ホール改装案件、見積もりの攻防

2019.10.04 / コラム

関西の設計事務所にホールの改装案件が舞い込んだ。ホールの仕事をするのは今回が初めてだが、こんな経緯があった。

設計事務所の社長が通っているスポーツジムで何度か顔は見かけたことがあるが、ひょんなきっかけから話をするようになり、すっかり意気投合したのがホールオーナーだった。

オーナーは相手が設計事務所の社長だと分かり、ホールの改装案件を相談した。

内容的には喫煙ルームの新設とカウンター周り、男女トイレの全面改装だった。設計事務所の社長はホールの仕事は初めてだが、工事を請けることにした。

現調に向かったのは設計担当とデザイナーら4名。ホールの仕事は初めてだが、彼らのイメージからするとパチンコホールは儲かっているイメージしかなかった。壁や床に大理石を張り巡らすぐらいのホールもあったので、予算もくれるものと思ったら、当てが外れた。

ホールの予算はかなりシビアなものだったが、ホールの要望を聞いて見積もりを出した。

その結果工事見積は3000万円になった。

これに対してホール側の担当者からは「高い!」となった。出せる予算は2000万円。

「ウチだけじゃなくて、業界全体がキツイので、2000万円でやって欲しい」

設計事務所の社長は「損をしないのなら受けろ」の指示だったが、1000万円もの開きがある。とても歩み寄れる金額ではない。設計事務所にすれば適正利益しか載せていないので、値引きしても100万円が限界だった。

歩み寄るには使う設備や材料を落とすしかない。これをホール側がどう飲むかだ。

ホールの購買部は中には、取引額が大きいので強気に出るケースもある。購買部にすれば、いくら値引きさせるかが担当者の評価につながるので、業者は泣かされることも少なくない。

見積もりの攻防は800万円で決着した。

当初はホール側の要望をすべて盛り込んだ結果が3000万円に跳ね上がったが、グレードを落とし、デザインもやり直した。

女性トイレにでっかい鏡を据える予定だったが、コストを優先して6分の1のサイズに変更された。













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