マカオのタクシーはアジアで最も劣悪?
2014.09.29 / カジノVIP客の減少により、カジノ収入の落ち込みが懸念されているマカオだが、それとは逆に同地を訪れる観光客数は増加の一途を辿っている。政府の統計調査局によれば、今年8月の入境者数は308万人を超え、過去最高を記録。年間の渡航者数は3000万人を突破する勢いである。一方で、渡航者数の増加にともなう域内のタクシー不足は深刻だ。約64万人の住民と月平均200万人以上の観光客を受け入れるタクシーの数はわずか1180台。時期や時間帯によっては、ホテルのタクシー乗り場は長蛇の列で、街中では空車が見つかない。やっとの思いで「空車」を見つけても行先次第では乗車拒否なども日常茶飯事だ。なかでも最悪なのは、メーターを使用せずに客の足元を見て高額な料金を請求する「フィッシング」と呼ばれる行為。時には正規料金の10倍もの料金が請求されることもあり、昨今、特に悪質さに拍車がかかっている。
そんな状況のなか、今年6月、ソーシャルサイト「Facebook」上に「マカオタクシードライバーシェイム」なるページが立ち上がった。これは、マカオのタクシー運転手の悪質な行為や劣悪な車内環境を画像や動画を交えて報告するページで、9月の段階で約2600人のメンバーが参加している。同ページでは、悪質なタクシーを告発する「ブラックリスト」を車のナンバー入りで公開しており、現在73台がリスト入りしている。同ページを主催するアンドリュー・スコット氏は、現地メディアのインタビューで「私たちはタクシーの使いづらさと劣悪なサービスにうんざりしている。おそらくマカオのタクシー産業はアジアの中でも最悪。全く恥ずかしい」と答えている。同ページの存在が、どれほどサービスの改善につながるかは未知数だが、タクシーの利用者はそれほどまでに疲弊しているということだろう。
そもそも、問題の根源は現地の交通システムの不備にある。唯一の公共交通機関である路線バスは、本数が少なく渋滞も発生するため使い勝手は決して良くない。現在、政府は域内の主要地点を結ぶ軽軌鉄道(LRT)の建設を進めており、2016年の開通を目指している。その後は交通の便が改善されるはずだが、それまで住民や観光客はしばらく我慢を強いられることになりそうだ。
※画像はマカオのタクシーFacebookページ「マカオタクシードライバーシェイム」