換金停止で休業に踏み切った大阪の決意
2020.04.20 / コラム「土方殺すにゃ刃物はいらぬ。雨の3日も降ればよい」
これは雨の日は仕事にならない日銭商売の職業で、3日も雨が続いたなら日々の生活に困る人たちのぼやきを現した格言だが、さしずめパチンコは換金を3日でも止めりゃよい、と置き換えられる。
土方の天敵は雨、パチンコは換金停止ということになるが、大遊協の決意は凄かった。組合自らが率先してコロナ問題に対応するために4月18日から事実上換金を停止してしまった。警察行政が換金を停止させたことは過去にはあったが、前代未聞だ。
大遊協が16日、組合員に通達した文書には、大遊協傘下ホールの賞品流通を担う大和産業が、従業員と交換所出納員のコロナウイルス感染リスクを避けるため4月18日から当面の間、賞品の集配送業務及び交換業務を停止する措置を取ったとしている。
大阪府下では712店舗が営業している。7日の非常事態宣言を受け、10日現在で55%の店舗が休業に応じていた。さらに13日に大阪府がパチンコ店に休業要請を発令したことで休業店舗は78%に達していたが、それでも14日現在162店舗が営業を続けていた。
事実上換金が停止することでパチンコ店の休業要請に応じなかった店舗も休業せざるを得ない状態になった。
大阪府下には大遊協に加盟せずに、大阪福祉防犯協会に加盟する店舗が約80店舗ほどある。こちらの賞品流通は大和産業を使わず、関西三本コーヒーを使っている。
大阪福祉防犯協会に加盟するホール関係者はこう話す。
「大遊協からの通達が出て、三本にすぐに確認したら賞品は流通させるとのことでした。うちは営業していますが、周りが休業していることで2割ほど稼働が上がっています。換金できなくなって一部のお客さんは貯玉で遊ばれるかも知れませんが、三本も賞品を止めたらやっていけません」と不安を募らせる。
大遊協の通達文は大阪福祉防犯協会や三本コーヒーにも流されている、という。これをどう受け止めるかで大阪が全面的に換金停止になるかどうかがかかっている。
「福祉防犯はしかたないとしても、大遊協加盟店に100%休業してもらうためには、この方法しかありませんでした。しかしこれで廃業ペースは格段に上がることは間違いありません。うちを含め借地でやっているホールは本当に厳しいです」(大遊協加盟ホール関係者)
換金停止は休業要請の最終手段でもある。日増しにパチンコバッシングが高まる中、全国の手本とも言えるが、大阪のように3店方式がきっちり出来上がっているから成せる裏技とも言える。
この強権発動が他府県に及ぶことは考えられない。