山形のホール事情

2019.12.10 / コラム

東北・山形のホールでの出来事。

台数は300台以下の小型店舗は稼働低迷にあえいでいる。稼働のない暇な店になったので、人件費を削減するために、アルバイトの整理を決行することになった。

白羽の矢が立ったのはA君だった。新しい仕事も地元ではそうそう見つからないので、A君は「最低賃金以下でもいいから働かせてください」と上司にお願いした。

最低賃金以下で働かせることは労働基準法違反にもなる。ましてや風俗営業で縛られている業種で法律違反を犯すと営業停止にもなりかねない。

上司は「そんなことはできない」と申し出を断った。

どうしても働きたいA君の熱意にほだされて、折衷案として「週2日勤務でどうか?」ということになった。

「それでもいいので働かせてください」

A君は残りの日をコンビニや運転代行などで働き始めた。昔は運転代行は一種免許でも大丈夫だったが、2004年からタクシーのように2種免許が義務付けられたので、それも取得した。

やがて運転代行が忙しくなったので、それ1本でやることになり、ホールのアルバイトも辞めた。

酒を飲んだ客の車で自宅まで送り届ける車内で出てくる会話は女、バクチ、パチンコなどが相場だった。

A君が代行運転の会社の社長から聞いた話では、昔はホールの駐車場に行くことが多かった、という。

理由はパチンコで勝って、そのおカネで飲み屋に繰り出すケースが多かった、という。4パチで大きく勝てば気が大きくなって飲みに行く、というパターンである。

ところが、最近はホールの駐車場へ向かうことはほとんどなくなったようだ。お客さんが1パチにシフトしてしまったために、大勝ちすることもなく、代行を使ってまで飲みに行くことがなくなったことが原因のようだ。

話は同ホールの常連客のことに替わる。

山形と言えばサクランボが有名だが、常連客のBさん(35)はサクランボ農家の二代目だ。サクランボのシーズンに負けが込むと親に内緒で一箱6000~7000円もする佐藤錦を街道で観光客相手に2000円で販売して、それを軍資金にパチンコをしに来る。

では、サクランボのシーズン以外はどうやって軍資金を作るか?

レンタルビデオ店でアダルトビデオを借りては、コピーガードを外してハードディスクに溜め込み、アダルトビデオの海賊版をせっせと作っている。

それをDVDに焼き直して、飲み屋に10枚1000円で卸している。店はそれを倍の2000円で常連客に販売した。近くにレンタルビデオ店がないために、結構売れたようだが、今はネットで無料裏動画が観られるサイトがあるので、需要はなくなったようだ。

そして、サクランボシーズンは4パチ、オフシーズンは1パチを打つようになったとさ。










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