7月25日、日本カジノスクールは日本型IRの在り方を検討するトークイベント「日本型IRミーティング」を東京・銀座のCONFERENCE BRANCH 銀座で開催した。
日本カジノスクールは2004年4月に東京で開校、2018年4月には大阪に第2校目を開校している日本発のディーラー専門養成機関。卒業生はこれまでに約700名を数え、それぞれ海外の大規模IRカジノや豪華客船内カジノ、また国内一流ホテルや展示会などで開催されるカジノイベントなどで活躍している。
日本カジノスクール校長の大岩根成悦氏が司会を務めた「日本型IRミーティング」には、シンガポールの大型IR施設Marina Bay SandsのGlobal Gaming Analystである大谷雅俊氏と広報部アシスタントマネージャーの桑原陽子氏、博報堂
IR/MICE推進室室長・担当部長の栗田朗氏が参加。「先進8カ国のなかでカジノがないのは日本だけで、IR実施法の成立でようやくスタート地点に立てることができました」という大岩根氏の挨拶で始まったミーティングは、日本型IRの要件や誘致、経済効果などについて各氏から意見が語られた。
まず日本型IRの要件について栗田氏は「カジノ法といわれるが、IRには展示場やホテルといった施設が不可欠です。これらをカジノをエンジンとすることで、社会的に必要なものを作ることを目的にしているのがIR実施法案」と法案の真意が語られ、続けて誘致について「(実施法で決められた)3カ所は活性化に貢献できる場所が選ばれるのが望ましいと考えます。現在数十カ所が手を上げていますが、首長が公言していたり自治体として誘致予算を組んでいるのは、北海道苫小牧市、東京都、横浜市、大阪府・大阪市、和歌山県・和歌山市、長崎県佐世保市、沖縄県(現在の知事は反対の立場、年内の選挙の結果による)。大都市圏が有利といわれますが、すでにインバウンド受け入れインフラがパンク状態で、地方へインバウンドを誘導するためのIRも必要ではないかといわれています」と誘致の現状が紹介された。
またIRへの取り組みについて桑原氏が「Sandsでは必ずMICE(観光ではなく、主に会議や展示会といったビジネスイベント)を取り入れています」と実例を紹介。また大谷氏からはギャンブル依存症対策について「Sandsではハーバード大学と共同開発したプログラムにより、トレーニングを受けています」と語られ、シンガポールではカジノ開業前よりも依存症患者の割合が減少したことが報告された。経済効果については栗田氏が「国が目標としているインバウンド6千万人を達成するためには、IRが必要不可欠。ゲーミングだけで1~3兆円、ノンゲーミングでも同程度」と推定され、日本経済を成長させる起爆剤にもなると期待が寄せられた。
最後に日本型IRが成功するカギについては、栗田氏から「厳格かつ不正の介入がないIRにすべきですが、同時に過度の介入で民間活力を損なうようなことがないこと」、大谷氏からは「MICEを重視するなら、大都市圏が望ましいです」とそれぞれ意見が述べられた。