熊本名物「つる」が完全閉店

2019.10.16 / コラム

熊本名物の「パチスロつる健軍店」が9月29日をもって閉店した。今年に入って6月23日に近見店、9月3日に松橋店、9月23日に川尻店が相次いで閉店しており、最後まで残っていたのがパチスロ健軍店だった(パチンコつる健軍店は2014年6月閉店)。

日報で「つる健軍店」のことを取り上げたのが2008年3月27日のことだった。タイトルは「カネのないホールはつるを見習え」。

健軍店の店舗責任者が発信するブログ「自給650円の責任者」がとにかく面白かった。ホールの欠点を自虐ネタにしてとにかく面白い。腹を抱え、涙を流しながら笑ってしまうほどだった。おカネのないことを逆手に取り、それを笑いに変え、集客につなげていた。

当時の記事から抜粋してみる。

店舗管理者は時給650円。兼業農家のおじちゃんがホームページを更新。従業員の平均年齢は40代半ば。更年期真っ盛り。よって目押しサービスは苦手。

雨漏りを修理するために、ケータイ電話の充電には100円取る。自慢は自販機の台数。

ワゴンレディーの代わりにヤクルトおばちゃんがヤクルトを売る。

こんな具合だが店の雰囲気だけは伝わっただろうか? 残念ながら現在このホームページは閲覧できない。

牧歌的なイメージだがつるを身近から見てきた業者の見方は幾分シビアだ。

「私が熊本に在籍していた約25年前から内外装はほぼ変わらない店舗でした。当時は幅広い世代がパチンコを興じる業界全盛期でしたが、つるは大半が高齢者という令和のパチンコを先取りした?ような店舗でした。特に3月は決算セールと言われていたくらい出玉還元、もちろん集客も凄かったのを記憶しています。社長の趣味は節税で、だから決算を迎える取引業者にとってもありがたかったですね」と良き時代の思い出を語った後で、閉店の原因をこう指摘する。

「時代の流れで近代的な大型店が増える中でもスタイルはぶれることなく平成から令和になっても昭和のパチンコそのものでした。追従して増台するときは既存の箱の中に継ぎ足し形式で、まずは休憩スペースがなくなり、やがて自動ドアが開くと僅か1メートル目の前に島が立っているというくらい店内は窮屈な迷路状態になっていました。そして後継者となるはずで店舗のマネージャーをしていた長男が昨年突然の退職。この頃から閉店へのカウントダウンは始まっていたのでしょうね。そして直近に控えた遊技機撤去問題で経営意欲が減退したのかもしれません。社員は全員解雇、人材も育成できず、企業として成長せず、事業の継承もできず。まあ時代の変化についていけなかったといえばそれまでなのでしょうね」












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