秋元議員の贈収賄でカジノがヤバくなったらスケープゴートはパチンコ?

2019.12.27 / コラム

モリカケ問題を乗り切った安倍政権。長期政権の弊害とする気の緩みは「桜を見る会」で野党の新たな攻撃材料を与えた。これも国会閉会で乗り切ったかに思えたが、安倍政権に決定的ダメージを与える事案が発生してしまった。

安倍首相肝いりで推し進められているIRでは、東京地検特捜部は自民党衆議院議員の秋元司氏が、IR参入を目論む中国企業から現金300万円を不正に受け取っていたとして25日逮捕した。安倍政権には相当なダメージとなる。

秋元議員はIRを推進する超党派議連の中心的メンバーで、平成28年の臨時国会では衆院内閣委員長としてIR推進法の法案成立にも関わっていた。

カジノ利権の渦中にある議員が、中国企業が主催するIRのシンポジウムで基調講演を行ったり、中国企業本社を訪れているが、それだけでも怪しまれる行為である。

秋元議員逮捕に関連して、自民党の白須賀貴樹衆院議員、勝沼栄明前衆院議員の事務所を家宅捜索した。これでさらに逮捕者が出ればIRそのものの見直しが必要になってくる。秋元議員のカネの流れを調査する中で、26日にはついに都内のホール企業まで捜査の手が伸びた。

「ホールの業績が揮わず一獲千金を狙い、秋元議員を仲介して中国企業に関連した不正なカネの流れを調べているようです」(事情通)

どこまで贈収賄が広まるのか、関係者は戦々恐々としている。

「ホール企業で秋元議員に献金しているところは結構あります。人たらしで相手の懐に入るのがうまく、おねだり上手」(都内ホール関係者)というように自民党の風営法議連には秋元議員も名を連ね、業界との関りも深い。

これを受けて野党はギャンブル禁止法案提出で勢いづく。

オペレーターの中には1兆円投資をぶち上げるように、カジノは大きな利権の塊である。IRに関係する議員は特に行動は慎重にならなければならないのに、あまりにも脇が甘い。

利権に食い込みたければ、口利きは有力議員に近付くのが常套手段だろう。しかし、ネットによる国民総監視社会ではボロがでるようなことはできない。

IR候補地として誰もが泡沫候補と目される和歌山が強気なのは、二階幹事長のお膝元であるからだ。フランスのカジノ企業「バリエール」が俳優のジャン・レノをPR大使に和歌山へ進出を表明したのも二階幹事長の後ろ盾があればこそだろう。

で、渦中の秋元議員は二階派である。候補地やカジノオペレーターの選定を巡り疑惑を持たれるとなれば、派閥の領袖である自分にも火の粉が飛んでくる。

台風19号の被災地である栃木県へ視察に行った現場で、ぶら下がり記者から秋元議員が東京地検特捜部から任意聴取されたこと聞かれ「キミは大事な仕事としてオレに聞いてるんだろうけど、今そんなことの説明に来たんじゃないじゃないか、オマエ。場所を考えて言え!」とブチ切れた。二階幹事長の腸は相当煮えくり返っていることが伺えた。

これでオペレーターを目指す企業は政治家への裏工作がやりにくくなった。

「公正、公平にやるから今は動くな! という雰囲気ですね。実際、ここ1年あまり進出を目論む企業からの接触もありません。カジノの問題がやばくなってきたら、スケープゴートにされるのはパチンコ。これは常套手段です」(自民党関係者)

これは秋元議員が逮捕される前の発言で、パチンコをスケープゴートにして終わるようなレベルの話ではない。

「IR担当副大臣経験者の逮捕で、表向きは平静を装っていますが党内は蜂の巣をつついたように大騒ぎです。これで来年の解散総選挙はなくなりました。ロッキード事件のようにならないことを祈るしかない。IR法案も性急すぎた」(同)

IRの整備が遅れることだけは間違いない。






オリジナルサイトで読む