金価格高騰に左右されるTUC。中景品が1500円から2500円へ

2019.09.22 / コラム

金価格の上昇が止まらない。9月20日現在1gは5674円で、年初の4537円から21%も上がっている。

ただ、マーケットの世界では、金価格の高騰は好ましい現象とは評価されていない。金は代表的な「安全資産」であり、金を買い求める動きが強くなっているということは、世界の政治経済環境に対して何らかの不安を抱いている向きが多いことを意味するためだ。

金価格の過去最高高値は1980年1月の6947円だ。この時は前年1979年12月に旧ソ連がアフガニスタンを侵攻。冷戦の緊張が高まる中、安全資産として金が買われ、価格が急騰した。しかし、5月に年間最安値の3645円となる。4カ月で3000円以上の下落幅を記録した。



では、現在の金価格の上昇の背景にあるのは何か? 米中貿易戦争によって経済活動が大きく落ち込むリスクが警戒されている中で起こったのが、サウジアラビアの石油施設のドローン攻撃だ。

サウジの日量生産能力の約半分が一時的に失われ、原油相場が高騰して日本の市民生活への影響も予想される事態となった。これに対してアメリカは石油価格の安定化のために、備蓄分を放出することを決定した。

また、この攻撃にはイランが関与しているとアメリカは見ているおり、アメリカとイランの対立が激化することも予想されている。

世界情勢不安に加え、銀行預金では0.01%未満しかない金利よりも、金価格の上昇率に期待して金で資産運用する人が増えている。

金価格の高騰は金賞品を採用しているTUCを直撃することになる。以前も金価格が高騰した時、利ザヤを稼ぐために、TUC賞品が貴金属店に持ち込まれて換金する事案があった。

その都度、TUCは価格を上げてきた。旧賞品にはシールを貼って新旧を区別した。今回ターゲットになったのが中景品(金0.3g)1500円だ。0.3gを現在価格で計算すると約1676円。TUCより金買い取りショップへ持って行った方が高く買い取ってくれる。

その対抗措置として9月20日からこれを一気に2500円に値上げした。



これは極秘に進められていたようで社員にも知らされていなかった。情報とは洩れるもので、数日前から中景品だけを求める客が増えてきた。

1500円だった中景品が20日からは2500円になるので、1000円の利ザヤが抜ける。

中景品だけ欲しいという客の要望は断ったホールもあるが、中景品が不足したホールも出てきた。

確実な方法としてTUCに来る客から中景品だけを500円上乗せして2000円で買い取るグループが新宿界隈に出没していた。

「変動相場がある金賞品を特殊景品にするのも問題がある。その都度現場は混乱するだけ」とホール現場からはため息が漏れる。











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