[失敗と復活]大手から中小への転職(前編)/パック・エックス

2016.08.08 / 連載

[連載第19回
パック・エックスキャリアアドバイザーが語る「転職のタメになる話」
「外に出て分かる自らの価値 ~真のプライドを感じた瞬間~」(前編)

こんにちは。パック・エックス、キャリアアドバイザーの耳塚です。今週も転職のためになる話しをしていきたいと思います。

これまでパチンコ業界のキャリアアドバイザーとしていろいろな人とお会いしてきました。出会った人の数だけドラマがある訳ですが、今回は大手法人出身のキムラさん(仮名)のお話です。

キムラさんは当時28歳。大手法人で副店長をしていました。ポストレスでなかなか昇格の目処が立たず、転職の相談にいらっしゃいました。曰く「30歳前には店長になり、本当の意味で店舗全体の管理経験を積んでおきたい」とのこと。

新規出店は毎年計画的に行う法人でしたが、スピード、数が追いつかず「順番待ちの列」ができていました。いつになるかわからない昇格人事を待つよりも、これまでのノウハウや実績を引っ提げ「自らを売り出した方が早いのではないか?」とキムラさんは考えたわけです。

在籍する法人が資金力もブランド力も待遇も良かった場合、「留まる」と結論を出す方が十中八九です。現状を客観視することで自社の素晴らしさを改めて認識できたりもするわけですね。

しかしキムラさんは転職活動を行い、最終的には在籍している大手法人を離れ新たな環境でチャレンジすることを選択しました。その結果、面接を受けた6社すべてから内定を勝ち取り、在籍法人の待遇よりも良い条件を出された企業は4社。キムラさんと一緒に大喜び! 彼の市場価値は非常に高かったということですね。しかし、「何をもって市場価値というべきなのか」。この時の私は本当の意味を知るよしもなく、逆にキムラさん本人と採用した人事の方から教えてもらうことになるのです。

入社を決めた法人は発展途上の中小ベンチャー企業。店長候補のスタートで、明確なキャリアプランとスケジュールがあり、未成熟な反面、固定概念に捕らわれない企業体質、スタッフを大切にする社風が決め手でした。待遇は下がりましたが、実績を出せばすぐにでも昇格できる環境。入社前に祝勝会を開いたのですが「数カ月後にはエリア長になっているかもしれないですよ」とキムラさんは自信たっぷりでした。確かに、キムラさんは人物的に魅力もあり、業界内外に留まらず知識習得する姿勢やこれまで学んできた理論などから、実現できそうな雰囲気はありました。

しかし快調な船出とは裏腹に、キムラさんはどうやら苦戦を強いられていたようです。店長候補で入社したはずが3カ月後には主任というポストに正式配置となり、さらに6カ月が経過した後も店長にあがれませんでした。

「えっ、どうして……?」

どうやら「これまで学んできた営業戦略、戦術が一切通用しない」のが原因でした。大手の戦略と中小の戦略はまったく違っていたため、目標とする業績をなかなか上げることが出来ずにいたのです。

キムラさんは、「前職で成功していたのはあくまでも企業力、ブランド力があってのものでした。自分の力で成し遂げていたわけではなかったんです」と落ち込んでいました。さらに、転職活動当時を振り返りこう語りました。「高待遇を提示してきた法人(4社)は数十店舗を出店している大手どころ。前職の内部事情やノウハウが分かれば、採用するのが自分でなくても良かったんだと思います……」と。キムラさん個人に対する評価というより、「大手法人に所属していたキムラさん」を見ていたのです。それはつまり「前職法人の価値」であったともいえます。

(後編へ続く)

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(企業プロフィール)
株式会社パック・エックスhttp://www.pac-ex.com/

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