【金曜】東上野グルメ サルトルの名著と「くろ喜」

2015.07.10 / 連載

復活! 東上野グルメ第31回 紫くろ喜

おはようございます。辛口コメントが信条の編集部黒幕でございます。相変わらず、本誌休刊中でございます。そんな中、WEBに別冊にと編集するものがあるというのは、本当に幸せなことなのだなと感じております。ええ。これは結構マジです。

ということで、前回の記事で「紹介したような気がする」と書いたけど、検証した結果、紹介していなかった秋葉原のラーメン屋「紫くろ喜」を紹介します。実際にお店に行ったのは1〜2カ月前のこと。「食べログ」で4点台だったので、つい行ってしまったのでございます。

夕方18時オープンということで、取材帰りに直行したのが17時45分頃。すでに長蛇の列ができていたのでございます。食べログをみて来たような軽薄そうな連中が、目算で30人以上はいたのでございます。店内の席数は13席(カウンター9席にテーブル4席)のみ。2回転半しないとたどり着けないことがその時点で判明。「たかがラーメン屋ごときに並ぶのは愚の骨頂」「ラーメン屋ごときが調子に乗るから並ぶのは避けたい」と普段から言っているので、とても悩んだのですが、食べログ4点台のパワーに押し切られ、並んでしまったのでございます。

待つこと小一時間。ようやくお店に入ることができまして、注文したのが「味玉鴨そば」(1000円)でございます。心中は「ラーメン屋ごときが1時間も待たせやがって」「1時間ありゃ1500字くらいの原稿なら1本つくれるじゃねえか」とイライラの極みでございました。今となっては、気の短さに反省でございます。

そして目の前に出されたのが写真にあるとおり「しゃらくさい器」に盛られた「しゃらくさいラーメン」だったのでございます。マガジン・ハウスの雑誌「hanako」とか「オズマガジン」とかで紹介しそうな見た目に、残念感しかただよってございませんでした。

「日本の伝統的な蕎麦である鴨南蛮をラーメンに仕立てて、上品さを加えてみました」な見た目どおりの味に、「なんで鴨南蛮をラーメンにする必要があったのか」という疑問で脳内はギュウギュウ詰め。「そば粉を麺に練り込んであるんですよ」「スープの作り方はそばつゆの製法をオマージュしてまして」と店主の声が聞こえてきそうほど、しゃらくさい味でして、ワタクシはサルトルの名著「嘔吐」における主人公ロカンタンの心情そのものだったのでございます。

すなわち、「存在の軽薄さ」に吐き気をもよおすほどだったのでございます。

食べログ4点台の不信感に繋がったラーメン屋でございました。

紫くろ喜:食べログ4.23

※2015年7月1日から9月中旬までお休み中

文・写真/黒幕

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