JR西日本はコロナ禍の減便・旅客減に伴い、6月から運転士を含めて社員をグループ外の飲食店やホテルへ出向させることを明らかにした。余剰人員の雇用を守ることが理由としており、200~300人規模からスタートさせる。
鉄道各社はコロナ禍で人の流れが制約されたことで厳しい経営状態に陥っている。その余波は鉄道の運賃収入だけでなく、駅ナカの店舗にも影響を及ぼしている。例えば、一つの駅の構内に複数個所あった生ジュースのスタンドは、半分がシャッターを下ろすほど売り上げが下がっている。
それはSuicaのビッグデータからも分かる。生ジュースはちょっと割高なためか、リモートワークの影響からか毎日飲んでいた人が3分の1に減っている。
駅弁は元々割高だがコロナ禍では1200~1300円の価格帯は売り上げが厳しく、1000円以下にシフトしている。
コロナ禍で高いものから安いものへと庶民の行動様式が変わってきている。
リモートワークが定着するかどうかは分からないが、確実に少子高齢化は進んでおり、今後は運賃を上げてこれまでのマイナスを取り戻すしかない。
運賃収入を上げる以外に収益を上げるにはどうすればいいか?
そこで出てきたのが集客できるものを新たに加えることだった。
駅ナカでの待ち合わせの場合、ほとんど人がスマホを見ながら時間を潰している。時間潰し+集客できる案として出てきたのが、意外なことにパチンコだった。
鉄道会社が衰退産業のホール経営?と訝るが発想が全く違っていた。
「1000円以下で待ち合わせ時間に打ってもらうパチンコ」がコンセプトだった。パチンコ業界の発想ではいかに1万円使ってもらうか、ということになるが、スマホで時間を潰すぐらいなら、少額でいいのでパチンコで時間を潰してもらう発想だ。駅ナカにガチャガチャを置いているのと同じ発想だ。
で、スマホ以外で時間を潰してもらうには、今あるパチンコホールでは集客することはできないので、昔懐かしい「珍古台」を集めて、500円で30分間打ち放題にする。景品交換はなし。珍古台は収集しているマニアがいるのでそこからレンタルして、ローテーションで各駅を回る。
福生市のゲームセンター「タンポポ」の規模をもっと小さくした駅ナカ版を想像したら分かりやすい。同店では1時間1000円、2時間2000円、3時間終日という値段設定になっている。
駅ナカ珍古台パチンコ案にGOサインが出ることはなかったが、50代以上のお父さんたちの琴線に触れそうなアイデアである。
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