新型肺炎不況が長引けば消費税5%に戻す?

2020.02.21 / コラム

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中国が世界の工場だったことを思い知らされている。サプライチェーンの心臓部が中国だったことで、物流が完全に止まった状況にある。

厳しい移動制限がある地域では社員が出社できないために生産が止まっている。

さらに、操業を半月遅れで再開した上海の工場では、各所に設けられた検問所で大渋滞を引き起こし、2時間で運べるところが10時間もかかっている。モノがあっても運べない。

中国から部品が入ってこないので、日本のメーカーの生産ラインは止まっている。消毒薬は製造できても入れる容器が中国から入ってこないケースもある。

業界でも中国からの部品が入ってこないために機械の納品が遅れる影響が出ている。スロットメーカー26社中、22社が影響があると回答している。

物流が安定しないだけでも日本経済に大きな影響を及ぼすが、現在、直接大打撃を受けているのは中国人頼りだった観光産業だ。

中国人の団体客が8割を占めていた大阪の観光バス会社は、キャンセルが続出。給料を2割削減すると共に、希望退職者を募集し始めた。

中国人観光客で潤っていた地域の飲食店の中には、売り上げが10分の1まで落ち込んでいるケースもある。

中国人が減ったことでゆっくりと京都観光ができると思って、京都へ家族旅行を計画していた東京在住の家族は、「部屋がきちんと消毒されているかどうかわからないので、ホテルに泊まるのが怖い」という理由で中止した。

京都で3年前から民家を改装して民泊を始めた業界関係者はこう嘆く。

「中国人7割、欧米人2割、日本人1割という客層でした。2月、3月、4月は予約で埋まっていたけど、キャンセルが続出です。今のところ3月にタイから予約は入っていますが、いつキャンセルされるか…。オリンピック景気から今年で改築費がペイできると踏んでいたんですが無理ですね」

民泊ブームで大阪市内のマンションを民泊用に数室買った業界関係者は「今、全室売りに出しています」と逃げ足は速い。

影響は観光産業だけではない。大規模なイベント自粛に表れ始めた。2月23日の天皇誕生日の一般参賀が取りやめになったのを皮切りに、東京マラソンは一般参加が中止、沖縄で開催される女子プロのゴルフツアーは無観客試合に。業界関連では2月29日開催予定のユニバカ×サミフェス2020が延期になった。大勢の人が集まる大規模なイベントは当分の間見送られることになってきた。

新型コロナウイルスの感染者がホールに立ち寄った和歌山県有田市では、周辺のホールにも影響が出ており、稼働が2~6割減に追い込まれている、という。

こうした自粛ムードが国民の間に蔓延すれば、今度は経済が回らなくなる。それでなくても消費税増税で10 月~12月のGDPは6.3%のマイナスだった。新型肺炎の影響が表れる2月以降の数値は観光産業や製造業でもマイナスになるのは必至。

これに対して、厚労省は20日、イベントに関して「一律自粛を求めない」との声明を出した。

景気後退の懸念が高まる中、永田町関係者からはこんな声が聞こえてくる。

「消費税問題にプラスして新型肺炎です。収束が長引けば景気後退は免れない。これ以上景気を悪化させないために、消費税を8%または5%に戻す、という話も出始めています。5%なら相当インパクトはありますよね」

この関係者はスロットも打つ。

「5%に戻したらメダルの貸し出し枚数は46枚から50枚に戻してくれるんでしょうね」と妙な心配をする。









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