貯玉システムの是非
2020.02.13 / コラム会員カード=貯玉システムについては何度か日報で取り上げてきた。2012年4月27日、警察庁から貯玉再プレイの手数料を取ってはならないとの通達は、貯玉システムを見直すきっかけともなった。等価交換を続けるホールは別として、非等価が増える中で、より低価交換で運営しているホールの中には、手数料負担に耐えかねて貯玉システムを廃止したホールもあった。
ある会社が会員カードを持たない人にアンケートを取った。そこから見えたことは20~30代の人ほど会員カードを持ちたがらない傾向だった。理由は単純明快。個人情報が漏れる。実際にホールの系列のビデオショップからメールが来たことでホールを「信頼していない」。
さらには「ホールの会員カードのデザインがダサくて持つのが恥ずかしい」という意見もあった。
会員カードを持たない理由は個人情報が漏洩することだが、併せて会員カードを作らない=貯玉しないのはホールが倒産したら換金できないことだった。
ホールが破綻してもほとんどのホールは貯玉補償基金に加盟しているので、貯玉は一般景品と交換できるが、補償額は25万個、または5万枚(100万円)の上限が設けられている。さらには「一般景品は欲しくない」というのが本音。
山形県の老舗百貨店「大沼」が今年1月に倒産した。ここで問題になったのが大沼が発行している商品券が約5億円分使われないままに残っていること。大沼発行の全国百貨店共通商品券は、金券ショップで買い取ってもらえない状況だ。大沼は供託金を2億5000万円を入れているので半額は所有者に戻るように国へ手続きを進めているようだが、半額は泣かなければならない。
このように不測の事態が起これば、泣きを見るのは末端のユーザーだったりする。特に関東圏のユーザーは首都直下型地震が来れば、ホールも相当の被害が出るものと思っている。そうなれば、ますます貯玉はしないでその都度換金する方を選ぶ。
「手数料を取れないので1日で引き出せる上限を1万円にしていますが、貯玉分で引き出してそれで負けたらそのまま帰るケースが多い。現金ならもう1000円、もう1000円と使ってもらえる。貯玉システムがあるからお客さんの囲い込みができると思って導入したけど、その効果も薄れてきた。ウチは等価を止めたので手数料が取れないのは本当にボディーブローのように効いてきている」(都内ホール関係者)
脱等価営業が進む中で、改めて貯玉システムの意義が問われている。