政府:財務省 自民党税制調査会にカジノ事業者及びカジノ所得に係る税制措置案を提示

2019.11.28 / カジノ
2019-11-28

【国内ニュース】

11月27日、財務省は、自民党税制調査会において「カジノ事業者及びカジノ所得に係る税制上の所要の措置」を提示。

財務省は、令和2年度(2020年度)の与党の税制改正大綱で方向性を決め、令和3年度(2021年度)の通常国会に税制改正法案を提出予定。

カジノ利用者の勝ち分(Winnings)への課税法に関し、財務省は日本居住者、非居住者それぞれに以下を提案。
・日本居住者:マイナンバーカードを用い、利用者の全プレイ履歴を記録。勝ち分(チップ購入額、退場時の払戻金の差額)を一時所得として課税
・非居住者:所得に対して源泉徴収

財務省案に対し、IR法令に深く関わった与党国会議員らは、問題意識を共有。問題意識とは、財務省案が、国内の公営競技等、国際的なカジノの課税プラクティスから逸脱しており、カジノ利用者の利用意向つれてカジノ事業者の投資意欲を委縮させ、カジノ事業者に大きな事務負担を与えるリスク。

例えば、
・日本居住者:公営競技(1ゲームの大きな勝ちを課税対象とする)の一時所得の扱いと同じにすべき
・日本居住者:IR整備法の立法時には、マイナンバーカードは、入退場管理のみに用いられる前提であった(プレイ履歴把握に用いない、)
・非居住者:米国では、源泉徴収は、1ゲームの大当たり(5,000ドル以上または300倍以上)のみ対象。主にスロットマシンの大当たり対象

なお、ギャンブル勝ち分の税務上の扱いは、日本、米国は課税対象であるが、中国、シンガポール、英国などは非課税。

政府、政治の流れ:IR整備法および関連法令、ギャンブル等依存症対策

IR推進法(議員立法)は、2016年12月15日1時に成立し、12月26日に公布され、即日、施行された。IR推進法は、政府に対して、その施行後1年以内に必要となる法制上の措置(IR整備法)を求める。
IR整備法は、2018年7月20日に成立し、7月27日に公布された。

ギャンブル等依存症対策基本法は、2018年7月6日に成立、10月5日に施行された。

政府:IR整備法、関連法令

<2017年>
・3月24日 特定複合観光施設区域整備推進本部(IR推進本部)設置
 全閣僚で構成 本部長=安倍晋三首相、副本部長=菅義偉・官房長官、石井啓一・国土交通相
 事務局は、国土交通、財務、警察、厚生労働などを中心に構成
 IR推進本部のもとに、有識者会議で構成されるIR推進会議を設置
・4月 4日 IR推進本部 会合
・4月 6日 IR推進会議(第1回) 日本型IRの日本型IRのあるべき姿の論点まとめ
・5月10日 IR推進会議(第2回) 日本型IRのあるべき姿を整理。事務局が制度設計の重要論点に案を提示
・5月31日 IR推進会議(第3回) カジノ規制制度の基本的な考え方
・6月13日 IR推進会議(第4回) カジノ施設、機器の規制、事業活動の規制
・6月20日 IR推進会議(第5回) カジノの懸念事項への対応(依存防止対策、マネーロンダリング対策、反社会勢力排除、青少年保護)
・7月 4日 IR推進会議(第6回) カジノ管理委員会の在り方、財政への貢献(カジノ税・納付金)
・7月11日 IR推進会議(第7回) 積み残し課題の整理
・7月18日 IR推進会議(第8回) 刑法における違法性阻却の要件など
・7月25日 IR推進会議(第9回) IR実施法案の素案
・7月31日 IR推進会議(第10回)「取りまとめ(案)~観光先進国の実現に向けて」を了承
・8月 1日 IR推進本部 会合   安倍首相(IR推進本部・本部長)IR推進会議「取りまとめ」を受領
・8月   IR推進本部が国民的議論を喚起 パブリックコメント、公聴会(全国9ヵ所、8月17日から29日)
・12月   IR推進本部 パブリックコメントの結果を公表
<2018年>
・2~4月 IR推進本部 与党(自民党、公明党)に対してIR実施法案の重要論点11項目に関する政府案を提示
・4月3日~ 与党合意。IR推進本部は、合意内容をIR実施法案に反映
・4月27日 IR推進本部を開催。その後、政府はIR実施法案を閣議決定し、国会に提出
・5月初  IR推進会議(第11回) IR整備法案の国会提出を報告
・11月5日 IR推進会議(第12回) IR整備法に係る政令事項について
・12月4日 IR推進会議(第14回) IR整備法に係る政令事項について~取りまとめ。石井国交相に報告
・12月19日~ IR推進本部事務局「IR整備法に係わる説明会」の全国9カ所で開催
<2019年>
・2月1日~3月4日 IR推進本部事務局「特定複合観光施設区域整備法施行令(案)に対する意見募集」を実施
・3月26日 IR推進本部を開催。その後、特定複合観光施設区域整備法施行令(政令)が閣議決定
・3月29日 特定複合観光施設区域整備法施行令(政令)
・7月 1日 IR事務は、国土交通省観光庁、内閣府カジノ管理委員会設立準備室で担当する体制
      前者はIR産業、後者は内閣府の外局となるカジノ管理委員会(カジノ規制や健全性)を担う
・9月 4日 国土交通省観光庁「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)および意見募集」を発表
・11月13日 政府 国会同意が必要となるカジノ管理委員会人事案(委員長、委員4人)を提示
・11月19日 国土交通省観光庁、以下を案および意見募集を公開
      「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(※申請期間に関する部分のみ)
      「特定複合観光施設区域整備法第九条第十項の期間を定める政令(仮称)の案」
      (それぞれ、認定申請期間。すなわち、都道府県・政令市が国にIR区域整備計画を申請する期間)
      「特定複合観光施設区域整備法第二章の規定による特定複合観光施設区域に関する国土交通省令(仮称)の案」
      (国に提案するIR区域整備計画に盛り込む事項など)

政府:ギャンブル依存症対策

・2016年12月、ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議(議長:菅義偉・内閣官房長官)を設置
-構成閣僚は、内閣官房長官、国土交通大臣(IR管轄)、厚生労働大臣(ギャンブル依存症対策を管轄)、農林水産大臣、経済産業大臣、国家公安委員長、総務大臣(それぞれ公営競技・遊技・宝くじを管轄)
-実務レベルでは、ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議幹事会(関係府省庁の局長級)を設置(通常、幹事会の後、閣僚会議が開催される)
-2017年8月に包括的なギャンブル等依存症対策の強化対策を決定・公表
-2017年12月、第4回閣僚会議幹事会を開催し、政府として各種目に自己、家族排除プログラム導入を要請へ
・厚生労働省は、2017年度に全国1万人規模の実態調査を実施・公表(2017年9月29日、厚生労働省は全国疫学調査の中間まとめを公表済み)
・2018年10月19日、ギャンブル等依存症対策基本法に則り、ギャンブル等依存症対策推進本部(本部長:菅義偉・内閣官房長官、本部員:関係閣僚)を設置、第1回会合を開催
(ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議は解消)
-本部のもとに、関係省庁の局長級による幹事会、ギャンブル等依存症対策推進関係者会議(ギャンブル等依存症である者等、その家族を代表する者、関係事業者、専門的知識を有する者で構成。委員は20人以内)を立ち上げ
・2019年4月19日、第2回ギャンブル等依存症対策推進本部会を開催。ギャンブル等依存症対策推進基本計画(案)を了承。政府は、同計画を閣議決定
・都道府県、事業者は、政府基本計画に沿い、それぞれ実情を踏まえて、具体の計画を策定し、対策を推進へ

各党

与党(自民党、公明党)
・6月13日、ギャンブル等依存症対策基本法案を国会に提出(衆院選解散により廃案)
・自民党、公明党とも、IR実施法案の内容を検討するプロジェクトチームを設置
・それぞれ国民的議論を踏まえ、9月より議論を本格化
・2017年12月2日、特別国会に、ギャンブル等依存症対策基本法案を提出、審議、早期成立を目指す方針
・2018年2月15日から2月28日、自民党、公明党は、各IRPTを3回開催。政府IR推進本部事務局の政府案を聴取
・2018年4月3日、与党IR実施法に関するワーキンググループとりまとめ 重要論点11項目
・2018年4月26日、自民党、公明党は、与党政策責任者会議で、IR実施法案を了承
・2018年5月15日、自民党、公明党、日本維新の会は、ギャンブル等依存症基本法案の修正、国会提出で合意

国際観光産業振興議員連盟(超党派IR議連)
・日本維新の会は、2月9日、参議院に独自のギャンブル依存症等対策基本法案を提出
・2017年4月12日、超党派IR議連は、ギャンブル依存症対策基本法案を超党派で一本化する方針を確認
・2017年4月19日、超党派IR議連総会を開催。IR実施法案の審議への関与、早期のギャンブル依存症対策基本法案の成立を確認
・2017年4月26日、超党派IR議連として、勉強会を開催。、米国、シンガポールのギャンブル等依存症対策の専門家からヒアリング
・2018年2月14日、超党派IR議連総会を開催。IR実施法案の成立に向け、各党、政府の取り組みを確認。推進自治体等が意見表明

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