コロナ長期戦で心の隙間を埋めるのはパチンコ

2020.03.31 / コラム

トヨタが国内の5つの工場を4月3日から最長で15日まで稼働停止にすると発表した。新型コロナウイルスの世界的感染で需要が落ち込んでいることを鑑みた結果である。

コロナ問題は刻一刻と事態が深刻化している。急速に感染者が増えた東京は26日、ロックダウン(都市封鎖)回避のために首都圏の知事らとの共同声明で週末の外出自粛要請が出された。

緊急事態宣言が出たら外出自粛は3週間(21日)が想定されている。当面は不要不急の外出は継続される。

自粛ムードが長引けば、長引くほどトヨタのような会社が増えてくる。家に籠ることを強いられると人間は物欲がなくなる。自動車のような耐久消費財は顕著である。こんな大変な時期に新車に買い替えたいとは思わなくなってくる。それに対応してトヨタは国内の工場の稼働停止に踏み切った。

身近なところでは外出自粛で飲食店などが打撃を受けているが、長期戦になると物欲の減退で家電、家具、住宅などの耐久消費財が売れなくなる。

平時の物欲は自分が欲しいものを買って、ネットで公開して「人に見せびらかしたい」、「人から褒められたい」という心理が働くことによって起こる。ところが、非常事態になると本当に必要なものしか買わなくなる。消費が落ち込むことは経済がさらに低迷していく。

もはやコロナとは長期戦で向き合うしかないが、テレワークや外出自粛が長引くと、人間が次に求めるのはストレス解消だ。

家に籠ってやることを独身男女にアンケート調査を行ったところ、男性はゲームやネットでの映画鑑賞だったのに対して、女性はお菓子作りなど普段できなかったことをやる、という結果が出ている。

抑制された生活が続くと、家庭持ちはお互いを支えあうことができるが、独身者は心の隙間を埋めるものが必要になってくる。

首都圏や大阪で外出自粛要請が出た28日(土)の光景をTBSのサンデーモーニングが取り上げていた。都内の繁華街は閑散としていたが、渋谷のホールの朝の並びを対比させて、関口宏が「パチンコはいいんですかね」と皮肉交じりに疑問を呈した。

また、30日夜の小池都知事の緊急会見では、高級クラブなどからの感染が広がっていることを踏まえ、3密リスクが高いバー、ナイトクラブなどの接待を伴う飲食店やカラオケ、ライブハウス行くことを控える要請をした。

この会見で「パチンコ店はどうなのか」との質問が飛んだが「感染が疑われる報告はない」と一蹴された。記者はホールの営業自粛にどうしても追い込みたいようだ。

28日(土)、都内のホールの中には稼働がアップしたケースもある。

「21日の土曜日よりも稼働が24%アップしました。どこへも行けないからという理由で来られている常連さんが多かったです。表の目立つ入り口ではなく、目立たない入口から入ってきて、中に入れば皆同罪という感覚のようです」(店長)

人と一緒に騒いだりするよりも、1人の時間を大事にしたい人の心の隙間を埋める受け皿となっているのがホールとも言える。

ハンドルネーム「サガミハラのピン」さんのコメントがこの現状を言い当てている。

「今日、朝の並びでおばちゃん同士の会話で食料品買い占めの話をしてて『買い溜めする金があったら苦労しないわよ』と朝からパチンコ。あまりにズレてて逆に最強だと思いました。パチンカスの潜在能力は強大です。これを生かすも殺すもパチンコ店次第ですね」

だからパチンコは強いということか。







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