うどんチェーンの出店を巡り平行線のホール

2019.07.19 / コラム

北関東の郊外店舗にうどんチェーンから出店したいとの打診があった。ホールの立地は幹線道路沿いで、最近大型のホームセンターができたばかり。その近くに飲食店ができるのが流れで、白羽の矢が立ったのがホールの駐車場だった。

幹線道路沿いが広い駐車場で、ホールの建物はその奥にあった。うどんチェーンの条件は店舗を入口に立てることだった。建坪は50~60坪。テナント料は月額20万円を提示した。

悪い話ではないがオーナーは店舗の位置に難色を示した。角度によってはうどん屋の建物にさえぎられてホールが見えなくなる、というのが理由だった。オーナーはホールの横に建てることを望んだ。ホールのすぐ横ならうどん屋の客がホールに足を運んでくれることも期待できる。1人でも新規客になってくれたらメリットがあるというもの。

うどんチェーンは駐車場の入口を譲らなかった。ホールの並びよりも入口の方が、入店率が高くなるからだ。加えて、建物がそれぞれ離れている方が、駐車も分散して駐車場が効率よく使える。人間の心理として建物の近くに止めたがるものだ。

うどん屋の位置を巡って話し合いは平行線を辿っている。

決して稼働のいいホールではない。3000~4000坪の敷地を持つ郊外ホールをホームセンターが狙っている。月額20万円のテナント料よりもいっそのことロードサイド立地を狙っている他業種に売却する手もある。

そういう声がかかるところはまだ立地に恵まれている、ということだが、同じ北関東でも福島県寄りとなると状況は一転する。

「今の店舗は築40年になります。ご多分に漏れず4円の稼働はありませんから、オーナーは建て替えを完全に諦めています。建物は後、10年、20年と使い続けるつもりですが、如何せん建物が古いので店内も古臭い。店を使い倒すつもりですが、その前にお客さんの方がいなくなる。改装したいけど、改装費も出ません。ナンバーランプは15年使い続けている旧式のもの。せめてナンバーランプだけでも最新式のものを入れて欲しいのですが、設備にも手は回りません。なんで業界は1円に手を出してしまったんでしょうね」(店長)

後の後悔先に立たず。すでに終わったことを悔やんでも取り返しはできない。1円にシフトするのではなく、4円で遊ばせるために脱等価に舵を切らなかったから、今がある。4円のビジネスモデルが完全崩壊したパチンコ業界は、建て替えどころか、改装費用もでない。

2021年1月末を持って旧基準機を完全撤去しなければならないパチンコ業界は、2020年がまさに正念場となる。

4円の稼働があったから1円のビジネスモデルが成立したが、4円の稼働がなくなれば、40~50万円もする新台を1円に導入することはできるはずもない。

「少子化問題は30年以上前から指摘されていながら国は打開策もない。1円になった時将来が見える業界人はいなかった」(同)と開き直る。

ローコストオペレーションを実現するためには機械代の改革しかない。








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