トイレに置き忘れた50万円入りのカバンの顛末

2019.12.04 / コラム

ホールの女性トイレにカバンを置き忘れているのを清掃スタッフが発見した。中を確認すると現金で50万円もの大金が入っていた。

ホールのルールで遺失物は警察に届けるようにしているので、近くの交番へ届けた。暫くして、おばあちゃんが血相を変えて「カバンを忘れた」とホールにやってきた。

無事、カバンはおばあちゃんの手元に返ってきた。警察に謝礼を聞くと相場は10%ということで、おばあちゃんが5万円をホールに持ってきた。

ホールは受け取ることを固く辞退した。

押し問答が暫く続いたが、それではおばあちゃんの気が済まなかった。後日、おばあちゃんがホールに持参したのは5万円分の牛肉だった。高価なサシの入った牛肉ではなく、赤身の普通の肉だったので、相当の量があった。アルバイトスタッフを含め20人でありがたく分けた。

牛肉は皆に喜ばれた。

後日、店長が牛肉をどうやって食べたかを聞いてみた。驚くことに全員が焼肉だった。では、焼き肉のタレは何を使っているかを聞いてみると、業務スーパーに売っている焼き肉のタレが断トツだった。理由はホールのすぐ近くにあるからだった。

従業員の業務スーパー利用率が高いことを考えると、店長は業務スーパーと提携して貯玉で買い物ができたらお客さんも便利になるのではないかと思った。

換金がいずれ禁止になるのではないか、と憶測が飛び交うが、そうなった場合、貯玉カードで提携店舗で買い物ができるようにすれば、利便性は一気に上がる。コンビニ大手と提携するだけでもパチンコ業界の見方が変わってくる。

この構想は貯玉カードがスタートした時からあった。スーパーのダイエーがホール経営に参入した時も、自店のスーパーを景品交換場にする目的があった。お客さんは勝っても負けてもおカネをダイエーグループに落としてくれる。一石二鳥だ。

ICカードとIT技術が進歩した今なら、すぐにでも実現しようと思えば実現できる。

ところで、おばあちゃんが50万円の大金を持っていた理由は、おじいちゃんと海外旅行へ行くためのおカネで旅行代理店への支払いだった。

では、なぜ、おばあちゃんはトイレにカバンを忘れたのか?

それは下痢だった。

下痢の時は渋り腹とも言われ何度もトイレに駆け込むことになる。おばあちゃんはホールのトイレで用を足し、次の便意が来る前に家にたどり着こうと慌ててトイレを出たために、カバンを忘れてしまった、ということだった。









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