逆転人生、石坂産業を調べてみた

2019.08.04 / コラム

先日のヤンキーパンダさんのエントリー(おだちさんと業界イメージ)で気になるくだりがあった。

NHKで7月1日放送の「逆転人生」で取り上げられた石坂産業のケースだ。同社は元々産廃処理業者でゴミは焼却していた。焼却炉から出るダイオキシン問題で地元住人からは立ち退きを迫られる。

パチンコホール以上に産廃処理工場は、住民の反対運動があるために人里離れた山奥に建設される。嫌われ者という点では似通っているが、石坂産業では立ち退きを迫られる逆境から今では、地域住民にリスペクトされる会社になっている。どのようにしてこの逆転人生が生まれたのか?

パチンコ業界でも共有したいのは、石坂典子社長の「社会貢献できる仕事でないと意味がない」というポリシーだ。

父親の跡を継いだ石坂社長は、ダイオキシン問題で焼却炉を解体する方針を打ち出したが、住民の反対運動は収まることはなかった。そこでゴミを焼却することから、ゴミのリサイクルに方向転換する。

混合廃棄物を再資源化することは、非常に手間と分別の技術を要するので、どこも手を付けようとしなかった。

現在同社は建築の解体現場から出る廃材を再生するプラント工場として、同業者はもとより、海外からの視察団の見学が後を絶たない。

同社では木材はチップ状にして段ボールやパーティクルボード(木質ボード)の原料として出荷。廃プラスチックと混ぜ固形燃料にして製紙工場のボイラーやセメント工場の焼成炉の燃料として使用されている。金属類は、鉄、真鍮、銅、アルミ等の単一金属として取り出し再生化している。コンクリート類は破砕し再生砂利として利用するなど、リサイクル率は98%に及ぶ。

かつては「産廃屋は出ていけ!」とイメージの悪かった会社が、今では地元から愛される会社へと変わって行った。

ここで参考にしたいのが石坂社長の言葉だ。

「会社は、『何のために存在するか』ということを絶対忘れてはならないと思います。私は地域の方から反対されて、ここから出ていけと言われた時にでも、この会社の価値をすごくよく分かっていたと思います。みんながやりたがらない仕事をどこかで誰かがやらないといけない。そうじゃないとゴミが片付かない。だから、それをやってくれる人たちがいる会社は素晴らしいと。周りからバッシングされていてもすごくプライドがあった。この仕事の価値をきちんと伝えていくということが重要なことだと思っていたのですが、当時の社員たちや地域の人たちは、そんなことに興味はない。だから、その時に会社を変えていこうと。

最終的に、それらを活用してお客様を呼んできてくれるのは、社員です。社員のモチベーションややりがいといったものがなければ結局は活かされない。そこにある財産が活かされない。だから、社員教育をしていこう、石坂産業が将来持続していくためには社員の成長が大切だと思いました。社員が成長できない会社は会社も成長できない」

(J-Net21 中小企業ビジネス支援サイトより)

パチンコも何のために存在するのか、というところから今一度見つめなおそう。社員のモチベーションが上がらない仕事では業界の成長もない。






オリジナルサイトで読む