パチンコVSカジノ。世界初の実験場となる日本

2020.02.02 / コラム

経営学の研究者が今注目しているテーマが、日本にカジノがオープンした暁の周辺産業の影響だ。

「パチンコをミニギャンブル場とすれば、そこへカジノが進出することは世界初の実験場になる。大店法で大型ショッピングモールが地元の小売店を潰して行ったことと重ね合わせて注目している。カジノオペレーターは日本のパチンコを潰すつもりでやってきますからね。最初は3カ所までですが成功すれば、全国に増えていくがそれは競争相手のパチンコを潰すことで成り立つ」と興奮気味に話す。

その時の調査はIRカジノ周辺のパチンコ店の売り上げや雇用問題まで踏み込む。

「同じギャンブル産業で働くのならカジノの方がカッコいいので、いい人材はカジノへ流れることが予想されます。パチンコはただ来て、時間の切り売りをしていればいいような人材しか来なくなる」

カジノが開業すると還元率にもユーザーの目は行く。

一般的に言われてギャンブルの還元率は次の通りだ。

宝くじ 46%
競馬 70~80%
ボートレース 75%
パチンコ 80%前後
カジノ 90~95%

この還元率を元に1万円賭けた場合に返ってくるおカネはこうなる。

宝くじ 4600円
競馬 7000~8000円
ボートレース 7500円
パチンコ 8000円前後
カジノ 9000~9500円

カジノは賭け金が青天井なので一夜にして全財産を失うこともあるが、還元率をみる限りはカジノが一番勝ちやすいことになる。

「スロットでかつては100万円も出る様な機械があったが、規制に次ぐ規制で大きな出玉が得られなくなったパチンコはすでに崩壊が始まっているとも言えます。ギャンブル欲のない人たちをメインにするとおカネを使ってくれませんからね。大量出玉で一発逆転があるからハイローラーはおカネを落としてくれるが、出玉が規制され儲からないのであれば、ハイローラーはパチンコなんかには行かない。ハイローラーは利益を落としてくれる大切な客だが、パチンコを止めてカジノへ行く。1パチはお客も店も全然儲からない」

カジノのオープンを待たずしてすでにパチンコとカジノの棲み分けはできてしまっている。1パチ、5スロの低貸しが主流になっている現実がそれで、カジノが狙うハイローラーは今のホールには思ったほど残っていない。

「パチンコ業界の人は自分たちの権利を守らなければならないのに、規制されるようなことばかり繰り返している。目先のことしか考えないから、そうなる。だから調査対象として面白い」

カジノがオープンするのは早くても5~6年先だ。その時競争相手とするパチンコにはターゲットする客は残っているか否かだ。








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