パチンコとインフレ

2019.07.04 / コラム

「インフレが起こったら他のギャンブルはレートを上げれば済むので対応できるが、パチンコは貸し玉料金の上限が4円と法律で決まっているので、パチンコは危ない」と話すのは与党大物政治家の秘書。

いきなりインフレとは何とも唐突な話だ。

日本の財務状態について話をするに当たり、パチンコの話を絡めてきた。

でも、今は1パチが主流になっているので、むしろ4円が復活するのではないか? それを考えればパチンコ業界だって歓迎すべきかも。

ただ、ハイパーインフレでも起ころうものなら、国民はパチンコだけでなくギャンブルにうつつを抜かしていられなくなる。

ハイパーインフレの極端なイメージはこんな感じだ。

たこ焼き屋を開業するのに1000万円の借金をした店主(債務者)は、たこ焼きの値段が一皿100万円になれば借金返済がいとも簡単になる。一方、汗水たらして10年間コツコツ1000万円貯金した人(債権者)は、たこ焼きを10回買うとパーになる。

インフレとは債権者から債務者への富の移行なのだ。今の日本で債権者は国民で、最大の借金王は国だ。インフレとは国民から国への富の移行という意味では、税金と同じだ。したがってインフレとは税金という形をとらないものの、実質は税金と同じなので、よくインフレタックスと呼ばれる。

では、インフレとはどのようにして起こるのか?

政府は財政赤字が発生した場合、国債を発行・販売することにより穴埋めをする。銀行や個人が国債を購入すると、対価として貨幣を渡す。この時、日銀が民間銀行から国債を購入すると、貨幣市場に出回る現金の量は増えてしまう。

日銀が国債を買って民間にお金を渡しているということは、政府が国債を発行して直接日銀に買い取ってもらって現金をもらうということと同じだ。国債を発行して得た現金は、政府の手元に残るが、そのお金はもちろん使う。

民間に現金が大量に流れていき、お金の量が物の量より増えるとインフレが発生する。これが、財政赤字がインフレにつながる道筋だ。

ひどい場合は、もらったお金は2~3日で価値が下がっていく。そんなお金を手元に置いておく人はいない。とにかく物に変えようとする。するとさらに市中にお金が溢れかえる。

これがハイパーインフレの正体だ。

こうなると、普通は外貨を使い始める。日本国内で円を持っていてもどんどん価値が下がっているのだから、受け付けるのはドルとかユーロだけなどということが起こる。そうなると円の価値はなくなる。

日本の借金は1000兆円以上の累積赤字が貯まっている。この膨大な借金をチャラにするために、前述のたこ焼き屋の例のように、政府が取る道はインフレしかない。

インフレを起こされようモノなら、年金生活者はたまったものではない。例えば、月20万円の支給金額は決まっているため、物価の上昇によっては、それこそ2万円の価値しかなくなる。

緩やかな2%のインフレなら公営競技やカジノはレートを上げればいいかも知れないが、ハイパーインフレではパチンコだけでなくギャンブル全般もダメになる、と思われる。




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