ホールチェーンの買収を断った華僑企業

2020.02.15 / コラム

ホール経営はやっていない在日華僑の下へ10店舗以上あるチェーン店の買収話が舞い込んだのは7年前のこと。結論から先に言うと話は流れた。

ビジネス感覚に優れた民族として世界的に名高いのが、西のユダヤ人、東の華僑、と言われている。「ビジネスで成功したければ彼らに学べ」という教えもあるほどだ。

華僑のビジネススタイルは「三縁」(血縁・地縁・業縁)を基礎とする広範で強固なネットワークと、経営者による迅速な意思決定が特徴だ。このネットワークをフル活用すれば資金、情報、技術、ノウハウがすぐに揃い、起業だけでなくその後の事業多角化や海外展開もスムーズになる。

買収話が来るとすぐに業界の調査に入った。その結果、日本にカジノができるとホールの経営環境は厳しくなることが予想されたが、それ以上に憂慮されたのが1パチだった。

「日本人の給料は上がらないが、デフレをパチンコに当て嵌めたことは間違い。1パチではやって行けない業界なのに、4円を伸ばすことをしなかった。1パチを始めたことは負けに突っ走っている。後から間違いに気づいても後には引けない。自分たちのことしか考えない人たちばかりが主導している。4円に対する特効薬がないので投資しないことにした」(関係者)

さらにこう付け加える。

「今までが儲かり過ぎたことに目がくらんで物事が分からなくなった。右へ倣えで1円に走った。イノベーションが全くないので買うのを止めた」

で、件のホールは現在どうなっているかと言うと、10店舗以上あったホールは半分以下になっている。

で、最近になって別のところから再びホールの買収話が届いた。都内の駅前ホールで自社物件に対しては、買う姿勢を見せている。

「もちろんパチンコはやりません。立地がいいので他の商売をします。7年前よりカジノも現実のものになり、カジノができることで依存症対策や出玉規制など色々な規制が強化されています」

パチンコ業界にも華僑系のホールはある。大阪では心斎橋やナンバの一等地に店を構えていたが、ホールをやめてテナントに貸し出すケースが非常に多い。

1円に舵を切る前に、等価を止めて4円を強化する道を業界が選択していたら、今見えている風景も随分違ったものになっていたかも知れない。









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