日本のホールで働きたい韓国人中年男性

2019.12.01 / コラム

10月初旬、20代の女性3人組が4泊5日で韓国・ソウルへ旅行に行った。飛行機代は往復で1万円。ホテルは4泊で3万円ほどだった。

日韓関係が冷え込む中で、10月から韓国人の団体旅行の予約がゼロになった別府の温泉ホテルもあるように、事態は深刻。この時期に韓国へ行くのは少し勇気がいるが、何度も韓国へ行っている彼女たちにすれば、不安はなかった。

それよりも街中では片言の日本語で話しかけられることがこれまで以上に多く、声を掛けまくられ状態だった。こんなに韓国人はフレンドリーだったか、と驚かされるぐらいだった。怖い目に遭うことはなかった。

日本好きの40~50代のおじさんのグループから声を掛けられ、「韓国を嫌いにならないで欲しい」と誘われ、奢ってもらうことにした。

一緒に食事をしている時に50代と思われるおじさんから「君たちはパチンコをしたことがあるか?」と質問された。

彼女たちはパチンコをしたこともなかった。パチンコに興味もなかったが、おじさんの熱弁が止まらない。

「日本のパチンコはいいよね。パチンコが好きで何度も日本へ打ちに行っている。日本のパチンコは雰囲気がいいので、日本へ行った時は色々な店で打つ。最近は勝てなくなったが、今まで最高に勝ったのは20万円」

おじさんの話に興味はなかったが、我慢して聞いた。

おじさんのパチンコ熱は「日本のパチンコ店へ就職したい」と昇華して行く。

「就職するのは難しいかな?」

3人のうち1人がホールのコーヒーワゴンレディーの経験者だった。

「年齢的には難しんじゃないでしょうか」と現実を直視するように促した。

おじさんは給料についても聞いてきた。

「20代後半で24~25万円じゃないでしょうか」

「そんなに貰えるのか!」

おじさんは最後に本音を漏らした。

「今の韓国はダメだから日本へ行きたい。大好きなパチンコ店で働けたら幸せ」

話の場面は日本に変わる。

デイサービスを利用している80歳の老人は元ホールオーナー。家族でクリスチャンに改宗した。息子が会社を継いだが、「ホール経営はキリスト教の教えに反する」という理由で暫くすると会社を売却してしまった。そこから1000万円を教会に寄付した。

デイサービスを受ける中で親しくなったスタッフに、自分の素性を明かすと共に、こう忠告した。

「パチンコは経営する側にいないとダメ。経営する側はどんどんおカネが増えるが、打つ側はどんどんおカネがなくなる。ボクは自分のおカネを使ってパチンコで遊んだことは一度もない。なぜならおカネの無駄だから」

この元ホールオーナーの声を聞いたら前出の韓国のパチンコ大好きおじさんはどう思うだろうか。







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