水没した北陸新幹線の先頭車両を買いたいホールオーナー

2019.10.20 / コラム

台風19号の豪雨で長野県の千曲川が決壊し、北陸新幹線の車両基地が水没した映像は衝撃的だった。映像では7編成の新幹線が水没しているが車庫に3編成入っていたので、全部で10編成分の車両が水没してしまった。



これは北陸新幹線の3分の1にあたる編成が被害にあったようだが、JR西日本は運休していた金沢~東京の直通便の8割を10月25日から再開する、と18日に発表した。

10編成、120両の新幹線の車両は、車内の座席の上まで浸水していた。床下にあるモーターやブレーキの制御機器なども水に浸かってしまった。これを修理して再利用のか廃車にするのかはまだ決めかねている。

一般的に水没した自動車は水に弱い電気系統もやられているので、廃車にするのが普通だ。昨年の西日本豪雨では倉敷市真備町のマビ昭和館に展示されていた50台余りの昭和の名車が、水没してしまった。この中から9台を厳選して姫路の日本工科大学の学生がボランティアで修理して、再び動くようにした。手間暇をかければ修復はするが、修理するより買った方が安いとなるから廃車の運命になる。

水没した北陸新幹線が廃車の運命にあるのなら、先頭車両を買いたいと思っているホールオーナーがいる。

廃車にする新幹線にどれぐらいの値がつくのか、見当もつかないが、1000万円なら即決だという。

使い方は来年4月からの全面禁煙化に向け、喫煙場所にしてもいいと考えているが、何よりも宣伝効果を狙っている。話題になることは間違いなしだ。ホールの横に鎮座した暁にはニュースになることは間違いない。

ただ、新幹線の先頭車両はAmazonで注文して、宅急便で送られてくるような代物ではない。

運んで、設置するのにもかなりのコストを要することは想像に難くない。では、実際、どれぐらいかかるのか?

まず、鉄道車両の輸送には専用のトレーラーが必要となる。これはレンタルで1日100万円はかかる。長野から車両を輸送するには先導車や後導車も必要となる。しかも、夜間通行しかできないために関東方面だと3日間は必要となる。

トレーラーのレンタル代で計300万円。さらに設置するために50~60tのクレーン車が2台必要でこれが100万円ほど。輸送と設置で400万円。これを安いとみるか高いとみるか。

ちなみに、千葉モノレールの役目を終えた車両は35万円で売り出されていたことがある。

新幹線は客室と台車は分離できるので、被害の少ない客室は掃除してそのまま使うのではないかと鉄道の専門家はみる。





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