にはありません」

続いてクローズアップされた依存症問題についてはこう話す。

「パチンコ依存の問題と、休業要請対応について一緒に語ることは避けるべきです。松井市長はじめ、大阪維新はパチンコをスケープゴートにしてIR支持者を広めたい戦略に利用してますから、特に同じ土俵で語り合いたくはありません。日工組社安研の中間報告書では、直近一年に遊技障害おそれのある人が全国に40万人いるとの調査結果。その40万人が行き場をなくしているのが、現在の喧騒を生んでいるだけのことです。逆に言えば960万人のパチンコファンは、自粛に耐えている現状を本当は訴えたい」

依存症の人は開いていれば行く。それが依存症という病だ。

がまん週間もあと7日。

延長は5月一杯の後1カ月が濃厚となってきた。






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