青山真将樹「詐欺コンサルの手口を暴露する」
2015.06.16 / 連載【月曜】青山真将樹のデータダイナマイトweb出張版
第56回: コンサルの詭弁術(その1)
オイ、諸君‼勉強してるか⁉ 今週は久しぶりにお前らが好きなコンサル話を書いてやる。ちゃんと勉強しないと青春の一撃をブチかましてやる‼ わかったか‼
中小零細に「明日」を考える資格なし‼
コンサル:社長‼ なぜ御社の業績が落ちているかお解りですか?
社長:それは…、機械成績が良くないですし、販促もできなくなったので…。
コンサル:いえ、社長、全然わかってないですね!!
社長:え、どうゆうことですか?
コンサル:社長‼ 業績が落ちているのは機械とか、販促とか関係ないんです。そんなことばかりに時間を使っているからダメなんです‼ 社長‼ 業績が落ちているのは、御社が「緊急でないが重要なこと」に取り組んでないからです‼ お解りですか!?
社長:「緊急ではないが重要なこと」ですか!?
〜(中略)〜
社長:ホントだ、ウチは稼働とか、粗利とか、集客とか、機械とか「緊急かつ重要なこと」ばかり話している。目からウロコが落ちました。すぐに改めないと‼
コンサル:そうです‼ 社長‼ これからは「緊急ではないが重要なこと」に時間を使うんです‼ 「戦略」をつくって「人材育成」に力を入れるんです。もう、パチンコマンは必要ありません。優秀なビジネスマンを育成し、他社との同質化を避け、ブルーオーシャンで戦うんです‼
社長:先生、ありがとうございます‼ 直ぐに取り組みます‼
まぁ、よく見るインチキコンサルにひっかかる光景だな。当たっている部分もあるし、全否定はしないんだけど、なんかさ、「薄っぺらい感じ」が否めないよな。雰囲気だけで会話が成立しているようで、具体的な中身が良くわからない話だな。では、「緊急且つ重要」と「緊急ではないが重要」の中身を少し、具体化してみよう。
緊急かつ重要とは…
① 直近の稼働・粗利の確保
② ①以外での短期資金調達
③ 集客施策の作り込み
④ 設定の入れ方等、店舗オペレーションに関する情報収集
⑤ 店舗スタッフの接客レベルアップ&維持
⑥ 日々の経費コストダウン
⑦ 新台情報の収集と評価
⑧ 競合店観察 など
緊急ではないが重要とは…
① 企業全体の戦略策定
② 中長期視野での集客&稼働維持
③ 幹部育成
④ 新卒採用
⑤ 法規制等、2〜3年後の業界動向の情報収集
⑥ 情報ネットワーク力の強化 など
他にも色々あると思うけど、主要なモノを整理してみた。さぁ、生徒諸君に聞いてみよう‼ 「緊急ではないが重要なもの」に取り組めば、業績が上がると思うか? 上がるわけないよな。足元が崩れている状況下において「新卒採用」とかやったところで業績なんか上がるわけないもんな。つまり、足元がしっかりしてないと、「緊急ではないが重要なこと」に取り組む権利すらないと考える方が適切だ。この議論自体が安定感のある企業向けの話で、業績が落ちている中小零細は「とにかく今日の成績をヤリ切ることだけを考える」のが重要なわけ。もともと、以下のような傾向が顕著だよな。
・好調中小社長、優秀幹部&店長 → 足元の数字必達意識が超高い。
・ダメ社長、ダメ幹部&店長 → 足元の数字を気にしない。
コレが「いま、業績が落ちている根本原因」なんだよ。ホントは。だから、弱い企業ほど、「緊急かつ重要なこと」をやり切る力・仕組みを強化しなきゃいけないわけ。じゃ、なんでコンサルは「緊急ではないが重要」の話ばかりすると思う? ホントのことを教えてやろう‼ 本当の理由は以下のとおりだ。
「緊急ではないが重要な課題」の方が、コンサルとしてオイシイ仕事だから
だって、数年間の長期契約とれるし、直ぐに結果は問われないし、新しい知識も必要ないし。機械やオペレーションの話で仕事を取る方が、いまは大変なんだよ。知識が問われるし、成功確率低い上に結果が直ぐに出ちゃうし、藤崎敏郎さんみたいに「人材育成の専門コンサルタント」と名乗っている人は別として、経営や営業全般にアドバイスするコンサルなのに、やたら「○○戦略」とか「新卒を増やしましょう」とか、息の長い話ばかりするヤツはかなりの確率で「自分のために、騙しやすい社長を探し歩いているコンサル」であるケースが多いよ。中小パチンコホールの幹部が、「ランチェスター戦略」とか「ブルーオーシャン戦略」の講義なんか受けても業績なんか上がらないよ(むしろ、無駄な時間に付き合わされるから業績が落ちる)。業界動向が月を追うごとに混沌としてきているから、不安につけこんだインチキコンサルが今後、更に横行するぜ。バカな企業が食いものにされると思うから、心配なヤツは毎週この講義を読んで。「コンサルの詭弁術」に詳しくなりな‼ わかったか‼ 今週はこれまで、またな‼
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グローバルアミューズメント(株) 代表取締役 青山真将樹
元 Hondaの商品企画プロジェクトリーダー。2007年とあるコンサル会社に入社。在籍6年9か月で4度の年間コンサルティング受注額1位を獲得。トップ コンサルタントとして活躍する一方、サラリーマンコンサルは業界に貢献できないと痛感。2013年12月独立。各種データを駆使し、メーカー& ホールの双方にコンサルティングを行う業界唯一のコンサルタントであり経営者。