高橋正人「金賞品の提供球数一斉変更?」

2015.08.26 / 連載

【水曜】高橋正人のパチンコ運用リアル養成講座

[第63回]特殊景品の諸問題

何やら「東京」がざわついている。都遊協が『金賞品の提供球数の一斉変更』を言い出したからである。模索〜検討〜摺合せ〜合意・・・等々の経過は今後の対応になるのだろうが、その期間は「2か月間」となり、11月上旬には一気に変更となる可能性も感じる。従来から様々な問題視されてきた問題だが、ココへ来て「リアリティがある」様相を呈している。

■そもそも【業界等価】の違法性の根拠とは?


<仕入価格+仕入経費を下回る価格で提供しない>と言う前提条件を根拠としている。これは過去にも一部で問題視されていた「ダンピング問題」とは異なり、【風営法】の問題と【独禁法】の問題と言う、『全く違うステージでも問題である』と私は認識している。つまり、風営法下では「射幸心をそそる」事は当然違法行為となるが、「射幸心をそそるおそれのある行為」も禁じている訳で、『それに該当する(可能性がある)』と判断されたと考えられる。よって、仮に「市場価格=1,000円=250玉交換」の賞品が、「仕入価格+仕入手数料経費=999円以下」であれば何とか問題は無いのであるが、それが「1,000円以上」となると、それなりに問題があると言う見解になる。

■【ベース値上昇】と【3つの選択肢】の関連性もある!?


併せ、昨今の機構調査に代表される「一般入賞口への入賞」の問題提起が成され、その違法性も関連性がある。現状では『一般入賞口に全く入らない遊技機』として対処する旨は、「6月23日」に警察庁から発せられた通りである。これにより、『いわゆる「BY値」が上昇する事になる』訳で、結果的に「通常ベース値」が上昇する事になる。その反動結果として、【3つの選択肢】がある。

【3つの選択肢】
1:(同一のスタート値営業のままとする場合)⇒粗利額が減少する。
2:(同一の営業粗利にする場合)⇒スタート値(回転数)を下げる。
3:(同一粗利&同一スタート値としたい場合)⇒損益分岐点を上げる

この3つの選択を強いられる事となる。この選択肢から『何を選択するか?』、若しくは『何と何を組み合わせるか?』の問題になるが、結果的には、【今後のパチンコ遊技機スペック】やら、【未来の消費増税問題】やら等々を考慮すると、『とりあえず㈫の選択は必須』と考える事も、十分頷ける話でもある。

■具体的な【落しどころ】の交換玉数を考察してみる

「ベース値とスタート値」の粗利変化は、前々回のコラムで書いた通りですので、そちらを参考にして頂くとして、今回は【同一スタート値】&【同一粗利】として条件での【ベース値と交換玉数変化】をシミュレーションしてみましょう。

<現在の運用基準>・・・「BY=2.0%」「25玉交換」「台粗利=0円」「玉単価=1.5円」
<交換率を変更>・・・交換率以外の諸条件は、変動しないモノとする。
【BY=4%(+2%)】⇒「26.0玉交換」・【BY=6%(+4%)】⇒「27.0玉交換」
【BY=8%(+6%)】⇒「28.0玉交換」・【BY=10%(+8%)】⇒「28.9玉交換」
【BY=12%(+10%)】⇒「29.9玉交換」・【BY=14%(+12%)】⇒「30.9玉交換」
つまり、『「BY値=2%上昇」は、「交換玉数=1個上昇」に匹敵する』と言う事です。

<追伸>
無論、「一物一価は厳守」ですから、スロットの交換枚数も、それに準じて変更する事になりますね。ただ、現状スロット「5.0枚交換営業」のホールからすれば、突然の「6枚交換」での顧客離れも懸念されるところでしょうが、『足並みが揃えば、大きな問題は避けられる』事は、全国規模でも納得出来る範疇でしょう。しかし問題は「県境エリア」等の店舗では、相応のチャレンジになる可能性は否定出来ないのも、また現実である事が懸念される。

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高橋正人

パチンコ業界歴30年の大ベテラン。ホールや機械について、すべてを知り尽くしたコンサルタント。現在、有限会社トータル・ノウ・コネクションズ代表取締役社長、株式会社エル・イー・オー代表取締役社長。

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