高橋正人「普通機運用の前提条件」

2015.10.30 / 連載

【水曜】高橋正人のパチンコ運用リアル養成講座

[第72回]【普通機】の運用を考察してみる

今年秋冬に入り、2機種がリリースされた【普通機】。一つは愛喜「CRAコスモアタック7」で、一つは「CRA −gon昭和物語」。ご存知の通り「昭和物語」は手打ち式となっている。手打ち式の是非はさておくとして、この【普通機】と言う仕様の機種に対して、実際の現場では『どう運用するのか?』悩ましいところではあるが、現状考えられる運用ポイントを整理しておこうと思う。

■本来は【前提条件】が必要なんだけど・・・ね
『普通機は必要か?』と聞かれれば・・・『必要ではない』との答えになる。『では、不要か?』と聞かれれば・・・『はい!不要です』と答える。でも、この答えには『何に対して?』の前提条件が抜けている。その前提条件は各々によって違う場合、当然ながら【その答え】も違ってくるハズである。本来は【その前提条件】が抜けている答えは意味が無い事になる。

■では、前提条件を考えてみる
(1)「売上貢献」ならば・・・絶対に不要である(玉単価=10銭程度を想定。1パチの4分の1程度)
(2)「粗利貢献」ならば・・・まぁ不要である(台売上=台粗利だとしても、限界値がそこまでになる)
(3)「稼働貢献」ならば・・・考える余地はある(上記(1)と(2)を一旦無視して、考える必要性はある)
(4)「集客貢献」ならば・・・微妙である(ネタで言えば手打ちパチンコになるが・・・)
営業ベースで考えれば、この4つのカテゴリーで考える事になる。更に付け加えるならば、以下の(5)がある。
(5)「C/P貢献」ならば・・・機械代償却よりも、入替不要のC/Pなら考慮できる。
つまり、設置したら『まぁ3年間は入替が無いだろう』と言う事である。(稼働の有無に拘らず代替機種が無い)
結果的には、「稼働貢献」と「C/P貢献」と言う観点のみでの導入条件となる。また、【稼働させるための運用】が想定していなければ、導入する意味が無くなってしまう。

■さて、運用について考えてみよう
(A):【運用の絶対条件】は、「出玉率=100%(またはそれ以上)」である事だと私は思っている。つまり等価交換営業であれば「粗利=0円」となる。「打てば必ず玉が減る」様な普通機を打つ客は基本的に皆無である。唯一99%で営業するとすれば、「持玉の移動持込OK!」の条件は必須となるであろう。まぁ『僅かな持ち玉で、ちょっと試し打ち』的な気分で手に触れてもらう考え方になる。

(B):【有利な運用条件】は、非等価営業で「出玉率=101%以上」を可能にする事である。その出玉率が高ければ高い程、「だらだらと増える遊技台」として認知しやすくなり、勝てないけど【負けない台】として存在する可能性を見出せる。仮に28玉交換であれば、「千円(250個)使って280個の持ち玉」となる訳で、これを10分間で体感するとなると、「(セーフ)1,280÷(アウト)1,000=128%」となる。1時間で体感するとなると、同「6,280÷6,000=104.7%」となる。まさかの5時間だと「30,280÷30,000=100.9%」となる。

(C)赤字覚悟の【打ち止め制】も一つの思考である。仮に等価営業「2,500玉打ち止め」制にした場合、最初に使用する金額(売上)はさておき『必ず1万円になる』訳で、問題は『それに必要な時間(出玉率)』である。1日3回の打ち止めになれば、その時点で3万円分の景品玉が出ており、売上合計3千円であれば、「2万7千円の赤字」になる。1回の打ち止めに2時間を要するならば、「最大アウト=36,000稼働」となる。

また、開店時間が楽しみになるお客さんや、開放を楽しみにするお客さんが、店舗滞留してくれれば、その赤字分は十分償却出来得るかもしれない。こうなると「遊技機単体での評価」ではなく、店舗全体への影響も加味しなければならないが、その影響は『全く数字に表れない』ので、効果判断は「イメージ論」となってしまうのが難点。また、広告宣伝規制に対して「射幸心をそそるおそれ」と言われれば、なんとも切ない話でもある。

<追記>
いずれにしても、【対象遊技機の運用】を考慮無しで導入するのは、「遊技機の評価」そのものでは無く、「営業者の評価」になる訳で、ある程度『覚悟の上での導入』と『店舗全体像での導入運用』が必須となる。「ハネモノ」も同様の思考・スキルが必要であるが、それ以上に『機械次第では無く、運用次第』が色濃く反映される事となる。導入後の『やっぱりダメ機械だなぁ』と言うのは、それは『やっぱり俺はダメな奴だなぁ』って事になりますよ。

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高橋正人

パチンコ業界歴30年の大ベテラン。ホールや機械について、すべてを知り尽くしたコンサルタント。現在、有限会社トータル・ノウ・コネクションズ代表取締役社長、株式会社エル・イー・オー代表取締役社長。

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