高橋正人「出荷釘と検査釘は今…」

2015.10.22 / 連載

【水曜】高橋正人のパチンコ運用リアル養成講座

[第71回]【高BY】による【高ベース】機時代に突入したのか?

【CRぱちんこ仮面ライダーフルスロットル】が、全国標準リリースされたのが「19日(月曜日)」。先行リリースされたのが、九州の一部と、京楽産業.の直営店(名古屋市)である。その営業詳細データについては、「さておき」となるが、遂に「高ベース時代」の到来を予見されるものとなるであろう。今回は、その辺りについてコラムしてみようと思う。

■【警察庁の見解】を再確認してみる。
(1)以前警察庁は「6月23日付け」にて、「ホール宛」に『一般入賞口に全く玉が入らない仕様に改造された遊技機については、同遊技機を営業の用に供している場合は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第20条第1項違反となる』としている。
(2)また同日先行して「各都道府県警察宛」には、『少なくとも一般入賞口に全く玉が入らない仕様に改造された遊技機については、同遊技機を設置して営業を行う行為については、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に違反すると解される』とした上で、『各都道府県警察にあっては、同遊技機の取り扱いについては適切に対処されたい』と通知している。つまり『一般入賞口に全く玉が入らないのはダメ!』って事である。

問題は、その「責任所在の線引き」になっているのが、今の現実である。

■先ずは、現状の【出荷釘】の問題について。
そもそも論として、メーカーがパチンコ機を『「出荷した状態のゲージ」は、上記に該当しているのか?』と言う問題。今の現状では、『それは無い様な状態で出荷されている』と言う状態であろうと思われる。ただし、「全く釘を曲げていない」と言う事とは異なり、『全く入賞しない事は無い』状態であると良いだろう。つまり、『6.23問題だけに対してはクリアされている』事となる。・・・となると、ホール営業において「全く入らない」(少なくとも機構調査基準として)場合は、ホールの不正改造とみなされる事と言われてもしょうがない状態にある。

■次に、ホールの【検査釘】の問題について。
ホールでは基本的に、新設置機種のいわゆる「警察検査」があり、その承認変更の許可が下りなければ当該機種の営業は出来ない。ちなみにその検査は「各都道府県公安委員会」の管轄であり、警察の管轄では無いので、お間違えの無いように願いたい。何はともあれ、その検査においては、「一般入賞口への入賞の有無」よりも、どちらかと言うと「釘曲げ」に注視されていると感じられる。それは所轄担当官の判断であり、『それが全て』である事は承知しておくべきである。

■さて【CRぱちんこ仮面ライダーフルスロットル】はクリアされているのか?
結果論から言えば、『クリアされている』と言って過言では無い。すくなくとも「出荷ゲージ」で『一般入賞口に全く玉が入らない事は無い』ゲージ設計から出荷までされているハズである。数値結果では【BYmin=7〜10%】は有ろうと思われる。つまり「S入賞=6.0回」状態であっても「通常ベース値は25%〜28%」になる。無論その分『TYは下げられている』訳だから、決して「営業スタート値=5.0回」なんて事はまず有り得ない話で、チョイと昔なら『辛いスペックになっている』と言う事になる。もう完全に「6.23問題」と共に、一般入賞口に対する「出荷釘問題」もクリアされている機種となる。この遊技機を「BY=3%以下」で営業したとすると、『ホールが釘曲げして一般入賞口に全く玉が入らない』と言われても仕方ない事で、明らかに『そう言われる』と思われる。

■機構調査の対象機種が・・・
現状では機構調査で調査機種はオフィシャル発表はされておらず、調査結果のみの公開である。しかしその調査結果は警察庁に報告されている訳で、その際は調査の「店舗名・機種名」も報告されている。今後も「調査機種」は発表されないであろうが、もしも「導入新機種を中心として」となった場合、「仮面ライダー」の調査結果は『全く問題ないレベル』になる事は十分予想される。個人的には『非常に良い事』だと思っている。6・7・8月の調査結果は発表されたが、なぜか「9月の調査結果」が、10月には発表されていない。もちろん「10月の調査結果」がこの先発表される保証も無いし、11月も『まとめて12月に』となる可能性も残っている。

<追記>
こんな不安定な状態が続く事は、ホールは元より、メーカーだって行政だって望んでいる姿では無いであろう。今後は【健全化】に対する取組が更に強化されていく事は必然の流れであって、「射幸性の低下」やら、「釘問題」やら、「賞品提供問題」やら、健全化すべき事はあるだろうし、その徹底化もあるだろう。ましてや「反社会的組織問題」まで絡むかもしれない。とは言え、現状の釘問題では【高ベース=稼働増加】になる事は計算上の事実なのだから、ホールは受け入れる事を「高い優先順位」として、真剣に考えても良い時期だと思っている。

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高橋正人

パチンコ業界歴30年の大ベテラン。ホールや機械について、すべてを知り尽くしたコンサルタント。現在、有限会社トータル・ノウ・コネクションズ代表取締役社長、株式会社エル・イー・オー代表取締役社長。

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