マカオ:新型肺炎”前例なき深刻さ”~Melco経営陣「影響は今後4-6ヶ月に及ぶ可能性」
2020.02.23 / カジノ【海外ニュース】
2月20日、Melco Resorts & Entertainment(MLCO, 米国NASDAQ上場)が2019年度4Q実績を発表。
その機関投資家向け電話会議にて、ローレンス・ホーCEOら経営陣が、新型肺炎の影響、展望について以下を述べた。
「我々は、マカオ市場が極めて閑散(顧客が少ない)とした状況が長期間続くと想定している」
「厳しい期間は、今後4-6ヵ月におよぶ可能性がある」
「20日0:00のカジノ再開後、StuioCityの顧客数は約10名、City Of Dreamsは10-12名であった」
「20日にカジノ施設は再開したが、いまだ非常に多くの課題が残る」
「回復は、まず香港や東南アジアのVIPセグメントからとなろう(中国本土顧客でなく、)」
「現在、中国本土では学校が休校となっている。その対応として、7-8月の夏休みがなくなる可能性があり、その場合、マカオ訪問者が減少する可能性がある」
Melco Resorts & Entertainmentの業績動向は以下の通り。主力のマカオ事業は、1月末以降、売上高がほぼゼロとなる中、デイリーの固定費が2.5百万ドルの状況。
Melco Resorts 19年度4Q 経常益0.9億ドル,YoY35%減~足元は肺炎打撃。日本は横浜集中
マカオ政府は、2月20日0:00を以って、カジノ施設閉鎖を解除し、再開を可能とした。ただし、事業者は、中国顧客の不在ゆえに、限定営業にとどめる方針。
現在、中国政府は、本土住民のマカオへの入境を制限。個人旅行(Individual Visit Scheme)ビザの新規発給、団体旅行ビザとも停止中。
マカオ訪問者(2019年3Q, 7-9月)のうち、70%が中国本土、13%が香港、韓国が4%、台湾が3%など。
現時点では中国顧客のマカオ入境の解除の時期は予見できない。
2月19日、マカオのゲーミング規制当局(Gaming Inspection and Coordination Bureau, DICJ)は、20日に再開するカジノ施設は29(全41施設中)、稼働テーブル数は1,800(全6,739, 2019年末)と発表。稼働テーブルの設置全体への比率は27%。
各事業者は、再開までに30日の猶予期間が与えられる。
最大事業者であるSands Chinaは、設置テーブルのうち稼働させる割合を20-25%とする。Sands Chinaを含む大手IR事業者の収益柱はマス・ゲーミング顧客である。
一方、VIP顧客を中心とするサテライト・カジノ事業者には、当初から、設置テーブルのうち稼働させる割合を8割程度とする例もある。
マカオ政府は、事業者に新型肺炎の感染防止策を義務づける。対策には、従業員と顧客のマスク着用、テーブル間の最低距離の設定、テーブル数の削減などが含まれる。
なお、カジノ施設閉鎖期間、ホテル、飲食などカジノに併設する施設は、営業継続可能であったが、経済合理性の観点などから、一部のホテルは営業を停止していた(2月10日時点、7つのカジノ併設ホテルが停止中)。
マカオ:新型肺炎”前例なき深刻さ” 日本レースに影響も~株価下落率, Galaxy, Melcoが大
新型肺炎は、2020年のマカオ・カジノ市場(Gross Gaming Revenue)を大幅に減少させるリスクがある。
1月2日から2月3日の株価変動は、
Galaxy Entertainment Group △13%
Melco Resorts & Entertainment △19%
Genting Singapore △9%減
Las Vegas Sands △6%減
MGM Resorts International △7%
Wynn Resorts △10%
マカオを本拠地とする、Galaxy Entertainment Group、Melco Resorts & Entertainmentの下落率が大きい。
カジノ市場(GGR)は、1月はMOP22,126mn,YoY11.3%減(約2,998億円)であった。証券市場では、2月をYoY50%減から60%減、1Q(1-3月)を40%減との予想が台頭。
マカオ政府観光局(Macao Government Tourism Office)によれば、春節大型連休(1月24日~1月30日)の訪問者数は261,069人,YoY78.3%減、うち中国本土からの訪問者数は149,244人,YoY83.3%減(YoYは、前年の春節連休, 2月4日~2月10日, との比較)。
マカオ:新型肺炎”前例なき深刻さ” 市場縮小が海外IR6社に影響。日本レース左右も
新型肺炎は、2020年のマカオ・カジノ市場(Gross Gaming Revenue)を大幅に減少させるリスクがある。業界識者には、YoY2-3割縮小の覚悟を持つべきとの見方もある。
マカオ市場縮小は、海外IR大手6社の業績に大きな影響を与えよう。
それは、2020年に実施予定の日本各地における事業者選定(RFP)の行方を左右する可能性がある。都道府県・政令市は、事業者選定の過程で、足元の四半期業績、2020年度業績予想を注視する。
マカオ市場縮小の影響度は、マカオへの依存度の高さ、損益分岐点の高さ(売上高利益率の低さ)、により異なる。
2018年度の大手6社の調整後EBITDA構成におけるマカオ依存度は、Galaxy Entertainment Group, Melco Resorts & Entertainment, Wynn Resortsが、それぞれ96%、88%、77%と高かった。
一方、Genting Berhadは、マカオに事業を持たない。
2018年度の大手6社の売上高利益率では、Melco Resorts & Entertainment、MGM Resorts Internationalが、それぞれ7%、5%と低かった。
マカオ市場縮小の影響は、2015年度業績から示唆を得ることができる。2015年度には、マカオ市場は、中国政府による反腐敗対策等の影響で、YoY34.3%減となった。
2015年度には、Melco Resorts & Entertainment、MGM Resorts Internationalは、それぞれ赤字転落を余儀なくされた。
マカオ:カジノ市場 1月YoY11%減, 2ヵ月連続2ケタ減~中国経済不安と新型肺炎が影響
2月1日、マカオのゲーミング規制当局(Gaming Inspection and Coordination Bureau, DICJ)は、2020年1月のカジノ市場(GGR, Gross Gaming Revenue)を発表。
1月はMOP22,126mn,YoY11.3%減(約2,998億円)。
1月は、12月(YoY13.7%減)に続く、前年同月比2ケタ%減となった。2019年12月は、2016年3月以来の前年同月比2ケタ%減であった。
1月には、2019年からのトレンドである中国経済の先行き不安(とくにVIP市場が縮小)に加え、下旬から新型肺炎の影響があった。
1月には、春節の連休、1月24日から1月30日の一週間(中国政府はパブリックセクターについて2月2日まで延長)を含む。
マカオ政府観光局(Macao Government Tourism Office)によれば、1月24日から30日)の訪問者数は261,069人,YoY78.3%減、うち中国本土からの訪問者数は149,244人,YoY83.3%減(YoYは、前年の春節連休, 2月4日~2月10日, との比較)。
現在のところ、IR、カジノ施設は、営業を継続。1月23日、賀一誠・行政長官は、状況が悪化した場合、IR事業者に施設閉鎖を求める可能性もあると発言。
コンセッション6事業者のカジノ顧客セグメント別の限界利益(GGRからGGR課税, リベートおよびプロモーショナルアローワンスを控除)の構成比は、VIP部門が約3割、マス部門が7割。
VIP部門は、キャッシュバック・リベート(仲介業者、プレイヤー)負担が大きく、GGRに対する利益率が低い。
マカオ カジノ市場(Gross Gaming Revenue)の暦年の動向 ・2014年=MOP351,521mn,YoY2.6%減 ・2015年=MOP230,840mn,YoY34.3%減 ・2016年=MOP223,210mn,YoY3.3%減 ・2017年=MOP265,743mn,YoY19.1%増 ・2018年=MOP302,846mn,YoY14.0%増 ・2019年=MOP292,455mn,YoY3.4%減 2016年9月~2018年12月の前年比プラス要素、マイナス要素 |
マカオ:新型肺炎 春節大型連休を直撃~中国本土の個人ビザ発給停止。団体ビザに続き
新型肺炎(コロナウイルス)の感染拡大が、中国の春節(旧正月)の大型連休の時期をを直撃。
春節の連休期間は、当初、1月24日から1月30日までの一週間であったが、中国政府はパブリックセクターについて2月2日までの延長を決定。
1月28日、中国政府は、中国本土からマカオへの個人ビザの発給を停止を発表(既発行分は有効)。中国政府は、経済開発の進んだエリア(現在49市)には、マカオへの個人ビザの発給を許可してきた。
なお、団体ビザは、1月24日の時点で停止された。
マカオ政府観光局(Macao Government Tourism Office)によれば、春節大型連休の最初4日間(1月24日から27日)の訪問者数は、194,521人,YoY69.0%減。
うち、中国本土からの訪問者数は、111,723人、YoY75.1%減。
現在のところ、IR施設は営業継続。
1月23日、賀一誠・行政長官は、状況が悪化した場合、IR事業者に施設閉鎖を求める可能性もあると発言。
マカオ政府は、公的行事をキャンセルし、企業・団体に大型のイベントを中止するように要請中。また、カジノフロアのスタッフへのマスク着用なども呼びかけ。
中国政府は、テーマパーク、映画館など集客施設の閉鎖策を実施。 香港ディズニーランドは、1月26日からの休園を決定。再開時期は未定。
1月27日、マカオ政府は、同日より湖北省からの訪問客すべてを隔離施設に収容する措置を開始、および、14日以内に湖北省を訪問した人はカジノへの入場を禁止する措置を導入。違反者には、最高で懲役2年の刑を科す。
マカオ:2019年4Q 市場詳細統計 全体8%減,VIP23%減,マス8%増~VIP構成45%,経済不安
1月16日、マカオのゲーミング規制当局(Gaming Inspection and Coordination Bureau, DICJ)は、2019年4Q(10-12月)のカジノ市場(Gross Gaming Revenue)の詳細統計を発表。
月次ベースの実績は翌月初に発表済みであり、本統計は市場構成を示す情報となる。
4Q(10-12月)のカジノ市場は、MOP72,158mn,YoY8.4%減(約9,958億円)、うち、VIP部門(VIP Baccarat)がMOP32,319mn,YoY23.1%減、マス部門MOP39,839mn,YoY8.3%増。
VIP部門が大幅減、マスが順調を持続、合計で減少という好調。
合計では、1Q、2QがYoYフラット、3QがYoY4.1%減であり、4Qにやや下げ幅が強まった。
4Qの構成比は、VIP部門45%、マス部門55%。中国政府の反腐敗対策以前の2013年の構成比は、VIPが66%、マスが34%であった。
政府の方針や各種規制に加え、中国経済の先行き不安などが、VIP部門への影響を強めていると考えられる。
2019年12月末のカジノ施設数およびデバイス供給量は、施設数41(前年同期末41)、テーブル数6,739台(同6,588台)、スロット数17,009台(同16,059台)。
マカオ:MGTO 年次発表 2019年訪問者数, 3,940万人,YoY10%増~港珠澳大橋が貢献
1月15日、マカオ政府観光局(Macao Government Tourism Office)は、年次プレスカンファレンスを開催し、観光産業政策の2019年レビュー、2020年の目標などを発表。
ポイントは、
・2019年の訪問者数実績(速報)は、3,940万人,YoY10.1%増
・発地別の内訳は
– 中国本土2,700万人強,YoY10.5%増
– 香港730万人,YoY16.2%増
– 台湾100万人強,YoY0.2%増
– それ以外(国際)310万人,YoY2.8%減
・2018年10月24日に開通した港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge, HKZM, 香港、珠海市、マカオを結ぶ)が貢献
・”Macao Tourism Industry Development Master Plan”に基づき、持続的かつ多様性を持つ観光都市を目指す
・”食の創造都市”の戦略を推進
マカオ:習近平主席, 経済政策言及せず/賀一誠長官, 大湾区構想, MICE, 文化産業育成
12月20日、習近平・国家主席は、マカオ返還20周年記念式典、新マカオ行政長官就任式典に出席し、演説を行った。
習近平・国家主席の演説は、「一国二制度」など政治面が主体で、当初予想されたマカオの経済発展に関する新政策に関する具体的な提示はなかった。また、カジノIR産業に関する言及もなかった。
一方、賀一誠(Ho Iat Seng)・行政長官は就任演説にて以下を述べた。
「グレーターベイエリア構想(香港・マカオ・広東省沿岸部)を推進」
「我々は、MICE、文化クリエイティブ、最新テクノロジー、医療に注力する」
12月12日、ロイターは、習近平・国家主席が、20日にマカオの新経済政策群、金融センター、ビジネスセンター、MICEセンター化を発表するとレポート。
中国政府が、これまで香港に優先的に付与してきた地位と政策サポートを、マカオにも展開する可能性を指摘。
ロイターは、新政策群として、証券取引所(元ベース)の設置、新規の土地の割当などを挙げた。
中国政府は、国営銀行・企業に、マカオにおける金融インフラの設置をサポートさせる方針。
一方、新規に割り当て用地は、広東省珠海の橫琴島で、教育、医療の拡充に利用される見通し。現在、橫琴島は、一部の土地がマカオに供されており、2013年、マカオ大学キャンパスがオープンした。
習近平・国家主席は、18-20日でマカオに滞在し、20日にマカオ返還20周年記念式典、次期マカオ行政長官就任式典に出席した。
12月13日、マカオ政府統計局は、「Analysis Report of Statistical Indicator System for Moderate Economic Diversification of Macao 2018」を発表。
2018年のマカオ経済付加価値において、「Gaming & junket activities」のシェアは50.52%、安定拡大基調が続く。
マカオ:特別行政区トップ人事 両長官「カジノ営業権再入札, 既得権より公益性を重視」
12月1日、中国政府は、マカオ特別行政区の新体制の要職人事を発表。経済財政庁長官には、李偉農(Lei Wai Nong, 50)が任命された。経済財政庁長官は、ゲーミング産業を管轄する。
賀一誠(Ho Iat Seng, 62)を行政長官とする新体制は、12月20日に発足予定。任期は、5年。
なお、現在の体制は、行政長官は崔世安(Fernando Chui Sai On, 2009年就任)、経済財政庁長官は梁維特(Lionel Leong Vai Tac, 2014年12月就任)。
新体制の重要タスクは、カジノ営業権(カジノ・コンセッション)満期(2022年6月)に伴う制度設計、法改正、再入札の事務である。
12月2日、賀一誠、李偉農、両氏がプレスコンファレンスにて以下をコメント。
賀一誠氏
「今後、政府は、ゲーミング法改正案を議会に提出し、議決を得る」
「法改正後、カジノ営業権の再入札の要件、詳細を公表する」
李偉農氏
「ゲーミング産業には、さまざまな主体が関わり、既得権益がある。しかし、政府は、公益性を重視する」
「政府は、現行コンセッション契約(20年前に整備)を精査する。そのうえで、制度を修正、課題を解決する」
賀一誠氏は、親中派であり、中国・全国人民代表大会(国会)の常務委員、マカオの立法会議員および議長などを経験。
マカオでは、過去20年、親中国派が長官ポストを歴任。行政長官は、各界代表の選挙委員会(400人)の投票で決定するが、委員会メンバーは親中派で固められている。
マカオ:政府,カジノ営業権満期に伴う再入札準備~21年実施予想も。日本営業に影響
4月19日、崔世安(Fernando Chui Sai On)・マカオ特別行政区行政長官は、議会にて、カジノ営業権(ゲーミング・コンセッション)の再入札が、現行営業権の満期(2022年6月26日)前に実施されること、すなわち現行営業権の延長オプションを行使しない方針を明らかにした。
続いて、5月11日、梁維特(Lionel Leong)・マカオ特別行政区経済財政庁長官は、カジノ営業権(コンセッション)満期後の方針について言及。ポイントは、
・改めて、”更新(Renewal)”ではなく、”新規入札(New Public tender)”を実施する方針を強調
・政府は、現在、入札実施に向けた法的な準備を進めている(ゲーミング法および関連規制の改正など)
・入札、すなわち事業者選定では、マカオの観光レジャーセンター化への貢献、ノンゲーミング強化などに重点を置く
一方、5月に入り、マカオのゲーミング法専門家であるJorge Godinho氏(マカオ大学・法学部客員教授, リーガルコンサルタント)は、”新規入札”が2021年に実施されると予想。
マカオでは、コンセッション保有者(および、コンセッション保有者とサービスアグリーメントを締結した事業者)のみが、カジノ運営を許可される。コンセッションは、強大な権益であり、6社の企業価値を支える原動力である
再入札の焦点は、コンセッション数の増減、現有コンセッション保有者の退出、新規事業者の参入、など。
マカオのカジノ営業権の”新規入札”は、日本におけるIR区域整備計画の選定認定(国による都道府県等と事業者の決定)の時期と一致する可能性がある。その場合、マカオの現行カジノ営業権保有者は、その喪失リスクを抱えた中で、日本参入営業を展開せざるを得ない。
図表の通り、マカオでは、6社(中国系3社、米国系3社)がゲーミング・コンセッション(サブ・コンセッションを含む)を所有しており、すべて2022年6月26日に満期を迎える。
ゲーミング・コンセッションに関して、現行法、契約(政府-事業者間)が規定するポイントは以下の通り。
・現行コンセッション満期後、新規コンセッションは、フレッシュな入札プロセス(Public Tender)を通じて付与
(政府は、繰り返し、”更新”ではない点を強調)
・現行ゲーミング・コンセッションは、最大5年間の延長が可能
(2019年4月、政府は延長しない方針を表明)
・政府は、2017年より、現行ゲーミング・コンセッションを早期償還できる権利を持つ
(現在まで、政府は権利行使について言及なし)
・現行ゲーミング・コンセッション保有者は、それを喪失した場合、カジノ施設を、対価なしに、マカオ政府に移管する義務
(カジノ施設の喪失は、事業性の観点から、自動的に全施設の喪失を意味する)
2017年央、政府高官は、初めて、”新たな入札(New Tender)”という表現を用いた。その発言は、現コンセッション保有6事業者に激震を与えた。
それまで、政府関係者は、”更新(Renewal)”と表現し、6事業者はそこに満期後も現状維持のニュアンスを感じ取っていた。
政府が”新たな入札”と表現したことで、事業者再募集・選定、入れ替えのニュアンスを読み取ったわけだ。
図表:マカオ カジノ運営6事業者のコンセッション満期日
コンセッション満期日 | 事業者 | 証券取引所 | カジノ施設数 | 獲得順 |
---|---|---|---|---|
2022年6月26日 | SJM Holdings | 香港証券取引所 | 22 | 1 |
2022年6月26日 | Wynn Macau | 香港証券取引所 | 2 | 2 |
2022年6月26日 | Galaxy Entertainment | 香港証券取引所 | 6 | 3 |
2022年6月26日 | Sands China | 香港証券取引所 | 5 | 4(サブ) |
2022年6月26日 | MGM China | 香港証券取引所 | 2 | 5(サブ) |
2022年6月26日 | Melco Resorts & Entertainment | NASDAQ | 4 | 6(サブ) |
注1:カジノ施設数は2018年12月末時点
注2:2019年3月15日、マカオ政府はSJM Holdingsのコンセッション(MGM China Holdingsのサブ・コンセッション)の満期日を、2020年3月31日から2022年6月26日に延長を承認
注3:(サブ)はサブコンセッション。Sands ChinaはGalaxy Entertainmentより、MGM ChinaはSJM Holdingsより、Melco Resorts & EntertainmentはWynn Macauより取得
マカオ:政府 LRTタイパ線,12月10日開業。港珠澳大橋に続く交通網拡充~三菱重工が施行
12月10日、マカオ政府は、LRT(Light Rapid Transit)タイパ線を営業開始。マカオ初の軌道交通。
営業開始区間は、タイパ線と呼ばれる。長さは9.3Km、11駅の構成で、両端はタイパ・フェリーターミナル駅から海洋駅(オーシャン駅)。タイパ・フェリーターミナル、マカオ国際空港、コタイ地区IR群を結ぶ。
タイパ線の工事は、2012年に開始し、2018年3月からテスト運転のフェーズにあった。建設費用は、約110億マカオパタカ(約1,500億円)。
なお、LRT全体計画は、21Kmでマカオ半島線を含む。マカオ半島線は、ルート調整段階。マカオ政府は、タイパ線とマカオ半島線の接続を2024年までに実現したい意向。
12月10日、三菱重工業は、グループの三菱重工エンジニアリングが、マカオ政府に、LRT向け全自動無人運転車両システム(Automated Guideway Transit:AGT)の建設工事を完成させ、9月にマカオ政府に引き渡したと発表。
2011年3月3日、三菱重工業は、伊藤忠商事と共同で、LRT一式を受注したと発表。受注額は46億8,800万マカオパタカ(約630億円)。受注範囲は、駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式で、APM車両(110両)、供電設備、通信システム、軌道工事、検修設備、ホームドア、料金機械など。
ちなみに、同システムは、東京都の「ゆりかもめ」と同じ。
LRTは、新タイパ・フェリーターミナル(Pac On ferry terminal, 2017年6月開業。タイパ・フェリー線は、2007年10月以降、臨時ターミナルであった)、港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge, HKZM)に続く、マカオの交通インフラの拡充の位置づけ。
香港-マカオの交通アクセスについては、2018年10月24日に、香港、珠海市、マカオを結ぶ、港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge, HKZM)が開通。
港珠澳大橋は、全長55Km(主体部分36Km)と世界最長の海上橋であり、香港、珠海、マカオを結ぶ。工費は、全体で約1兆6,000億円、メイン区間は約8,000億円。
専門家は、港珠澳大橋は、2022年には年間500万人前後を輸送し、訪問者拡大に大きく貢献すると予想。
港珠澳大橋は、香港-マカオ間の移動を30~45分(橋の走行時間)。香港-マカオ間の片道バス料金は、HK$160~190とフェリーと同水準に設定された。
港珠澳大橋のマカオ側のチェックポイントでは、IR事業者の共同シャトルバスが、二つのフェリー乗り場まで運行(フェリー乗り場からは各社別のシャトル)。
港珠澳大橋の開通まで、香港-マカオ間の移動は、実際上、海路(高速フェリー:海上の移動時間は1時間強)に限定された。
マカオへの訪問者数は、2018年には3,580万人(YoY9.8%増)。うち、交通路別には、陸上路が62%、海上路が29%、空路が9%であった。
マカオ:コタイ地区IR開発アップデート~Lisboa Palace,20年2H開業。計画策定3施設(新規土地利用)
10月3日、SJM Holdingsの副議長CEOであるAmbrose So Shu Fai氏は、Grand Lisboa Palaceの開業時期について、直近見通し2020年下期が変わっていないことを強調した。
同プロジェクトは、天候不順を含む様々な困難により、進行が遅れてきた経緯がある。
コタイ地区では、2007年8月のThe Venetian Macao開業から2018年2月のMGM Cotaiまで、10の大型IRが開業した。
現在、建設作業が進行中の新規開発計画(新規土地利用)は、Grand Lisboa Palace。Grand Lisboa Palaceの開業により、コンセッション6社すべてがコタイ地区に進出することになる。
Grand Lisboa Palace(SJM Holdings)
・建設作業は、2014年2月に開始
・2020年下期の開業見通し
<施設概要>
・総開発費=390億香港ドル(約5,500億円)
・延べ床面積=約52万㎡(加えて、駐車エリアは約7.7万㎡)
・ホテル=合計2,000室(Grand Lisboa Palace, Palazzo Versace, Karl Lagerfeld)
・MICE、飲食、ショッピング、カジノなど
一方、計画策定フェーズ(新規土地利用)は、Galaxy Macau第3期&4期, Studio City第2期, Wynn Palace拡張1期がある。
Galaxy Macau 第3期&4期(Galaxy Entertainment Group)
・近く正式計画を公表へ
<施設概要>
・開発費=430億香港ドル以上(約6,020億円以上)
・延べ床面積=100万㎡レベルを想定
・ホテル=約4,500室
・MICEは3,700㎡、アリーナ16,000席、飲食、カジノなど
・ファミリー・エンタテインメント、MICEを強調
Studio City第2期(Melco Resorts & Entertainment)
・プロジェクト予算は、13.5億ドルから14億ドルを想定
・ホテル2棟(計900室)、ゲーミングエリア
・ウォーターパーク、飲食、リテイル、MICE、シネプレックスなど
Wynn Palace拡張1期-南区画(Wynn Macau)
・初期投資額20億ドル(約2,160億円)
・土地面積3ha
・プロパティ名”Crystal Pavilion”
・ホテル棟は約650室
・2021年後半に着工。工期は36ヵ月強