ペコちゃん物語

2019.11.04 / コラム

栃木県のホールに20代前半の女性スタッフがアルバイトで入ってきた。愛嬌のある顔立ちで、1カ月もしないうちに、おじいちゃん、おばあちゃんたちからは、名札の本名ではなく「ペコちゃん」と呼ばれるようになった。

女性スタッフはナゼ自分がペコちゃんと呼ばれるのか意味が分からなかった。

そこで店長に「どうしてお客さんは私のことをペコちゃんと呼ぶんですか?」と疑問をぶつけてみた。

店長は「不二家のペコちゃんに似ているからだよ」と即答した。

しかし、不二家のペコちゃんと言われてもその意味が分からなかった。彼女の生活圏内には不二家そのものがないので、不二家のペコちゃんと言われてもピンとこなかった。

早速、スマホで「不二家のペコちゃん」で検索して、初めてその意味が分かった。確かに自分でも似ていると思った。



しかし、20代では不二家のペコちゃんを知らないことに、こっちが驚かされる思いだ。お父さん世代では不二家といえばミルキー。ミルキーのパッケージにはペコちゃんが。お父さん世代でペコちゃんを知らないものはいない。

この一件があって家で両親にバイトの話やペコちゃんに似ている、と言われたことを話した。

実は両親はわが娘がペコちゃんに似ていることは生まれた時から分かっていたが、敢えてその話題には触れてこなかった。

娘のペコちゃん似は母親譲りだった。お母さんもペコちゃん顔だった。

お父さんは家族3人で遠く離れた町にある不二家レストランへ行き、今まで内緒にしていたことを娘に打ち明けた。

お父さんは子供のころからペコちゃんが好きで、ペコちゃんグッズのコレクターになっていた。当時としては男の子がペコちゃんグッズの蒐集を公言できる時代でもないので、隠していた。

お父さんが成人してお母さんに出会ったのはホールだった。ここでホールスタッフのバイトをしていたお母さんと巡り合うわけだが、「ペコちゃんだ!」と一目惚れする。

ペコちゃんコレクターの趣味が高じて、ペコちゃん似の女性と結婚するとは、まるで物語のようだが…。

娘が成人式を迎えるにあたり、着物のレンタル料が必要になった。そこでお父さんが取った行動は大切に蒐集してきたペコちゃんグッズを売り払い、おカネを工面したのだが、20万円になった、という。これで着物のレンタル料を支払うことができた。

栃木県のホールでペコちゃん似のスタッフを見かけたら、「パチンコ日報というサイトで君のことが紹介されていたよ」と教えてあげていただければ幸いだ。









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