客にいい思いをさせているか

2019.11.24 / コラム

30GB契約のドコモユーザーは、外で動画を見まくるパケットハードユーザーである。30GBでも足りなくなることがあり、追加料金を支払うほどスマホを使いまくっている。そんな彼の下にドコモからメールが届いた。

「このたびの台風19号により被災されたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。

2019年10月13日(日)から2019年10月31日(木)までデータ通信の速度制限解除を行っておりましたが、「災害時データ無制限モード」へ名称を変更するとともに、期間を2019年11月30日(土)まで延長いたします」

台風被害の大きかった地域では通信手段もライフラインの一つとなるので、災害救助法でネットの速度制限を解除する措置を取っていた。

で、メールが送られてきたドコモユーザーは、直接被害のあった地域ではなかったが、災害救助法適用地域に指定されているため、11月もギガ放題が適応されることになった。

ユーザーには嬉しい延長措置をこう見る。

「被災地域に協力していることを見せることでのイメージ戦略でしょう。それを迅速にやることでの囲い込み。今はユーザーが固定化している時においしい思いをさせるために、ドコモは延長した」

ケータイキャリアはナンバーポータビリティがスタートした時、他社の客を奪おうと端末代の実質0円やキャッシュバックで熾烈な競争を展開した。

こうしたサービス合戦に総務省が待ったをかけたために、キャリア移動も今では落ち着いている。

ユーザーがおいしい思いをすることがなくなったので、キャリア移動も沈静化したことを受けて、これをパチンコ業界に投影する。

「昔、昔の新装開店は、新台を導入する台数も多かった。夕方からの時間打ちで玉も出したので大勢の人が集まった。新台の導入台数が減り、イベント全盛期の時は、やはりいい思いができる期待値があったので、イベント狙いで客は移動した。固定化した時にいい思いをさせられないからパチンコは衰退する」

パチンコは客の負けで成り立つ商売なので、いい思い=勝たせるにも限界がある。それも等価が主流になったことで勝たせるチャンスも少なくなった。

業界関係者は、脱等価は頭の中では分かっているが、脱等価派が求めているのは40玉交換での成功事例だ。低価交換用の遊技機も必要になるが、あるセミナーの新機種の導入アンケートでは現場は3個賞球よりも1個賞球の機械を選択する声のほうが圧倒的だ。

現場はノルマ達成のためにどうしても粗利が取りやすい方を選択してしまう。

ホール企業の財務体質も1円が主体になれば悪化する、というもの。ドコモのように被災者を救済するような余裕はない。







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