高橋正人「未確認情報に踊らされるな!」

2015.09.11 / 連載

【水曜】高橋正人のパチンコ運用リアル養成講座

[第65回]パチンコ業界動向

9月を向かえ、業界動向が気になるこの頃であるが、おそらく「9月・10月」には相当数の「パチンコ業界セミナー」が開催される事だろう。業界動向が不安定な時期こそ、セミナー主催側としては『今やるべきだろう!』と言う事になるし、ホール側からしても『今少しでも聞きたい!』と言う状況になる。決して悪いことでは無いし、逆に『そうすべき』時期でもある。しかし今の混沌としている業界情勢の中で、多すぎる情報は更なる混雑を招く可能性すら懸念されるのも、また事実でもある。そこで、今後開催されるであろう多種多様なセミナーについて、その価値観を書いておこうと思う。

■「無料セミナー」と「有料セミナー」に違いはあるのか

そもそも、「情報とは有価価値のもの」となる訳だから、基本的に考えれば、『タダで全部語る事は無い』と言うのが当然でもある。・・・であるならば、「無料セミナー」にて価値ある情報は語られるのか?の疑問が生じる。ところが現実は、『有料セミナーより無料セミナーの方が、リアルな情報価値が高い』場合が多くなるのである。なぜならば、有料セミナーの場合「会員」である場合が多く、それは継続的に行われているので、内容が画一化する可能性が高い。この場合は【継続的に行う】教育系の内容に適している。反面「無料セミナー」となると、講師は知名度も低く「未来の為の自社コマーシャル」の側面があり、そうなると、『ウケ無ければ次が無い』訳で、結果的に『レベルの低い話は出来ない』事になる。そして今旬な情報提供がされる場合が多い。問題は、「継続的に開催されている無料セミナー」がどうなの?となるが、問題は主催者では無く、『講師の面々が誰なのか?』が重要になる。「新しい講師=新しい情報」の可能性が高いので、要チェックである。

■多種多様な情報インプットは必要となるが・・・


絶対に信じてはいけないセミナー内容がある。今は信じていけない事がある。それが『こういうテクニックで集客しましょう』と言うセミナー内容である。無論、全く意味が無い訳では無い。問題は、その集客テクニックに「コンプライアンス上の問題が発生する」可能性が高い場合である。そもそもそれを平気で言う講師もセミナーも、今の時代背景では正直無理であり、信じるに値しない。いわゆる「抜け道探し論」と言うのは、どこかに違法性が絡む可能性が高く、『何かあってもなんとかなる』と言う概念は、しばらくは捨てた方が良い。

■最も悪いのは、想像と妄想で未来を語る事


仮に『先日○○県で、こういう行政事案があった』としても、それはその県での話しであり、他の公安委員会管轄では関係無い事である。【警察庁のオフィシャル文書】だけが、その方向性を決めているものであるが、それでさえ『地域行政実行の是非は、各都道府県公安員会で動く事』なのですから。ただし、現実情報としての価値はあるし、その余波は否定出来ない側面があるのは事実。しかし「所詮はネタ」で終わる可能性は高く、同一公安委員会でなければ、「一つの情報」として捉えておく方が良い。

■今後の懸念材料としては・・・
【東京の交換率変更問題】(あくまでも「今は東京都」の問題である)
【2016年以降の射幸性高い遊技機の撤去問題】(現状、全日遊連の意向を「他5団体」が支援)
【11月以降の遊技機設置保証問題】(未定)
【11月終了する機構調査のその後】(「検査」では無く、「調査終了」である)
【中古機流通の是非問題】(一応、今年年内は大丈夫っぽい決定だが・・・)
等々、様々な業界問題を抱えているが、結果『何も決まっていない』と言う現実もある。

つまり、業界取り巻く環境・ルールの整備が行われていないのに、『今こうすべき!』なんて言う「テクニック論=戦術論」は、あくまでも仮定の話であって、根拠の無い妄想にすぎない。ただし、『リスクマネージメント的には不可欠な情報』である以上、耳を傾ける必要は絶対である。

■今必要なセミナーは「2系統」
一つは【①:継続的な教育系】と、もう一つは【②:今現在の業界動向】である。そして未来を語っていいのは、①の教育系だけであり、②は未来を語る事は出来ないのである。ただし、【リスクマネージメント】の観点からは、『②の内容から多くの選択肢を考える』事は必要となる。何度も言うが『②の内容から、「こうすべき」と語る者は愚かであり、信じる者も愚かである』

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高橋正人

パチンコ業界歴30年の大ベテラン。ホールや機械について、すべてを知り尽くしたコンサルタント。現在、有限会社トータル・ノウ・コネクションズ代表取締役社長、株式会社エル・イー・オー代表取締役社長。

 

 

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