武漢から来日。パチンコがストレス解消に

2020.02.01 / コラム

東京在住のAさんは中国人女性と職場結婚して2人の小さな子供がいる。奥さんの実家は日本の大学に留学させるほどの財力があり、卒業後はAさんと知り合った人も羨む一流企業へ就職した。なにせ平均年収は下がり気味とはいえ1000万円以上ある。Aさんの年齢なら1300万円は下らない。

春節で奥さんの親族(両親、兄家族)7人が中国・武漢から観光目的で来日した。武漢が町を閉鎖する前だったために来日できたわけだが、武漢からの直行便が到着したのは大阪・関空。関西を観光した後で東京のAさんの家にやってきた。

Aさんは実家暮らし。Aさんのお父さんと5人で一軒家に住んでいるが、ここに奥さんの親族7人が転がり込んできた。

楽しみにしていた大阪観光は、新型肺炎問題が気がかりで観光気分になれなかったようだ。

常に武漢の知り合いとスマホで情報交換している。

「報道されているよりも悲惨。発表している数字より一桁多い。病院へ行っても診てもらえない。病院での2次感染、3次感染も心配。地獄だから帰ってくるな」と日本へ留まることを勧める。

個人旅行の観光ビザで滞在できる期間は2週間。中国大使館と連絡を取っているがいつ帰られるかもわからない。オーバーステイになってしまうかもしれないが特例措置は出る可能性が高くなった。

幸い、7人とも発熱などの症状はない。同居するAさんらにも症状は出ていない。

Aさんは気晴らしにお父さんとお兄さんとその息子の3人を連れて近くのホールへ行った。4パチではすぐにおカネがなくなるので、1パチ専門店へ行った。

4パチよりも回らない、と思いながらパチンコの遊び方を教えた。

3人で1万円ほど使って、3人とも負けた。それでも初めて体験するパチンコを「面白い! また明日も打ちたい」とビギナーズラックもないのに嵌りそうな予感だ。ちなみにスロットも体験させたが興味を示さなかった。

いつ、中国へ帰られるかも分からない。持久戦になることを覚悟してAさんは寝袋を買い求めた。

併せてホールには会員カードを作りたいと申し出たが、外国人という理由で断られた。

一挙に7人も増えたAさんの家で大変なことは朝のトイレの争奪戦と風呂、イビキ。このまま12人の生活が続けばAさんのストレスも溜まってくるというもの。

奥さんの親族はいつ帰れるかもわからない不安と帰っても地獄の狭間で、パチンコがストレス解消になった。

月曜日は父親と兄が中国大使館へ出向いて情報を収集した。兄の息子は一人でホールに行ってパチンコを堪能した。

武漢から外へは出られないが、武漢市民なら入れることが分かる。北京か上海経由で帰国するメドはついてきた。幸い、北京と上海には親せきがいる。

帰るメドがつくと今度はマスクなどの医療品の爆買いを始めた。マスクを持っていけば親せきにも大歓迎される。両親は上海の親せき、兄家族は北京の親せきに身を寄せることになった。

「ゴールが見えないことがストレスだったが、帰れるメドがついたのでホッとした」とAさんは安堵のため息をつく。

パチンコに嵌った兄の息子は一人でホールに行くようになり、ついにはTUCの特殊景品を持ち帰ってきた。

換金システムが理解できず、そのまま特殊景品を持ち帰ってきたが、換算すると約9万円分もあった。

事情を聞くとどうやらいつもやっていた1パチではなく、間違って4パチを打っていたようだ。

3000円目で大当たりして連チャンが続いた模様だ。

Aさんは6万5000円で買い取ることにして現金を兄の息子に渡した。2万5000円引いたのは寝袋代などを相殺した。

出玉を換金できることを理解。気をよくした兄の息子は「日本に来たらまたやりたい」と目を輝かせる。

潜伏期間などを含めると2週間は様子を見た方がいい。

しかし、日本でも感染者が増えるごとに、日増しに中国人への風当たりが強くなっている。中国人同士でも武漢出身だと分かると同じ飛行機に乗りたくないと離陸が5時間も遅れたケースも出てきている。

東京には中国人がよく来るホールがある。これで「スタッフが感染した」とニュースになればそのホールは一巻の終わりだ。その対策に店長は入口には消毒液を置くようにした。

Aさんのケースでも、このまま感染していないことを祈るしかない。







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