地域からパチンコの灯を消さない

2019.08.24 / コラム

先日、北海道のホールで新基準機が手当てできるまでは休業して、休業期間中は定額制のゲームセンターにしたい旨のエントリーを紹介した。これを読んだ北海道のホールから反応があった。

「おっしゃる通り、北海道は低貸しが主流で4円にお客さんがいるホールはほとんどありません。中には、カウンター含めて従業員1人で回しているホールもあります。そんなホールは、冬は暖房費がかかるので営業しない方がましです。冬場は店全体を温めるのに2時間前から暖房を付けなければいけません。延長コードを引いてお客さんのいるところだけスポット暖房で光熱費を抑えているところもあります。今、業界は脱等価に向けて動いていますが、もう手遅れです。なぜなら、お客さんがいないのですから」(道内中堅ホール関係者)

業界はピーク時に比べると遊技人口は1/3に減っているが、北海道の場合はそれ以上の落ち込みを肌で感じている。客がいないからホールが潰れ、それに伴い販社も潰れる、という光景を目の当たりにしてきた。

「北海道は日給も低い。1日働いて6500円。1カ月の手取りは12万円ですよ。時給換算すると800円ほど。1回負けると生活ができなくなる。だからパチンコ代は月5000円と決めているお客さんもいます」(同)

加えて、子供が東京の大学へ進学でもしようものなら、仕送りもしなければならない。家計は火の車だ。もっともこれは北海道に限ったことではないが、子供を持つサラリーマンに金銭的余裕はない。

冬場の家庭の暖房費を抑えるために、ホールへ温まりに来ていたような人ですら来なくなった、というのだから深刻だ。
老後の貯蓄2000万円問題が浮上したことで、老後が心配な人たちはパチンコにおカネを使おうとは思わなくなる。

お客さんが減ればホール側も意欲を削がれる。ファン感謝デーの景品を3セット買っていたホールが1セットに減らしたり、あるいはファン感謝デーに参加しないホールもあるほどだ。

「北海道では自転車はいりません。それよりもお客さんが欲しいのは灯油券です」(同)

何かの事情があってホールへ来られなくなった人たちのために、どうすれば足を運んでもらえるか、というテーマで会議を開いた。

この時出たアイデアがパチンコ版「子ども食堂」だった。これは貧困家庭の子どもたちのために、月に数回ほどの頻度で、無償か廉価で食事を提供する活動のこと。

「人が人を呼ぶではありませんが、100円で弁当を出せばお客さんには喜んでもらえるはず」(同)

こんなことを考える背景には「地域からパチンコの灯を消さない」という発想があるからだ。競合するライバルでなければ、地域の最後のホールが廃業した場合、使わなくなった遊技機を回してでも支援した気持ちがある、という。

そこで地域からホールを消さないようにするための組合も考えている、という。困難を生き抜いた開拓者魂のDNAだろう。

地域からホールが消えるということは、町が廃れることも意味している。









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