［失敗と復活］大手から中小への転職（後編）／パック・エックス

［連載第20回］
パック・エックスキャリアアドバイザーが語る「転職のタメになる話」
「外に出て分かる自らの価値　～真のプライドを感じた瞬間～」（後編）

（前回のあらすじ）
大手法人から中小法人へ店長候補で転職したキムラさん（仮名）。持ち前の行動力で転職後も安泰と思われたものの、約1年が経過した後も店長へ昇進することができませんでした。「前職の看板を背負っていたことが、僕の価値だったんです……」。落ち込むキムラさん。そして。。。。

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キムラさんのように、転職後にこれまでの成功体験が生かせないのは非常に苦しく辛いことですが、これをどのように捉え、どう動くのか、そこが人生の分かれ道です。前職での成功体験を引きずって現実に向き合わなかったり、ぽっきりと折れてしまいドロップアウトしてしまうなどネガティブになってしまう人はたくさんいます。しかしキムラさんは、現実を自分なりに解釈し、認め、腐ることなく今の環境やポジションでの戦い方を模索するようになりました。

私（パック・エックス耳塚）は、「なぜ、そこまで頑張れるのか。その原動力は何なのか？」、愚問と思いつつも聞いてみたことがあります。キムラさんはこう答えました。

「あの頃の自信はもうありません。けど、自分を諦めたくないんです。ここで諦めたら今まで自分がしてきたすべてを否定することになる。それだけは絶対に嫌だと思いました」

彼の本音が垣間見えた瞬間でした。きっと彼がこれまでに関わった前職の同僚や、お世話になった先輩、副店長まで育ててくれた上司など、いろいろな人たちの顔を想い浮かんだのでしょう。漫画「ワンピース」でこんなシーンがあったような気がします。

そして入社から1年半、その努力と成果が認められ晴れて店長へと昇格となりました。私はキムラさんが店長に昇格できた理由を人事担当の方に聞いてみました。

それは「同僚、上司、部下からの絶大な信頼感と影響力・組織変革」でした。営業面においては弱者の戦い方を学ばせ経験を積ませれば良い。しかし、組織変革においては人間力、リーダーシップが強く求められる。彼に価値を見出したのはまさしくこの部分だったのでした。

そもそも、採用に至った最大の理由は、「大手法人のノウハウ」より「彼の人間性から垣間見えた組織への影響、変革への期待値」だったそうです。また、提示した待遇が前職より低かったことに関して、「前職がいくら大手法人といえども彼は当時あくまで副店長。どんなに実績が素晴らしくても、それは彼個人の技量からくる成果とは考えにくい。つまり、良くも悪くも未知数であり、同等またはそれ以上の待遇は提示できない」というのです。

高待遇を提示する以上、会社はそれに見合った結果を求めます。当然結果が出なければそれなりの処遇をせざるを得ないわけです。それはお互いにとってマイナスにしかなりません。冷静にキムラさんの人間性と将来性を考えた待遇提示がなされたのでした。

昇格後数か月はなかなか思うような業績を残せていなかったようですが、これまで培った人材育成、オペレーション改善、各機能の効率化を図るなど、積極的に提案実行し成果をあげていったようです。

入社当初、キムラさんが大手法人出身ということで「どうせプライドの塊のような奴なんだろう」と既存スタッフは構えていたようです。彼がなかなか営業成果を出せずにいた時も「たぶん辞めていくだろうな」というのが大方の見方だったようです。しかし、ふたを開けてみれば既存スタッフの誰よりも謙虚で、貪欲で、努力をしていました。その姿が刺激を与え、店舗内外でのコミュニケーションを活発にし、改善施策なども店舗間の垣根を越えて行われるようになりました。キムラさんは自らの行動で店舗組織を大きく変えたのです。

うまくいかず苦しかった時に出た「あの頃の自信はもうない。けど、自分を諦めたくない。ここで諦めたらこれまでのすべてを否定することになる。それは絶対に嫌だ！」。これに彼の本質、プライドが凝縮されています。きっとこれからもどんな苦境も乗り越えて行くんでしょうね。

かくありたいものです。

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（企業プロフィール）
株式会社パック・エックス（http://www.pac-ex.com/）

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