希望条件を出さない企業の内定を蹴った結果2/パック・エックス

2016.11.07 / 連載

[連載第32回
パック・エックスキャリアアドバイザーが語る「転職のタメになる話」
本当に多い転職の失敗事例 ~「目くらまし」にはご用心!~(後編)

(前回のあらすじ)
優秀な店長だったイシカワさんは「自分自身の市場価値を知りたい」と転職活動を開始した。面接を受け、内定を勝ち取ったものの企業から提示された条件は希望よりも低く飲めるものではなかった。「こんな条件で転職できるか!」そう言ってのけたイシカワさんだったが、出入り業者に紹介された企業(希望条件を提示する)へ早々と転職を決めてしまう。それから一カ月後、耳塚に助けを求めるイシカワさんから一通のメールが届いたのであった……。



「差し支えなければまたご紹介していただけないでしょうか……」

そのメールには、「耳塚さんが言っていたことが初めて理解することができました」といった内容で、「目先のことしか見ておらず、大切にしなければいけないことを見失っていた」というのです。

最悪の結果です。前職を辞めて転職したものの1カ月とかからず再転職活動の相談。

イシカワさんが出入りする業者から紹介された企業は発展途上の中小企業。労働環境はまだ整っておらず、また営業面も当然ながら発展途上であり、彼がまだ経験していない「一部業務のスキル」は絶対的かつ急務です。その結果、当初提示された給与は当然ながら貰えることはありませんでした。

ここでいいたいことは「出入り業者の紹介だからダメ」だったということではありません。紹介企業も転職の選択肢の一つです。

まだ、イシカワさんが「目くらまし転職」を決めてしまう前のこと。

内定企業が提示してきた条件が低く、やや冷静さを失っていたイシカワさんに、私はこのような質問をしておりました。

「イシカワさんは、なぜ転職活動をしようと思ったんですか。当初の動機や目的はどんなものでしたか?」

この質問をした意図は、イシカワさんが給与と役職だけで「転職を決めよう」としていたからです。給与や役職が根底の動機・目的ではなかったはずです。しかし目先の条件提示に「目くらまし」を食らって、制御困難となってしまいました。

転職希望者、求職者すべての方に言えることですが、転職活動を続けていくと目先のことに捕われてしまい原点を忘れがちになります。今回のイシカワさんに限っては、「自分の市場価値を知る」ということが目的の一つであり、それを知ったうえで新たな環境でチャレンジするか、今後どうすべきかを判断すべきところでした。転職で役職や給与をあげることが目的ではなかったのですから。

ちなみに転職失敗したイシカワさんのその後ですが、以前に内定をいただいた企業様に状況を説明し、再面接の結果、無事入社が決まりました。一日でも早くエリア長になれるよう頑張っているようです。

改めて言います。

「あなたはなぜ、転職活動を行ったのですか?」

悩んだりしたときや最終最後決めるときは一度立ち止まって初期の動機に立ち返ってください。それが失敗しない転職への第一歩です。

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(企業プロフィール)
株式会社パック・エックスhttp://www.pac-ex.com/

キャリア相談件数50,000人、転職支援数30,000人の実績を誇るパチンコ業界に特化した業界随一の転職支援企業。有名法人や地域に根付いた地元有力企業など、常に1000件以上の求人が寄せられているサイト「パチンコキャリア転職」を運営している。20年以上の歴史があり、業界に精通したキャリアアドバイザー20名以上。全国47都道府県すべての地域で相談に対応する。

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