特定日イベントについて考える

2019.12.12 / コラム

こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。

今回は特定日イベントについて考えてみたいと思います。

まず、私は特定日イベントには懐疑的な考えを持っています。理由は、
・特定の日の放出の原資はどこで、誰が負担するのか?
という観点があるからです。

もちろんそんなことはないという意見もあるでしょう。
こういったことはAll or Nothingではないので反対意見も当然だと思います。
しかし今回は私の考えをお読みいただければと思います。

私はパチンコ店に10年間勤務していました。
その在籍時にはスロット人気の高まりとともに様々なイベントを行っています。
しかし、パチンコ店に限らずすべての企業には「永続発展のための原資」として利益の確保が求められます。これには現状を維持するだけではなく、将来の設備投資の原資確保も必要となります。

この利益の確保を無理なく行うためには営業計画の作成が欠かせません。
そしてイベントを組むと、どうしてもそのあおりでその他の日を下げた計画にせざるを得なくなります。
昔はイベントと言えば平日に行うことが一般的でした。そしてその財源は売上の高くなる週末営業でカバーしたものです。
しかしここ数年は全体の集客が芳しくない状況もあり、「強みを機会に投入する」の考え方から「集客できる曜日という機会を生かして、週末にイベントでより集客をする」として週末にイベントを組むことが主流となっています。

そうなるとその財源は平日に回すことになります。
過去にはイベントの開催を来店のキッカケにするものと捉え、その後の継続来店につなげることを志向していました。そしてそのように機能していたことも事実です。

ところが現在はどうでしょうか。必ずしもそのような効果が得られていないと感じてはいないでしょうか。

特定日に放出計画をして、実際に集客が出来たとしましょう。
しかしその時に新しく来られた方は常連さんではないです。そしてその「いつも来ない方に出した分」の補填を平常営業の常連さんが負担している構図になっていませんか。

マイケルポーター博士の「競争の戦略」では「敵、脅威」を5つに分類しました。その中には「顧客(買い手)」も入っています。「顧客」も敵、脅威なのです。(その他の要素は既存競合、新規参入、売り手、代替品)
要は「自社の利益を減少させると思われるもの」が敵、脅威なのであり、その観点で考えると「イベント日という低価格のときだけ来店する方」は明確に「敵」です。そんな敵にばかり目を向ける営業で業績が上がるとは思えません。

平常営業を下げることなくイベント日を上積みで考えられるお店では特定日イベントは、活用次第で効果が得られるかもしれません(それでも平常の方が低い、という点で良くないと思いますが)。
しかし大多数のお店はそうではないでしょう。

昔はイベント自体が行われていません。
その後にイベントが行われるようになりましたが、平日=弱い日の底上げが主眼でした。
続いて弱い日の底上げではなく強い日=週末の上積みが志向されました。
数年前はイベントが再来店のキッカケとして機能していました。
このように時代とともに有効な施策や考え方は変わります。
以前に有効だと考えられていたことが今も通用するとは限らないのです。

私は平常営業こそが大事だと考えています。
その平常営業を活かすために行う、行えるならいいと思います。
しかしそうではなくなっているのが、今のイベントです。

イベントがないと新規客の来店キッカケが作れない、という意見もあると思います。
しかしそれこそ過去の成功体験に縛られているのではないでしょうか。

時代は変わります。
即効性のある施策は、今はないと考えるべきです。
地道に、少しずつの、長期的視野での平常重視の営業を志向すべきだと思います。











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