出玉の上・下限値や高設定割合の開示など広告宣伝ルールの見直しを提案/MIRAI公開経営勉強会

2021.08.27 / 組合・行政

8月25日、MIRAIぱちんこ産業連盟(以下略MIRAI)は「第3回MIRAI公開経営勉強会」をぱちんこ広告協議会(以下略PAA)と共催で開催した。Zoomによるオンラインで行われた勉強会のテーマは「デジタル化社会を見据えた、ぱちんこの広告宣伝ルールの在り方」で、約200名が視聴した。

 第1部ではビール酒造組合専務理事の板垣武志氏と日本たばこ産業東京支社の吉田祐介氏がそれぞれの業界の広告宣伝のルールと特徴を解説。前者の主要関連法令はビールの表示に関する公正競争規約で、自主規制として酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準を定めている。ルールの特徴は「社会的要請から20歳未満者の飲酒や飲酒運転といった行為を防止し、健康面に配慮した表示義務の自主規制が設けられている」とした。

後者はたばこ事業法を主法令とし、製造たばこに係る広告、販売促進活動及び包装に関する自主基準など計7つの自主基準マニュアルがある。ルールの特徴は「社会的要請から20歳未満者の喫煙防止及びたばこの消費と健康との関係に配慮し、広告・販促活動が過度にならないこと、消費者の商品選択に資することを目的として、健康面に配慮した包装表示や注意文言などの規制が設けられている」とした。

一方、パチンコは風営法を主な法令とし、行政見解や自主規制に基づく広告ルールがある。特徴としては「射幸心を著しくそそることのない健全な販促広告を行うこと」が求められ、この考え方をベースにした対応が「都道府県単位で行われており、運用レベルには地域差がある。また、依存症対策など社会的要請にも応える取り組みを実施している」とした。

これを踏まえ、第2部では「パチンコの広告宣伝を見直す可能性」について、MIRAI法律・規則部会の生島靖也部会長の進行で、三堀清弁護士、PAAの大島克俊理事長らを交え、パネルディスカッション形式で議論した。

生島氏は「この10年間で業界を取り巻く環境は大きく変化してきた。業界は射幸性が著しくならないよう、射幸性の抑制(コントロール)や広告宣伝自主規制、依存問題への対応を行ってきた。この間、広告・宣伝の手法はアナルグからデジタルへ変化した。その一方で広告宣伝のルールは平成24年の警察庁通達のままとなっており、10年という区切りで改めて見直す余地があるのではないか」と言及した。

 また、現在の広告宣伝に関するルールとして、風営法第16条、第12条、施行規則第7条、都道府県条例、行政見解(平成24年7月20日通知)といった法令等による制限がある。一方で業界団体よる自主規制として広告宣伝全般の規制・ルールおよび総付景品ガイドラインがあるが、「行政見解、社会情勢、ホール営業者動向などに合わせルールを新設、改廃してもいいのではないか」と提案した。

 その上で、ルール見直しの方向性として、行政通知に関しては「事実を正確に示していない、もしくは客に誤認させるような表記を用いる場合のみ不可とする方向で見直していく」。一方、地域規制に関しては事実を告知する場合は「著しく射幸心をそそるおそれのある行為」や「法令違反行為をうかがわせる広告宣伝は禁止する」ことを前提に、「出玉の上限値や高設定の割合、出玉の下限値や他の設定の割合などもバランスを勘案し開示することであおり広告を防ぐ」ことをポイントに都道府県の規制を見直すとともに、全国統一化を図っていくという案を示した(下掲図表参照)。

 勉強会ではこのように行政通知や組合自主規制などをさまざまな角度からの見直すことで「時代にあった、分かりやすい広告宣伝ルールに変えていく議論を始めてもいいのではないか」と結論づけた。 

 

 

 

写真は勉強会開催のあいさつをする金光淳用副代表理事

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