甘く使えないジレンマ

2019.12.14 / コラム

遊技人口が3000万人いた時は4パチ、20スロしかなかった時代である。今の1000万人前後の遊技人口と低貸し主体の営業に当て嵌めると業界は“1/6”に下がったと見方がある。

そのA級戦犯は等価交換であることは何度も指摘してきた通りである。

AKBが初めてパチンコ業界にリリースされた2012年、京楽は大切に使う誓約書までホールにお願いした。甘いスペックをさらに甘く使うことで、これまでパチンコをしたことのない新規ユーザーを開拓する狙いがあったからだ。

ところが、メーカーの願いも虚しく粗利を取る方に走ったホールも少なくなかった。等価交換が主流になってからは薄利多売の概念そのものがなくなっていた。

等価になってからは人気のある機種も不人気機種も同じ割で営業するホールも少なくない。40玉交換時代は不人気機種は割を上げて客を付かせようと努力したが、等価営業しか知らない現場責任者はそんな考えも思いつかない。

高設定を入れて“爆発”でもするとそれこそオーナーから大目玉を喰らうので、高設定を入れられない現場責任者が多い。

オーナーも世代交代で等価営業と共に、稼働重視から粗利重視にシフトして行った。

「ホールさんには色々営業方法についても提案させていただきました。お客さんが飛ぶギリギリのラインとか。でも粗利重視だから何を提案してもダメですね。等価が合った時代もあったが、今はずれている。ホール経営そのものがおかしくなっている」と匙を投げるのはメーカーの営業マンだ。

それでもメーカーは若者をパチンコに振り向かせる開発も怠らない。

「若者受けする版権は、実機に至らなくても毎年版権料は支払っています。今は若者が絶対打ちたくなる版権の機械を開発中です」

その一方で、カジノオペレーターからは遊技機メーカーに対して、パチンコ・パチスロ客が打ちたくなるカジノ用パチンコ、スロットの依頼も来ているとかいないとか。

パチンコ業界に対しては若年層開拓の遊技機、カジノ業界に対しては、パチンコ・パチスロ客を引き込むマシン開発。どっちに転んでもメーカーにかかっているわけだが、パチンコ業界向けには若年層の開拓用の版権を使って波の荒くない機械を開発しようとしているが、AKBの二の舞にならないように。それはホールにかかっている。






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